好きになったらいけない恋

ホットコーヒー

第1話 第一印象は良くはなかった

高校2年生の春、ようやく新入部員が入部してくる


新入部員は2人、少ないが入ってくれてとても嬉しいものだ。


『初めまして、1年3組の小橋 純哉です。
これからよろしくお願いします!』


第一印象は悪くない低身長の爽やか君だ。


続いてもう1人も挨拶をするが声が小さくほとんど聞こえないので耳を澄ました。


『1年3組、渋谷 和也です...お願いします...』


暗くて地味そうな元気の無い子。


細身で、1人目の子より身長はあるが小動物って感じの幼い感じってのが第一印象。


顔は童顔タイプで可愛らしい感じ


(2人とも同じクラスか。 まぁ初対面だしこんなものか)


『それじゃあ、今日からよろしくね!
とりあえず初日だし座って見学してて!』


部長の挨拶を終え練習に戻る。


練習が終わり親睦も兼ねて、1年生を連れ部員全員で飯に行くことになった。


じゅんやは早くも馴染んでみんなと楽しげに話しているがカズヤはただ黙ってご飯を食べている。


『カズヤ..君 部活の雰囲気どう?』


『......』


視線をまったく合わせようとしてくれない


(ボソボソって聞こえたけど。聞き取れない)


『そっか〜 どこ中なん?』


頬を触り明らかに緊張している人のクセだ。


とりあえず会話を続けた。


『一中です...』


『そうか!』


『なんで弓道部入ったの?』


『........』


(んーと余程な人見知りなのかな?)


と思い、これからどうしようと考える。


『学校どう?楽しい?』


カズヤはうなずいたがここまで話して一向に暗い顔をしている。


『じゃあ今日は解散で気おつけてね。』


部長が占めてみんな別れたがカズヤと家の方向が同じなので一緒に帰ることにした。


自転車でゆっくり並列走行しながらめげずに話しかける。


『カズヤ...君はなんで弓道部に?』


『楽しそうかなって... ぼく、初めましての人と話すの苦手で,.』


相変わらず声は小さいがこたえてくれた。


(2人きりだとはなせるのかな)


『じゃあ俺こっちだから気おつけてね』


カズヤがコクリとうなずいた。


次の日から1年生も部活に参加したがカズヤは、ずっとこんな感じで、俺はなぜか見過ごせずめげずに話しかけ一緒に帰った。



そんなやりとりを続け2ヶ月ほどたったある日の帰り道。


『サトシ先輩?... 『君』つけなくていいですよ
呼び捨てで』


『ああ、そう? わかった!』


ここにきてようやく自分から話してくれるようになったと思った。


『カズヤって結構人見知り?』


『そーです... あまり人と話すの得意じゃないです。 めんどくさくてすみません...
先輩もわざわざ僕を気にかけてくれなくていいです』


(なんなんだ、こいつは...)


『そんな事言うなよ! カズヤは俺の後輩なんだから!』


『後輩ならジュンヤもいるじゃないですか
なんで僕ばっかり気にかけるんですか
先輩も僕を...』


カズヤの口が止まる


『僕を、なに?』


『...なんでもないです。』


『俺がお前といるのはカズヤと一緒なら楽しそうだなって思ったから!それに俺、同級生ってちょっと苦手だから』


笑ってみせるとカズヤも少しニヤッと笑う。


『僕と一緒にいて楽しいんですか?...』


コクリと頷く。


『だから、ジュンヤじゃなくて
お前といるんだよ』


『.....』


『それじゃ、また明日!』


別れ際にカズヤに呼び止められた。


『あの...せんぱい!』


これの正面によってきて、手を握る。


『...どーしたの?』


『...なんでもないです  先輩の手は暖かくて
いい感じの人の手ですね!』


『どーゆーこと?』


『こーゆーことです』


カズヤがそっとキスをしてきた。


突然のことで何がなんだか分からなかった。



『じゃあ、また明日! 先輩!』


『お、おう』


手を振るとニコッとお辞儀をして返してくれた。


次の日から部活中に俺にはより好意的に話しかけてくるようになった。


(昨日のキスはなんだったんだ?)


疑問が残る中少しずつ俺と打ち解けていきカズヤと一緒にいるのが少しずつ楽しくなった。


この時は、俺がこんなになるとは思ってもいなかった..

          

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