天馬行空、狂った戯曲。

泪鴉

降参の旗

道の真ん中に旗が立っている。
不自然で不思議な
なんとも言えない旗だ。
風が吹いて、旗がなびいて
奥に少女の姿を見た。
その少女の名を
僕は知らなきゃいけない。
だって、妹だから。
なのに僕は思い出せない。
顔も、
名前も、
何も…思い出せない。
薄情な兄だ。僕は。
顔なしの少女と僕の
距離は未だに縮まらない。
旗を中心にして。

妙に晴れた世界の 
道の真ん中に旗が立っている。
それは、
僕の人生の道に置かれた
降参の旗と気づいたのは
少女と同じ世界に来たんだと
気づいたときだった。


コメント

コメントを書く

「詩」の人気作品

書籍化作品