ユニークチート【恋の力】は確かに強いけど波乱を巻き起こす!?
夜のデート
現在アルフは、冒険者支援ギルドの前でソワソワしながらケイシーを待っている。
傍から見れば、初デートでソワソワしている様にも見えるだろう。
(一体どういう事なんだろうか。俺ケイシーさんにそんな好感度上がる様な事した覚え無いんだよな)
アルフ自身どうして夜のお誘いを受けているのか見当が付いていないようだ。
「お待たせアルフ君」
アルフはケイシ―の姿を見て唖然としてしまう。
ケイシーのその姿は普段アルフが見ている仕事着とは違って、黒いズボンに、仕事で扱っていた白いカッターシャツの上に茶色のパーカーを着ている格好であり、普段のケイシーとは違い、新鮮な恰好だ。
普段の恰好とは違うケイシーにアルフは見惚れてしまったのかもしれない。
「.....私の普段着変かな?」
ケイシーはアルフにじろじろと見られ、自分の服装が変なのではないかと勘違いしている。
「全然そんなことないです!素敵です!」
「あ、ありがとう」
アルフは必死に言った言葉だったが、それは本心だ。
だからこそだろう。ケイシ―は少し顔が朱色に染まっている。
(何で私が年下のアルフ君に惑わされてるの!しっかりしなきゃ!)
ケイシーは改めて気を引き締める。
「それじゃあアルフ君。夜の道の護衛よろしくね?」
「はい。分かりました。(ですよねー。別に期待なんかしてないし!)」
ちょっとだけ期待していたアルフだった。
「そういえばどうして急に今日は僕を呼んだんですか?」
突然の出来事であり、こんなことはアルフにとって初めての経験であった。
「そうだね。先に渡しちゃおうかな」
ケイシーはそう呟くと、自分のポーチバックに入っている軽装備の防具を渡す。
「え?これを僕にですか?」
「そうだよ」
その言葉でアルフは慌てだす。
「そ、そんなこんなの駄目ですよ!防具なんてとても高いんですから!」
アルフの言う事も最もだろう。防具を一式揃えるとしたら、金貨二枚以上はくだらない。
アルフ自身が持っている剣と防具は冒険者支援ギルドで無料で配布される支給品だ。無料という事もあって、剣の斬れ味はそこまで良い訳も無く、防具も良い代物とは言い難い。だからこそ大抵の冒険者は武器・防具店で自分に見合った物を買う。
実際アルフもそうしようと思っていたが、高すぎて買えなかったのだ。
「アルフ君に期待しているからこそ受け取って欲しいな」
「僕に期待なんて、とんでもないんですが、本当に受け取ってもいいんですか?」
「うん。それにアルフ君が貰わなかったら家に飾らないといけないし」
「......ならありがたく貰わせてください」
アルフはお辞儀をし、感謝しながらケイシーから防具を貰った。
「それに、後これも」
次にケイシーがバックから取り出したのは、本を二冊。
「一つが『冒険者の基本』の本と、『魔物図鑑』だから。これをしっかり読んで冒険しても無事に帰って来てね」
「本当に何から何までありがとうございます」
アルフはもう頭が上がらないようで、ずっと頭を下げている。そんなアルフに対してケイシーが苦笑いで頭を上げてと言われようやく頭を上げる。
「これ高かったんじゃないんですか?」
ケイシーがいくら稼いでいるからと言っても、一カ月の給料の四分の一は確実に消費している。
「気にしないで。私がしたくてしている事だから」
ケイシーにとってアルフは目が離せない存在なんだろう。何といってもアルフはレベル4だ。そんなアルフが冒険者としてやっていくとなれば、目が離せないのも当たり前だ。
だが、そこでふとケイシーの動きが止まる。
(私、普通にアルフ君と帰ってるけど、これってやばいんじゃないの?男と二人で一緒に私の家に帰るって事は.....)
