誰にでもできる異世界救済 ~【トライ&エラー】と【ステータス】でニートの君も今日から勇者だ!~
3-11 ハリエットさんのダンジョン講座
「さてと、ショウスケちゃん、ダンジョンのこと、あんまり知らないみたいだから簡単に説明しておくわね」
攻撃魔術の練習をひととおり終えた俺は、ハリエットさんからダンジョンについていろいろと教わることになった。
ダンジョンというのは、『ダンジョンコア』なる正体不明の存在が生み出す、不思議空間のこと。
なにもないところに発生することもあれば、既存の洞窟や森林、廃墟などが、ダンジョンとして作り変えられることもあるとか。
滅んだ都市が丸々ダンジョンになる、なんてこともあるらしいが、人の生活空間からは少し離れた場所にできる、ってのは共通してるみたい。
「まぁ、ダンジョンが発生したらそこに人が集まるから、いま確認されているダンジョンは、どれも人里近くってことになるのだけのねぇ」
ダンジョンの中には『ダンジョンモンスター』という、魔物と同じような姿形はしているものの、性質は全く異なる存在が棲息している。
そしてそれらは、ほぼ無限に生み出されるらしい。
「そのダンジョンモンスターを倒すと手に入るのが、魔石というわけ」
この魔石ってのが、この世界では必要不可欠なエネルギー源になっている。
ダンジョンモンスターは倒すと死骸が残らず、魔石と、時々ドロップアイテムを残すんだとか。
なんだかゲームっぽい。
ダンジョンてのは、活動している限り恒久的にダンジョンモンスターを生み出し続けるんだが、ダンジョンコアを破壊すればその活動は停止する。
でも一定期間でダンジョンコアは復活し、活動は再開されるんだと。
完全にダンジョンを止めたければ、ダンジョンコアを破壊し、復活する前に、ダンジョンそのものを物理的に埋めるとかして、その場所を破壊するしかない。
とはいえ、ダンジョンは魔石の供給源だから、そうそう破壊されることはないみたいだけどね。
「まぁざっとこんなものかしら。もっと詳しい情報が必要ならこれ読んでね」
渡されたのは『はじめてのダンジョンガイド』という薄い冊子だった。
「ありがとうございます」
「10Gね」
ぐ……。
しかしこういう情報って、馬鹿にできないからな。
今の俺にとって10Gってのは、出せない額じゃない。
おとなしくギルドカードを預ける。
「さて、ダンジョン探索に乗り気になってくれたのは嬉しいんだけど、ここから一番近いエムゼタシンテ・ダンジョンだと、ソロの場合Eランク以上の冒険者じゃないと、入れないわよ?」
ダンジョン探索にはルールがあり、死傷者をできるだけ減らすために、実力に応じた入場規制や階層探索制限が設けられている。
エムゼタシンテ・ダンジョンの場合は、3人以上のFランク冒険者、またはひとり以上のEランク冒険者、というのが入場許可の条件らしい。
冒険者以外にも、国際ダンジョン協会が定める『ダンジョン探索者』という資格もあるらしいが、俺の場合は冒険者ランクを上げるほうが手っ取り早いだろうな。
「じゃあランクアップしてきます」
「あら、もうランクアップできるの?」
「ええ。実績は問題ないので、あとは試験を受けるだけだそうです」
そう、俺はEランクの魔物をそこそこ納品したのと、基礎戦闘訓練のおかげで、ランクアップ試験を受ける資格を、すでに得ていたのだ。
納品に関しては、なにげにグレイウルフの素材が効いたみたい。
あと、基礎戦闘訓練中にそれなりの実力を見せた者は、優先的にランクアップできるようだ。
俺はどうやら、カーリー教官からの覚えがよかったらしく、実戦でEランクの魔物を相手に問題なく闘えるようなら、いつでも試験を受けに来い、と言われていたんだよね。
「あらぁ、すごいわねぇ。じゃあこれ。がんばってね」
そういうと、ハリエットさんは大雑把な近辺の地図をくれた。
これまで気にしたことはなかったが、どうやら俺がいまいるのはエカナ州というところらしい。
こちらに転送されて以降、ずっと拠点にしている、ここトセマから北へいくと、州都エムゼタがある。
そのエムゼタより少し手前を東にずれた当たりに、エムゼタシンテ・ダンジョンがあるようだ。
「ここからこのエムゼタシンテ・ダンジョンってどれくらいの距離ですかね?」
「そうねぇ、馬車で半日ってところかしら。早朝の馬車に乗れば、お昼くらいには着けるわよ」
馬車で半日……、馬車の速度がわからんが、まあ6時間ほどで着くなら、そんなに遠くはないのかな?
