好きになったらいけない恋

ホットコーヒー

第48話未来の話と後悔



『ハァハァハァ.... カズャ...』





少し前


先輩たちの卒業式も終わり、あと半月で最高学年になる。


さすがに進路を決めなければ行けない時期になってきた。


担任から渡された、進学か就職か今の考えに丸をつけて提出するプリント。


(この2つしか選択肢がないっておかしいと思う....)


などと馬鹿みたいな事を考えていた。


(俺のやりたいことか...)


カズヤとの帰り道、進路のことで頭がいっぱいでボーッとしていた。


『先輩何考えてるんですか?』


『ん?まぁ俺の将来のことだよ』


『お得意の進路ですね』


カズヤがまたかという顔をする。


『お前も来年考える時期くるぞ』


『僕もう決めてますよ!』


『え!?いつの間に?』


『先輩よりちゃんとしてるんで!』


自慢げに話してくる。


『で?進路は何に決めたの?』


『先輩と同じところに行きます!
就職なら就職で進学なら進学、僕どこでもいいんで...


先輩と一緒ならどこでも楽しいと思うんで』


『カズヤ...』


目を見つめ合う。


パシンッ


『なんて感動的になるとか思うなよ
自分の将来は自分でちゃんと決めろ。
後悔するぞ』


など言いつつも内心は少し嬉しい。


『ちゃんと考えましたよ。先輩いなかったら、僕はダメになると思います』


『俺がいなくても、友達できたろ
俺はもう心配してないよ...』


『あんなのはただの友達ですよ。
友達100人いても先輩1人には敵わないです。』





結局進路は未定のまま時間が過ぎ、提出日前日になってしまった。



夜中に部屋で1人ベットに横になりながらカズヤと出会ってからの事を考えていた。


ずっと一緒にいたいと言う考えは、正直俺も一緒だったが現実はそんなに甘くないと実際に進路を考えていく上で実感した。


(そーいやあいつ、世界回りたいとかなんか言ってたよな?


それも楽しそうだな...


見たことない世界見て回る


でもなぁ...就職したらそんなのできないし、進学してもなぁ...


カズヤの事も、今あるもの全部投げ捨てて海外に行くのも悪くないな)



プルルルル プルルルル


無意識にカズヤに電話をかける。


『先輩?どーしたんですか?』


『何してたかなって、忙しい?』


『別に暇ですよ!』


『そっか...進路のことで考えてたらなんか話したくなって』


『進路、決まったんですか?』


『まぁ、なんとなく...ただの夢見てる少年みたいな進路だけど』


『なんですかそれ 教えてください!』


カズヤの笑う声が聞こえる


『俺さ...海外行く...』


『え?.....』


『あるもの全部投げ捨てて海外行く』


『冗談ですよね?』


カズヤが半笑いな声で言ってくる。


『いや、本気かな。ちょっと分からないけど...』


『でも!...お金とか...言葉だって通じないし...』


『金は残り1年バイトすれば溜まるし
言葉は最低限勉強して、あとは語学学校でも..独学でもなんとかなるよ』


『でも...でも!僕と一緒にいるのが嫌になったの!? 嫌いに?
僕なんかしましたか?
したなら謝りますから... なんでそんな...』


『別にカズヤはなんもしてないよ
ただ、カズヤも前に言ってた世界回って見たいって楽しそうだなって』


『それだけの理由で...?』


『それだけでも十分な理由だよ...』


『そんな...先輩に会えなくなるなら...
そんな辛い未来が来るならぼく..しにますよ...』

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