好きになったらいけない恋

ホットコーヒー

第76話混乱

このまま抱きしめていたい。


このまま触れていたい。


このまま一緒にいたい。


このまま好きでいたい。


俺とカズヤの気持ちは完全と言っていいほどに一致しているみたいだ。


それ故にお互いを苦しめている。


好きの代償は大きい。


束縛 嫉妬


それからくる不安


1人でいると不安感で満たされる


2人で入れば幸福感に満たされる


こいつはその不安感が耐えきれないのだ


だから、今回みたいな答えを1人で導き出して俺と離れると言った。
もう会わないと言った。


この解決策はなんなのだろう


カズヤは答えを間違えた。


だから俺は正直傷ついた。


俺だったらどんな答えを出すだろうか


もしかしたら...


同じ答えを出したいたのかもしれない




カズヤが抱きしめられたまま眠っている間そんなことを考えていた。


『んん...』


カズヤが目を覚まし目をこする。


『せんぱぃ..』


俺の顔を見つめて笑みを見せる。


『おはよう』


何事もなかったかのように笑顔で返した。


もう、この事は振り返らないほうがいい。


あんな気持ちはもうしたくない。


『先輩..さっきは..』


カズヤが言うのを止める為にキスをした。


物凄く近い距離で目が見つめ合う。


カズヤは俺の気持ちを察したのかそれ以上言うのをやめた。




『明後日のバイト終わったら、夏フェスの準備買いに行こうか』


『はい! 何必要なんですか?』


いつも通りでいい。


いつものように楽しい日々を


過ごせるならそれだけで...





『夏フェスだからパリピになれるようなの買ってこうかなって...


サングラスとか髪も染めたいから
カラーワックスとか!』


『先輩何色にします!?
僕は何にしようかなぁ〜
銀とか...赤とか..』


『俺は青かなぁ〜 』


『似合いますかね?』


『知らんっ』


次の日バイト終わりに早速買い物に向かった。


サングラスはミラー型の反射するやつをお揃いで買ってカラーワックスはシルバーとレッドを購入した


早速家でつけてみる事になりカズヤが慣れない手つきでワックスを髪につける。


『ベトベトだなぁ〜 ワックスってこんなのなんですね』


『髪の毛セットした事無いのか..
やってやるよ。』


鏡の前でカズヤの後ろに立ち髪の毛にワックスをなじませる。


『おぉ〜髪の毛銀髪になってきましたよ。』


カズヤの髪は完全に銀色にした後ふざけて七三分けにした。


『やめてくださいよ! 』


『はははっ...似合ってるよ..フフッ』


カズヤの七三分けがツボにはまり笑いすぎて涙が出る。


カズヤが怒って手についてるワックスをくっつけようとしてくる。


『悪かったから..やめろ。
ちゃんとかっこよくしてやるよ。』


髪の毛をセットし直して前髪を上げてアップバンクスタイルにした。


『おぉ僕かっこいい!
先輩も赤くしてみて下さい!』


自分の髪を赤のカラーワックスで赤く染めてカズヤと同じアップバンクスタイルにセットした。


『フフッ 僕の方が似合ってますね..
写真撮りましょ!』


そう言ってパシャりと写真を撮った。


『自分じゃセットできないくせに...』


『...練習すればできますよ!』


カズヤがムキになる。


『フフッ 無理しなくても
俺がセットしてやるよ。』



でもその時は... 来なかったんだ。




次の日、バイトの時間になりお店に向かうと
カシワギさんから信じられない事を言われた。


『カズヤくんのお母さんからバイト辞めるって電話が昨日きたんだけど...何かあったのかな?』


(なにを言ってるんだ...俺に言わないでいきなり..)


頭の中が混乱した。


今すぐにもカズヤの元へ行きたかったがカシワギさんの迷惑になると思いカズヤにメールだけ送って制服に着替えた。


【ちゃんと話そう。
何かあったなら相談にのるから。】


バイト中は正直、上の空で全く集中できなかった。


あいにくお客さんはほとんど来なくバイトに支障はなかった。


バイト終わりに早速携帯を見るが返信は来ていなかった。


(...この前もおかしかった.. 解決したと思ってたのに..)


考えても解決できるはずもなくカズヤの家に向かってみた。


向かう途中電話をかけたが出てはくれなかった。


家は電気が消えており真っ暗だった。


試しにインターホンを鳴らしてみたが留守のようだ。


(なんなんだよ..もう..)


嫌な予感しかなかった。


原因は全くわからない。


とりあえず家に帰り部屋でカズヤから連絡が来るのを待っていた。


(なんで離れようとするんだよ...)


自然に涙が出てきて、こぶしを強く握る。


どれだけ待っても連絡は来なく気づいたら眠っていた。



携帯の着信音で目が覚めた。


名前を見るとカズヤからだ。


『おい!カズヤどーしたんだ。心配したんだぞ!』


『....サトシ君?』



その声はカズヤでは無かった。








          

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