先生転生~魔法の言葉は金平糖~
説得しろよ…
天帝の葬儀は不謹慎なほど派手に……失礼、厳かに行われた。
その間転生者たちは外出禁止、もっと言えば厳戒態勢を敷かれた。
しかしそれは昨日までのこと。
一週間にも及ぶ長ーーい葬儀が終わった翌日の、朝早くから転生者たちは謁見の間に揃った。
なんでも皇女直々の召集命令とのことだ。
7人の転生者は皆一様に目を擦りあくびを噛み殺す。
なにもこんな朝早くじゃなくてもいいのでは──!?
しかしその突拍子のなさにも1週間もすれば慣れ、もとい諦め、呼び出した張本人がなかなか来ないことに何も言わずただただ落ちる瞼をこじ開け続けた。
「皆様お揃いですか?」
奥の扉から皇女が出てきたことで全員の目が開かれる。
「集まっていただき感謝します。実は、折り入ってお願いしたいことがありまして…」
先日まで目の敵にしていたクセになんだしおらしく。
と、誰もが思ったことだろう。
「どうか…魔王を討ち取ってください!!」
「え、やだよ」
なんという手のひら返し。
開いた口が塞がらないとはまさにこの事。
しかし流石は教員歴20年43歳中里悠大度胸と根性で生きてきた男。
断った。
「正気でございますか?完遂したらこの世の名誉と一生分の生活の保証、自由が手に入ります!」
なるほど確かに魅力的な話だ。
皇女は本当にそれを叶えるつもりだろう。
望めば食い物を、金を、女を、ありとあらゆる欲望の全てを実現させられる、それだけの地位もある。
よくある異世界転生ものの主人公どもは簡単に飛び付くのが鉄板だろう。
「だが断る」
生憎と日本男児は真面目であり、また捕らぬ狸の皮算用はしないのだ。
ましてや彼ら、ジジイである!
若くて34、末は55のジジイである!
とっくに体にガタ来てるジジイである!
皇女はそうですかと呟いたきりうつむき、何か考えているようだった。
「では仕方ありません」
ポツリと呟いた皇女の言葉に誰もが胸を撫で下ろしかけた。
「国家反逆罪で無期刑、または斬首刑に処します。よろしいですね?」
瞬間、青ざめる。
国家反逆罪…即ち内乱罪であるが、彼らは国家の統治機能を破壊するような行為を実行していない。むしろ、なにもしていない。
さらに言えばラチられて一週間、戸籍もない彼らを起訴することはできないし、皇族の一言で首が飛ぶことは許されることではない。
ただし、日本では、だ。
ここは、日本ではない。
郷に入っては郷に従えとはよく言ったもので、幸か不幸か、その言葉が頭に浮かばない者はここにはいなかった。
「よろしいのですよね?」
皇女の凶悪なまでの笑顔に一同、心は折れた。
胴体とお別れする気概は誰も持ち合わせているはずがないのだ。
かくしてここに救世主爆誕である。
その間転生者たちは外出禁止、もっと言えば厳戒態勢を敷かれた。
しかしそれは昨日までのこと。
一週間にも及ぶ長ーーい葬儀が終わった翌日の、朝早くから転生者たちは謁見の間に揃った。
なんでも皇女直々の召集命令とのことだ。
7人の転生者は皆一様に目を擦りあくびを噛み殺す。
なにもこんな朝早くじゃなくてもいいのでは──!?
しかしその突拍子のなさにも1週間もすれば慣れ、もとい諦め、呼び出した張本人がなかなか来ないことに何も言わずただただ落ちる瞼をこじ開け続けた。
「皆様お揃いですか?」
奥の扉から皇女が出てきたことで全員の目が開かれる。
「集まっていただき感謝します。実は、折り入ってお願いしたいことがありまして…」
先日まで目の敵にしていたクセになんだしおらしく。
と、誰もが思ったことだろう。
「どうか…魔王を討ち取ってください!!」
「え、やだよ」
なんという手のひら返し。
開いた口が塞がらないとはまさにこの事。
しかし流石は教員歴20年43歳中里悠大度胸と根性で生きてきた男。
断った。
「正気でございますか?完遂したらこの世の名誉と一生分の生活の保証、自由が手に入ります!」
なるほど確かに魅力的な話だ。
皇女は本当にそれを叶えるつもりだろう。
望めば食い物を、金を、女を、ありとあらゆる欲望の全てを実現させられる、それだけの地位もある。
よくある異世界転生ものの主人公どもは簡単に飛び付くのが鉄板だろう。
「だが断る」
生憎と日本男児は真面目であり、また捕らぬ狸の皮算用はしないのだ。
ましてや彼ら、ジジイである!
若くて34、末は55のジジイである!
とっくに体にガタ来てるジジイである!
皇女はそうですかと呟いたきりうつむき、何か考えているようだった。
「では仕方ありません」
ポツリと呟いた皇女の言葉に誰もが胸を撫で下ろしかけた。
「国家反逆罪で無期刑、または斬首刑に処します。よろしいですね?」
瞬間、青ざめる。
国家反逆罪…即ち内乱罪であるが、彼らは国家の統治機能を破壊するような行為を実行していない。むしろ、なにもしていない。
さらに言えばラチられて一週間、戸籍もない彼らを起訴することはできないし、皇族の一言で首が飛ぶことは許されることではない。
ただし、日本では、だ。
ここは、日本ではない。
郷に入っては郷に従えとはよく言ったもので、幸か不幸か、その言葉が頭に浮かばない者はここにはいなかった。
「よろしいのですよね?」
皇女の凶悪なまでの笑顔に一同、心は折れた。
胴体とお別れする気概は誰も持ち合わせているはずがないのだ。
かくしてここに救世主爆誕である。
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