この退屈な世界に死の饗宴を

つくつく

4話し合い(後編)

「西川、次からはもっと早く言え。」
と、委員長はため息をつきながら言った。
「ご、ごめんなさい。」
「とにかく、その謎の少女のことだが、、、俺は関わらない方がいいと考える。」
「は!?なんでだよ!助けるじゃないのか!?」
「助ける?その少女をか?」
「な、なんだよ。迷子かもしれないだろ?」
「佐藤、よく考えろ。あの怪物がいる場所に迷子で生き残ってる少女だ。それに、西川が聞いたのは笑い声だ。あの場所で笑うほどの余裕がある異常者だ。…まだ生き残ることで精一杯の状況で、そんな得体の知れない異常者と接触できるほど俺達に余裕はない。」
「うぐぐ、、。分かったよ!」
「それと、戦い方についてだが、そこにいる異常者は近接戦闘を行っていたが…」
と委員長は、祐樹を見ながら言うと
「できる限り距離をとり、あるだけの戦力で銃を使った方がいいだろう。」
「おい。待て委員長。誰が異常者だ。」
「新太郎だ。…あんな化け物を見て近接戦闘をする奴が普通の訳がないだろ。」
「う、うん。私も祐樹君ってちょっと普通じゃないなと思った。」
「悪りぃ。実は俺も」
と葵と朋也が躊躇いがちに言った。
「へ?…いや、だって朋也お前だって言ってたろ。漫画の世界に入ってみたいって」
「たしかに言ったけども、それとあんな化け物と近接戦闘がどう繋がるんだよ。」
「いや、だから、せっかくあんな世界に行けたんだから楽しもう!みたいな?」
「さすがに、そんなテンションであんな殺し合いできねぇよ。」
「どうでもいい。そこにいる水瀬のおかげで俺たちは今ここに居るんだ。あるのはその事実だけだ。…おんぶに抱っこで申し訳ないが、次も同じグループになった時は、また頼むぞ。」
「お、おう」
煮え切らない返事をした。
「全員言わなくても分かっているとは思うが…」
そう言って左の袖を上げるとそこには白いリングのようなものがあった。
「これは、あまり人にー」
「え!?いつの間に!」
朋也が遮り驚いたように左手についてあるリングを見ていた。
委員長は、3人の驚いた顔を見て顔をしかめると
「肋に傷を負った水瀬はまだ分かるが、お前ら二人は…」
呆れたようにため息をつくと
「一通り確認したが、今は、なんの機能もなー」
そう言いかけ委員長がリングに触ると、リングから光の文字が表示される。
そこには一人一人の顔写真が表示された。
それにまたしても朋也がニヤニヤすると
「あれれ〜?委員長みんなの連絡先が欲しいからって嘘ついちゃあダメでしょう」
「うるさい黙れ。…しかし、これは一体どう言うことだ。何かしらの条件があるのか。…俺が試した時に当てはまらなかった条件…」
考え込むようにじぃーっとリングを凝視していると
「水瀬。この家今は俺たち以外はいないな?」
「そうだけど、それが条件?」
「恐らくだが、半径何メートル以内に他の対象物がいないかだと思う。無関係な人にバレないようにするためだろ。俺の部屋は隣が妹だ。だから、朝の時点ではダメだったのだろう。」
「じゃあ、あのことって他のやつに喋ったら何かあるのか?」
と怯えながら朋也が言うと
「信じられないのが関の山だが、、言わないにこしたことはないな。」
祐樹は左手のリングをマジマジと見つめながら言う。
「でも、どうして外れないんだろうな。」
「どう言う意味だ?」
「連絡手段ならこっちの世界にもある。まして、全く知らない人間同士が集まっていた訳でもないし…なんか監視されてたりな。」
「さすがにそれはお前の考えすぎだろう」
「いや、あながち水瀬の考えで間違いないかもしれないぞ。」
「私もそう言われたらそんな感じしてきた。でも、そうだとしたらお風呂の時とか恥ずかいよね。」
「何はともあれ、次も生き残るのが先だ。」
そう言うと突然朋也が立ち上がり、手を突き出すと
「みんなで一致団結でえいえいおーやろうぜ。」
「お!いい案だね朋也君。」
「全くガキだな。佐藤は」
「とか言って嬉しかったりして」
「馬鹿を言うな!お前らに付き合ってやるだけだ。」
そう言って委員長も手を突き出した。もしかして本当に委員長って、、、。
と疑惑を感じながらもみんなの視線を受け渋々手を突き出し合わさると
「「えいえいおー!」」
と、朋也と葵が掛け声を出した。その瞬間だった。まるで待っていたかのようなタイミングで空間にノイズが走る。一瞬体が動かず、気づいた時には、昨日同様、学校に着いていた。
自分の格好を確認し、勘違いなどではないことを改めて実感した。
「お、おい。…マジかよ」
そんな声が聞こえ、そちらを見ると朋也がいた。その後ろには葵と委員長もいたが、3人とも教室の隅を見ておりそちらに視線を移動させると、そこには肩ほどまである髪に鋭い目つきの高身長の男が片足を立てて座っていた。この学校の有名人、、、、黒夜連がそこにはいた。






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