ケイシーは今更ながら自分がどんな事をしているのか分かったようで、心の中で焦りを覚えるが、顔に出ていたのだろう。アルフが気付く。
「どうしたんですか?」
「な、なんでも無いから!」
(どうしよう。困った。けどアルフ君だし、大丈夫かな?だけど男っていざ行動にするとなると狼になるって言うし)
アルフと雑談しながら帰るケイシ―だったが、内心では困り果てていた。
(......あ、そういえば私レベル十だしアルフ君よりレベル高かった)
基本誰もがレベル十であり、ケイシ―も例外ではない。
アルフが聞けば号泣な理由でケイシーは身の安全が大丈夫だと悟ったようだ。だが、ケイシーは大事な事を忘れている。アルフには【最強願望】の能力があるのだ。それを使えば、アルフでもケイシーに勝てることを。
だが、もう大丈夫だと悟ったケイシーはアルフと雑談に入る。
「ねえ、アルフ君。もしアルフ君は困っている人がいたらどうする?」
「ケイシ―さん、困ってるんですか?」
「私じゃないよ。ただ困ってる人が今日いたからね」
アルフは少し悩む素振りを見せ、
「正直に言って困ってるなら助けてあげたいですけど、僕では力になれないと思いますよ」
「どうして?」
「僕が違うギルドだからですよ」
ギルドの間では暗黙の了解として基本、他のギルドとは関わらない。例外として商談等はあるかもしれないが、大抵の場合、いざこざを恐れて誰も関わろうとはしないそうしない。
だが、アルフの言葉はここで終わりではなかった。
「だけど、それが可能なのはケイシーさんですよ」
「私?」
「はい。ケイシ―さんのギルドは中立中正のギルドですよね?だからこそ、その人もケイシーさん達の所に行ったんだと思います。だからその人をケイシーさんが助けてあげてください」
アルフの言葉にケイシーは微笑を浮かべ、
「そうだよね。ありがとう、アルフ君。.....あ、ここが私の家だから」
「そうなんですか。それじゃあまた」
アルフはケイシーに別れの挨拶を伝え、帰って行く。その背後を見送っていたケイシーであったが、
(......そういえば、アルフ君は【最強願望】の能力があるから私でも倒せたんだった)
ケイシーは今になって気付いた。
(やっぱりアルフ君はそんな事する人じゃないよね)
何故かケイシ―からのアルフへの好感度が上がった。
ケイシーは安心して家に入ろうとした所で、声が掛けられる。それは当然と言うべきかアルフだ。
「ケイシ―さん!言い忘れてましたけど、ケイシーさんが期待している様な冒険者にはなれるか分からないですけど!頑張ります!」
アルフはそれだけ伝え、本当に要件が終わったように帰って行く姿をケイシーは微笑みながら見送るのだった。
家に戻ったアルフはケイシーから貰った『冒険者の基本』の本を見る。
(へえ、冒険者には前衛、中衛、後衛があるのか)
アルフは冒険者のぼの字も知らない男だった。
傍から見れば、初デートでソワソワしている様にも見えるだろう。
(一体どういう事なんだろうか。俺ケイシーさんにそんな好感度上がる様な事した覚え無いんだよな)
アルフ自身どうして夜のお誘いを受けているのか見当が付いていないようだ。
「お待たせアルフ君」
アルフはケイシ―の姿を見て唖然としてしまう。
ケイシーのその姿は普段アルフが見ている仕事着とは違って、黒いズボンに、仕事で扱っていた白いカッターシャツの上に茶色のパーカーを着ている格好であり、普段のケイシーとは違い、新鮮な恰好だ。
普段の恰好とは違うケイシーにアルフは見惚れてしまったのかもしれない。
「.....私の普段着変かな?」
ケイシーはアルフにじろじろと見られ、自分の服装が変なのではないかと勘違いしている。
「全然そんなことないです!素敵です!」
「あ、ありがとう」
アルフは必死に言った言葉だったが、それは本心だ。
だからこそだろう。ケイシ―は少し顔が朱色に染まっている。
(何で私が年下のアルフ君に惑わされてるの!しっかりしなきゃ!)
