一万の聖剣を持つ精霊
魔法石 Ⅰ
ヒメ、イルミナ、俺はと言うと、再び園長室に来ていた。
ヒメ達も、先ほどの出来事で目が覚めているようだ。あれやこれやとリチャードと口論していた。
「だから先ほどから言ってるでしょう。別に校則には生徒個人での決闘の申し込みは禁止して無いですよ。あ、でも決闘をする場合は専用の施設があるのでそちらを使ってくださいね」
「だ〜か〜ら〜!そう言う事じゃなくて、新入生がいきなり決闘をするのはどうなのって言ってるの!!」
学園長室に机を叩く鈍い音が鳴り響く。
「ヒ、ヒメちゃん…私達のためにそこまで怒らなくても…」
「い〜やっ!怒るね!だってイルミナちゃん何も悪いことして無いじゃん!それにあいつら、こんなに可愛いくて強い私のイルミナちゃんに喧嘩を売るなんてあり得ない!りょうにーも何か言ったらどうなの!?」
ヒメはソファーで寛いでいる俺に声をかける。
その時の俺はと言うと、学園長室に来たときに出された紅茶を優雅に飲んでいた。
「は〜…だからさっきから言っているだろ?俺は別に決闘してもいいって言っているだろ?それと、イルミナはお前のでは無い」
そう、俺は初めから決闘については賛成だったのだ。
いくら言葉を語り掛けても伝わらないような奴は力でねじ伏せたほうが早い。まあ、洞窟にいた頃の俺は人の話を聞こうともしなかったが…。
「別に決闘したって良いじゃないか。所詮は苦労も知らない貴族のお子ちゃま達だ、イルミナが1対3で戦っても苦戦なんてしないだろ。それに、一度力を見せ付けておけば他の生徒の抑制にもなる」
「た、確かにそうだけど…」
俺の言葉に言い返せなくなったのか、ヒメはソファーに座り直す。
「と言うわけだリチャード。邪魔をしたな。寮に帰るぞ、イルミナ、ヒメ」
俺たちは紅茶を飲み干して、ヒメを先頭に扉に向かう。
ヒメとイルミナが部屋の外に出た頃に俺はリチャードに声をかける。
「そうだ、今晩くらいにもう一度ここを尋ねるかもしれないから紅茶を用意しといてくれないか?」
「良いですけど、何か用事でもあるんですか?」
「あぁ、例の戦いで聞きたいことがある。もちろん、そっちから聞きたいことがあればその時に聞いてくれ」
「わかりました。それではお待ちしていますね」
そう言い残して、俺たちは学園長室を出て行った。
帰り道、特に何も起きずに寮へと着いた。部屋に着いた途端、2人とも眠気が頂点に達したのかベットに倒れ込むかのように寝てしまった。寝ている間でもイルミナの尻尾や耳がピクピクと動き続けている。少しだけでも良いからモフモフしてみたい…。そんなことを考えながらも必死に堪え、寮室に付いているキッチンで料理を始める。
昨日の戦いの前に買っておいた素材は収納スキルにしまっておいたので新鮮なままだ。収納スキルには保存機能も付いているから便利で仕方がない。少し整理すれば400年前の魔物の肉が新鮮な狩りたての状態で出てくるくらいの保存機能はある。
「あいつらが起きる頃にはハンバーグ作っておかないとな」
時刻は6時頃、まだ夕方だが部屋の明かりをつけて調理をし始める。
ーーーー料理(略)ーーーー
「…ん、あれ…?私、寝ちゃってましたか…?」
「起きたかイルミナ。小一時間程度だ、眠たかったらまだ寝てても良いんだぞ」
俺は寝て良いと言ったが、イルミナのお腹と嗅覚はそれを許さなかった。
イルミナは「きゅぅぅ〜」と可愛らしくお腹を鳴らし、俺がテーブルに運んでいるお皿に目が釘付けになっていた。
「ん?…あぁ、昨日言ってたハンバーグが出来たところだが…食べるか?」
「食べます!今すぐに!ヒメちゃん起きてください」
イルミナは隣のベットで寝ていたヒメを物凄い勢いで叩き起こす。それを横目に俺は机に夕食を机に並べていく。この世界ではお箸の文化がないのか、台所に常設してあった食器にはスプーンにフォーク、ナイフくらいしか無かった。
俺が並べ終わった頃には、イルミナは眠たそうなヒメを机に誘導してきていた。