あとほかにも、西の方に行くと、ふたつ隣の州になるが、ネスノラ州にタバトシンテ・ダンジョンってのと、深淵のダンジョンってのがあるな。
地図によれば、ここからエムゼタシンテ・ダンジョンまでの距離の、ちょうど倍くらいか……。
お、そのあいだにある、隣のトウェンニーザ州のところに書かれている、ヘルキサの塔ってのもダンジョンなのか?
ここも案外近いなぁ。
……それにしても、深淵のダンジョンって名前、すっげー気になるわー。
「ハリエットさん、この深淵のダンジョンってのが気になるんですけど……」
というわけで、ここはダイレクトに尋ねてみる。
「深淵のダンジョンねぇ……。そこはまだ誰もダンジョンコアにたどり着いてない、超難関ダンジョンなのよ。過去にモンスターが溢れだしたこともあって、猫の手も借りたいくらいダンジョンモンスターの間引きに忙しいから、一応ランク制限はなしで潜れるわよ」
「……それってやばくないですか?」
「ええ。ダンジョンでの死傷者数はダントツで大陸一ね。それにネスノラ州は、ほぼダンジョンで成り立ってる州で、腕のたつ冒険者やダンジョン探索者がいろいろ優遇されているせいか、相当治安が悪いのよ」
「へええ……」
まあ強さと人格に、関連性はないもんなぁ。
腕っ節が強くて、素行の悪い連中が、幅をきかせてるようなところか……。
「ダンジョン近辺の集落や街は、どこも似たようなものだけど、深淵のダンジョンがあるエイラン地区は、別格だわねぇ」
うーん、気になるけど、とりあえずスルーで。
しかし名前から推察するに、最深部にいるやつがラスボスかな?
それを倒せば、もしかしてミッションコプリート、的な?
……いや、でもエクストラダンジョン、的な匂いもするなぁ。
レアアイテムとかレアモンスターは出るけど、本筋には関係ない、みたいな……。
おおっと、いかんいかん! 現実とゲームをごっちゃにしたら無駄に死ぬだけだ。
とりあえず目指すべきは、エムゼタシンテ・ダンジョンだな。
というわけで……。
「ランクアップいってきまーす」
「はぁい、頑張ってねぇ」
攻撃魔術の練習をひととおり終えた俺は、ハリエットさんからダンジョンについていろいろと教わることになった。
ダンジョンというのは、『ダンジョンコア』なる正体不明の存在が生み出す、不思議空間のこと。
なにもないところに発生することもあれば、既存の洞窟や森林、廃墟などが、ダンジョンとして作り変えられることもあるとか。
滅んだ都市が丸々ダンジョンになる、なんてこともあるらしいが、人の生活空間からは少し離れた場所にできる、ってのは共通してるみたい。
「まぁ、ダンジョンが発生したらそこに人が集まるから、いま確認されているダンジョンは、どれも人里近くってことになるのだけのねぇ」
ダンジョンの中には『ダンジョンモンスター』という、魔物と同じような姿形はしているものの、性質は全く異なる存在が棲息している。
そしてそれらは、ほぼ無限に生み出されるらしい。
「そのダンジョンモンスターを倒すと手に入るのが、魔石というわけ」
この魔石ってのが、この世界では必要不可欠なエネルギー源になっている。
ダンジョンモンスターは倒すと死骸が残らず、魔石と、時々ドロップアイテムを残すんだとか。
なんだかゲームっぽい。
ダンジョンてのは、活動している限り恒久的にダンジョンモンスターを生み出し続けるんだが、ダンジョンコアを破壊すればその活動は停止する。
でも一定期間でダンジョンコアは復活し、活動は再開されるんだと。
完全にダンジョンを止めたければ、ダンジョンコアを破壊し、復活する前に、ダンジョンそのものを物理的に埋めるとかして、その場所を破壊するしかない。
とはいえ、ダンジョンは魔石の供給源だから、そうそう破壊されることはないみたいだけどね。
「まぁざっとこんなものかしら。もっと詳しい情報が必要ならこれ読んでね」
渡されたのは『はじめてのダンジョンガイド』という薄い冊子だった。
「ありがとうございます」
「10Gね」
ぐ……。
しかしこういう情報って、馬鹿にできないからな。
今の俺にとって10Gってのは、出せない額じゃない。
おとなしくギルドカードを預ける。