ケイシーは改めて気を引き締める。
「それじゃあアルフ君。夜の道の護衛よろしくね?」
「はい。分かりました。(ですよねー。別に期待なんかしてないし!)」
ちょっとだけ期待していたアルフだった。
「そういえばどうして急に今日は僕を呼んだんですか?」
突然の出来事であり、こんなことはアルフにとって初めての経験であった。
「そうだね。先に渡しちゃおうかな」
ケイシーはそう呟くと、自分のポーチバックに入っている軽装備の防具を渡す。
「え?これを僕にですか?」
「そうだよ」
その言葉でアルフは慌てだす。
「そ、そんなこんなの駄目ですよ!防具なんてとても高いんですから!」
アルフの言う事も最もだろう。防具を一式揃えるとしたら、金貨二枚以上はくだらない。
アルフ自身が持っている剣と防具は冒険者支援ギルドで無料で配布される支給品だ。無料という事もあって、剣の斬れ味はそこまで良い訳も無く、防具も良い代物とは言い難い。だからこそ大抵の冒険者は武器・防具店で自分に見合った物を買う。
実際アルフもそうしようと思っていたが、高すぎて買えなかったのだ。
「アルフ君に期待しているからこそ受け取って欲しいな」
「僕に期待なんて、とんでもないんですが、本当に受け取ってもいいんですか?」
「うん。それにアルフ君が貰わなかったら家に飾らないといけないし」
「......ならありがたく貰わせてください」
アルフはお辞儀をし、感謝しながらケイシーから防具を貰った。
「それに、後これも」
次にケイシーがバックから取り出したのは、本を二冊。
「一つが『冒険者の基本』の本と、『魔物図鑑』だから。これをしっかり読んで冒険しても無事に帰って来てね」
「本当に何から何までありがとうございます」
アルフはもう頭が上がらないようで、ずっと頭を下げている。そんなアルフに対してケイシーが苦笑いで頭を上げてと言われようやく頭を上げる。
「これ高かったんじゃないんですか?」
ケイシーがいくら稼いでいるからと言っても、一カ月の給料の四分の一は確実に消費している。
「気にしないで。私がしたくてしている事だから」
ケイシーにとってアルフは目が離せない存在なんだろう。何といってもアルフはレベル4だ。そんなアルフが冒険者としてやっていくとなれば、目が離せないのも当たり前だ。
だが、そこでふとケイシーの動きが止まる。
(私、普通にアルフ君と帰ってるけど、これってやばいんじゃないの?男と二人で一緒に私の家に帰るって事は.....)
ケイシーは今更ながら自分がどんな事をしているのか分かったようで、心の中で焦りを覚えるが、顔に出ていたのだろう。アルフが気付く。
「どうしたんですか?」
「な、なんでも無いから!」
(どうしよう。困った。けどアルフ君だし、大丈夫かな?だけど男っていざ行動にするとなると狼になるって言うし)
アルフと雑談しながら帰るケイシ―だったが、内心では困り果てていた。
(......あ、そういえば私レベル十だしアルフ君よりレベル高かった)
基本誰もがレベル十であり、ケイシ―も例外ではない。
アルフが聞けば号泣な理由でケイシーは身の安全が大丈夫だと悟ったようだ。だが、ケイシーは大事な事を忘れている。アルフには【最強願望】の能力があるのだ。それを使えば、アルフでもケイシーに勝てることを。
だが、もう大丈夫だと悟ったケイシーはアルフと雑談に入る。
「ねえ、アルフ君。もしアルフ君は困っている人がいたらどうする?」
「ケイシ―さん、困ってるんですか?」
「私じゃないよ。ただ困ってる人が今日いたからね」
アルフは少し悩む素振りを見せ、
「正直に言って困ってるなら助けてあげたいですけど、僕では力になれないと思いますよ」
「どうして?」
「僕が違うギルドだからですよ」
ギルドの間では暗黙の了解として基本、他のギルドとは関わらない。例外として商談等はあるかもしれないが、大抵の場合、いざこざを恐れて誰も関わろうとはしないそうしない。
だが、アルフの言葉はここで終わりではなかった。
「だけど、それが可能なのはケイシーさんですよ」
「私?」
「はい。ケイシ―さんのギルドは中立中正のギルドですよね?だからこそ、その人もケイシーさん達の所に行ったんだと思います。だからその人をケイシーさんが助けてあげてください」
アルフの言葉にケイシーは微笑を浮かべ、
「そうだよね。ありがとう、アルフ君。.....あ、ここが私の家だから」
「そうなんですか。それじゃあまた」
アルフはケイシーに別れの挨拶を伝え、帰って行く。その背後を見送っていたケイシーであったが、
(......そういえば、アルフ君は【最強願望】の能力があるから私でも倒せたんだった)
ケイシーは今になって気付いた。
(やっぱりアルフ君はそんな事する人じゃないよね)
何故かケイシ―からのアルフへの好感度が上がった。
ケイシーは安心して家に入ろうとした所で、声が掛けられる。それは当然と言うべきかアルフだ。
「ケイシ―さん!言い忘れてましたけど、ケイシーさんが期待している様な冒険者にはなれるか分からないですけど!頑張ります!」
アルフはそれだけ伝え、本当に要件が終わったように帰って行く姿をケイシーは微笑みながら見送るのだった。
家に戻ったアルフはケイシーから貰った『冒険者の基本』の本を見る。
(へえ、冒険者には前衛、中衛、後衛があるのか)
アルフは冒険者のぼの字も知らない男だった。
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