同世界転生の最強貴族

夜谷 ソラ

第三十三話 神の過去Ⅱ

    私は堕とされた。その世界の名前をイノルガン、つまり第4次世界と呼ばれている世界だ。そして、そこで私は気付いた。

「能力が封印されてない・・・・・?」

    手の甲には各神々ごとに分別された紋章が書いてあった。自分の元の紋章は、太陽の形をした花だったが、それは赤黒い頭蓋骨の紋章へと変わっていた。

「ああ・・・・・・。私は悪に染ってしまったのね・・・。もう迷いは無い・・・・。全てをめちゃくちゃに壊してやる」

    そんな時だった。何処からか兄の声が聞こえる気がする。

『誤るな。過ちを正す事は不可能に等しい。誤った時点でレナ、お前はもう邪神と同じだ。どうか、お前は、お前だけはせめて悪に染まらないでくれ・・・・・・』

「兄様・・・・・・ですが、すいません。言われたばかりですが、約束は破らせて頂きます・・・」

万物生成ナノクリエイティブ システムデータロード:魔王城   素材アイテム:神剛石   オブジェクト:魔王七名』

    そう唱え終わると、目の前に半径千キロにも及ぶ魔法陣が現れ、その中から禍々しい雰囲気を醸し出す城が出て来た。
    よーく周囲の魔力を感知しだすと、七名の微弱な魔力をようやく感知出来た。実はなのだが、私は目が悪く、あまり遠くは見えないのだ。
    そして、微弱とは言ったものの、それは兄と比べればという話だ。まあそもそも、あの化け物の兄と比べるのも可哀想でもあるが。

「我等を召喚せし主様よ。是非名をお聞かせ願えないだろうか?」

「・・・・・・私の名前は邪神、レナ・ガイアス。邪神の王よ」

「おお!我が主!我等の名前も聞いて下さらないだろうか?」

「良いでしょう。聞いてあげますよ」

    格好つけてはいる物の、なんと言っても主と言う響きににやけてしまいそうになる。
    左の奴から紅、深紅、蒼、翡翠、碧、紫、漆黒で、ハルグベデグ、エリオット、ベライジオ、サムクトペテル、セリーナ、ガルインフォート、ヴォルガべデクと言うらしい。
    ちなみに皆には二つ名もあるらしい。

くれない 【最凶さいきょうの魔王】
  ハルグベデグ

深紅しんく 【血怨けつえんの魔王】
  エリオット

そう 【殺抹さつまの魔王】
  ベライジオ

翡翠ひすい 【刻斬こくざんの魔王】
  サムクトペテル

みどり 【覇修はしゅの魔王】
  セリーナ

むらさき 【唸盲ねんもうの魔王】
ガルインフォート

漆黒しっこく 【廻皇かいこうの魔王】
ヴォルガべデク

「分かったわ・・・・・まあ、立ち話もなんだし、早く城に入ろうかしら」



現在

『と言う訳だよ。魔皇帝の君は愚か、誰も知らないだろうね。記憶を消したんだし』

「は、はぁー・・・・・なるほど・・・」

『久しぶりに兄様に会いたいなーなんてね・・・・・・』

    悲しみの風が吹いた。もう会える事は無いだろうけど、きっと会えることを期待しているのだ。


    冷たい風に流される少女の思いは、彼には届かず。ただいずれ、かの地に届く事を願っている、一人の少女が居た。
    だが、届かずとも、必然の運命というものが存在するのだった。

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