「さて、ダンジョン探索に乗り気になってくれたのは嬉しいんだけど、ここから一番近いエムゼタシンテ・ダンジョンだと、ソロの場合Eランク以上の冒険者じゃないと、入れないわよ?」
ダンジョン探索にはルールがあり、死傷者をできるだけ減らすために、実力に応じた入場規制や階層探索制限が設けられている。
エムゼタシンテ・ダンジョンの場合は、3人以上のFランク冒険者、またはひとり以上のEランク冒険者、というのが入場許可の条件らしい。
冒険者以外にも、国際ダンジョン協会が定める『ダンジョン探索者』という資格もあるらしいが、俺の場合は冒険者ランクを上げるほうが手っ取り早いだろうな。
「じゃあランクアップしてきます」
「あら、もうランクアップできるの?」
「ええ。実績は問題ないので、あとは試験を受けるだけだそうです」
そう、俺はEランクの魔物をそこそこ納品したのと、基礎戦闘訓練のおかげで、ランクアップ試験を受ける資格を、すでに得ていたのだ。
納品に関しては、なにげにグレイウルフの素材が効いたみたい。
あと、基礎戦闘訓練中にそれなりの実力を見せた者は、優先的にランクアップできるようだ。
俺はどうやら、カーリー教官からの覚えがよかったらしく、実戦でEランクの魔物を相手に問題なく闘えるようなら、いつでも試験を受けに来い、と言われていたんだよね。
「あらぁ、すごいわねぇ。じゃあこれ。がんばってね」
そういうと、ハリエットさんは大雑把な近辺の地図をくれた。
これまで気にしたことはなかったが、どうやら俺がいまいるのはエカナ州というところらしい。
こちらに転送されて以降、ずっと拠点にしている、ここトセマから北へいくと、州都エムゼタがある。
そのエムゼタより少し手前を東にずれた当たりに、エムゼタシンテ・ダンジョンがあるようだ。
「ここからこのエムゼタシンテ・ダンジョンってどれくらいの距離ですかね?」
「そうねぇ、馬車で半日ってところかしら。早朝の馬車に乗れば、お昼くらいには着けるわよ」
馬車で半日……、馬車の速度がわからんが、まあ6時間ほどで着くなら、そんなに遠くはないのかな?
あとほかにも、西の方に行くと、ふたつ隣の州になるが、ネスノラ州にタバトシンテ・ダンジョンってのと、深淵のダンジョンってのがあるな。
地図によれば、ここからエムゼタシンテ・ダンジョンまでの距離の、ちょうど倍くらいか……。
お、そのあいだにある、隣のトウェンニーザ州のところに書かれている、ヘルキサの塔ってのもダンジョンなのか?
ここも案外近いなぁ。
……それにしても、深淵のダンジョンって名前、すっげー気になるわー。
「ハリエットさん、この深淵のダンジョンってのが気になるんですけど……」
というわけで、ここはダイレクトに尋ねてみる。
「深淵のダンジョンねぇ……。そこはまだ誰もダンジョンコアにたどり着いてない、超難関ダンジョンなのよ。過去にモンスターが溢れだしたこともあって、猫の手も借りたいくらいダンジョンモンスターの間引きに忙しいから、一応ランク制限はなしで潜れるわよ」
「……それってやばくないですか?」
「ええ。ダンジョンでの死傷者数はダントツで大陸一ね。それにネスノラ州は、ほぼダンジョンで成り立ってる州で、腕のたつ冒険者やダンジョン探索者がいろいろ優遇されているせいか、相当治安が悪いのよ」
「へええ……」
まあ強さと人格に、関連性はないもんなぁ。
腕っ節が強くて、素行の悪い連中が、幅をきかせてるようなところか……。
「ダンジョン近辺の集落や街は、どこも似たようなものだけど、深淵のダンジョンがあるエイラン地区は、別格だわねぇ」
うーん、気になるけど、とりあえずスルーで。
しかし名前から推察するに、最深部にいるやつがラスボスかな?
それを倒せば、もしかしてミッションコプリート、的な?
……いや、でもエクストラダンジョン、的な匂いもするなぁ。
レアアイテムとかレアモンスターは出るけど、本筋には関係ない、みたいな……。
おおっと、いかんいかん! 現実とゲームをごっちゃにしたら無駄に死ぬだけだ。
とりあえず目指すべきは、エムゼタシンテ・ダンジョンだな。
というわけで……。
「ランクアップいってきまーす」
「はぁい、頑張ってねぇ」
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