神の力を喰らった魔術師《マジックキャスター》

白葉南瓜

【第4話】みんなで仲良く

シルヴァとアイルの戦いが終わり、シルヴァはそのとき気絶し、今は、医務室に居た。
シルヴァは、目は覚めたものの、まだ《妖精の鱗粉ホーリーオーラ》の強化された効果でまだ体の自由が利かなかった。
(私は、こんなのところで寝ている暇なんて無いのに...なんで、あんなに強いんだアイル殿は)
シルヴァは、まだ眠くて少し重い頭を、そのことだけに集中して考え込んだ。だが、どんだけ考えてもその答えが出てこない。シルヴァは禁忌を犯したなんて事を考えたが、あの人がそんな事はしないと思ってその考えは除外していた。
だが、その禁忌を犯した考えを捨てたシルヴァには、アイルの力の源は分からない。


その事を考えながら時間が経つに連れて、少しずつ体が自由になってきた。その自由になった体でペンを走らせてその考えをメモしていった。
そこに、何か多くの荷物を抱えたアイルが帰ってきて、メモに真剣に向き合っているシルヴァを見て少し微笑んだ。

「体調は大丈夫ですか?すいません、自分のコートに魔法強化の力がついている事を忘れていて《王の槍ロンゴミニアド》だったり、《妖精の鱗粉ホーリーオーラ》だったり、獣人に辛い光属性を使ってしまい...しかも、精神魔術に分類される魔法も使ったし...」

「いえいえ、そんな謝らないでくださいよ!私が挑んで、ただ負けただけですから。この後、時間が有れば新しい武器を買いに行きましょう」

その事をアイルに言うと、アイルは少し困った様に少し顔を変えた。
その事に疑問を持ったシルヴァは首をかしげた。

「昼には、武器が欲しいって言ったけど、これね、魔道書に書かれてる中で一番強い短剣なんだよ...しかも、『上級魔術』で作成したやつだから、これ以上に魔術と相性がいい短剣ってないんだよね」

その事を笑いながら言っているアイルに対して、その力は何処から来ているのか疑問に思うシルヴァがいた。
(オールド殿は、アイル殿が小さい時に亡くなった、と義父は言っていたが...誰に此処まで教えてもらったのか)
その事を、何度も疑問に思いながら顎に手を当て首をかしげていると、多くの荷物を背中に背負い帰ろうとするアイルを横目にいい事を思いついたようにシルヴァは手を打った。

「アイル殿、今から帰りですよね?その重い荷物を持って結構な距離歩くのですか?」

「え、えぇ。此処から一時間ほどかかる場所に家があるので...」

その事を聞き、シルヴァはベッドから出て行き、外にいた使いの人に少し話しをしてから、直ぐに戻ってきた。

「今、馬車を用意させましたので、これを使って家へ帰ってください。私がお送りするのでご安心ください」

その、笑みはアイルには断りずらかった。
(なんか、戦闘をしてくれたお礼がしたいのかわからないけど...アマテラスがもうそろそろ限界なんだよな。しかも家でコートも脱ぐからばれないか心配なんだよね)
そんな事を、アイルは考えながら、その笑みに負けてその馬車を待つことになった。




馬車に乗り込み、それに揺られながら30分ほどで家の近くまで来てしまった。

「アマテラス、大丈夫かい?限界なら僕から吸ってもいいからね?」

『だ、大丈夫だ...少し、気持ち悪くなってるだけだ』

アマテラスがそんな事をいいながら、口を手で塞いでいるので、本当に限界が近いと言う事をアイルは悟った。

「少し、吸って早めに家に帰ってもいいよ。姿も出してても大丈夫」

「アイル殿、どうしましたさっきから独り言を?」

アマテラスと会話をしているアイルを不思議な目で見ながらシルヴァは少し細い目で見つめていた。アイルの手には魔道書が広げられている、それを見て、何かの呪文を練習していると勘違いをしてシルヴァは納得してしまった。


アマテラスが、少しマナを吸いアイルの近くから離れていき、先に帰宅した。
だが、アマテラスが離れていって直ぐに、家についてしまった。
(先に言った意味は何なんだ...アマテラス)

「ここが、アイル殿の家ですか」

シルヴァが興味深く周りを見渡している横でアイルは少し苦笑いをしていた。

「そんな珍しい物じゃないよ。これだって時雨草だし、この花だって治癒薬ポーションに使うオリオンローズだし。そんな珍しい物はないよ」

「ですが、こんな質のいいものは見たことが無いのでつい」

「あ、そうなの?なら帰るときに少し摘んでいけば?」

そんな事を話していると、リビングの窓から一人の美人さんが顔を出した。
それは、アマテラスだった。

「ね、姉さん...安静にしてないとだめでしょ、全く」

そんな事を言いながら、アイルは玄関から入っていった。それについて行き、シルヴァも中に入って行ったがその中は、神秘的で目を奪われていた。
廊下には、『マナの結晶』や『ミハナの蕾』といったレアな魔法素材などがあった。

「何でこんなに、貴重な素材があるんですか?」

「何でかって...この姉さんがコレクターで集めてたんだけど体が弱くなったから僕が使ってるんだよ。...で、なんでシルヴァさんも入ってきてるんですか?」

あ、と言わんばかりの顔で目をぱちぱちしていた。

「まったく、貴女は、一応、有名な家柄のお嬢様なんだから早く帰ってくださいよ」

アイルがそんな事をいいながら、時計を確認するともう夕食の時間になっていた。
その事に気付いたアイルはリビングに行きテーブルを見ると夕食の準備が行なわれていた。
(しかも、3人分...アマテラスめ図ったな!?)

そんな事を思いながら、3人仲良く夕食を済ましたアイルだった。

コメント

  • マウスウォッシュ

    Twitterのリツイート企画からやって来ましたよ。内容は割と王道めなファンタジーでなかなか良いと思います。
    1つアドバイスするとすれば、地の文の最初に全角スペースを使って、ちゃんと段落を作ると良いかも知れません。

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