「りょうにーおはよう…」
「おはようさん。夕食の準備はしたからとりあえず椅子に座れ」
今日の夕食はトマトソースハンバーグと、鶏肉(?)のスープ、それと街の市場で買った野菜と収納スキルに入っていたいつの物かもわからない謎の野菜のサラダ。もちろん神眼で毒などはないか確認済みだし、味も問題なかったから大丈夫だろう。
「それじゃあ食べるとするか、いただきます」
「「いただきます!」」
俺は颯爽とハンバーグに手を付けた。ナイフで切り込んだ所から肉汁が溢れ出る。それを口に運び入れた途端、肉の旨味とトマトの酸味が舌を刺激して満足感に満たされていく。
なんだろう…ものすごく久しぶりに真面な食事をしている。精霊は食事を必要としないのでこの500年間、料理なんてこの世界に来てから初めてした。食事を必要としないとは言ったものの、味覚はなぜかあるので謎の木の果実を食べてみたり、俺を捕まえようとしてやってきたやつから剥ぎ取った保存食の味を確かめてみたりはしてた。保存食らしき物の味はどれも最悪だったが、俺の住んでいた洞窟に生えていた木の果実だけは美味かった。見た目はリンゴその物だったが味はぶどうに近かった。
過去に耽っている中、ふとイルミナに目線を移すと、彼女は目を輝かせながらハンバーグにかぶり付いていた。ナイフを使う事もなくフォークで一刺しして口に運び込んでいた。
よほど美味しかったのか、イルミナの尻尾がもの凄い勢いで横に揺れていた。
かくして、ヒメはと言うとハンバーグに手を付けていたものの、サラダをガツガツと食べていた。
「どうしたヒメ?そんなにサラダばっかり食べて…もしかしてハンバーグが美味しくなかったか?」
「ん?そんな事ないよ。ただ、エルフだからか知らないけど何故かお肉よりも野菜を多く食べてしまうんだよね〜」
そう言いながら、ヒメはスティック状のにんじんを食べていく。
『そう言うものなのか』と思いながら俺は早々に食事を済ませた。もちろん、リチャードの所を尋ねるためだ。
イルミナとヒメがまだ食事を続けている中、俺は食器を台所に持っていった後、部屋を出るドアに向かう。
「どこか行かれるのですか?リョーマ」
「あぁ、ちょっとした用事を思い出してな。2時間ほどで戻ってくるさ。食べ終わったら食器を台所に持っていっといてくれ」
そう言い残して俺は寮を出た。
ーーーーーーーーーーーー
変更点を追加します。
章ごとに話を書いてましたが、それをなくします。それに伴って後書きも消えてしまいます。理由としては章があると話が書きづらくなったからです。
それと、これからはできるだけ一話づつの文字数の量を増やしていこうと思います。
ヒメ達も、先ほどの出来事で目が覚めているようだ。あれやこれやとリチャードと口論していた。
「だから先ほどから言ってるでしょう。別に校則には生徒個人での決闘の申し込みは禁止して無いですよ。あ、でも決闘をする場合は専用の施設があるのでそちらを使ってくださいね」
「だ〜か〜ら〜!そう言う事じゃなくて、新入生がいきなり決闘をするのはどうなのって言ってるの!!」
学園長室に机を叩く鈍い音が鳴り響く。
「ヒ、ヒメちゃん…私達のためにそこまで怒らなくても…」
「い〜やっ!怒るね!だってイルミナちゃん何も悪いことして無いじゃん!それにあいつら、こんなに可愛いくて強い私のイルミナちゃんに喧嘩を売るなんてあり得ない!りょうにーも何か言ったらどうなの!?」
ヒメはソファーで寛いでいる俺に声をかける。
その時の俺はと言うと、学園長室に来たときに出された紅茶を優雅に飲んでいた。
「は〜…だからさっきから言っているだろ?俺は別に決闘してもいいって言っているだろ?それと、イルミナはお前のでは無い」
そう、俺は初めから決闘については賛成だったのだ。
いくら言葉を語り掛けても伝わらないような奴は力でねじ伏せたほうが早い。まあ、洞窟にいた頃の俺は人の話を聞こうともしなかったが…。
「別に決闘したって良いじゃないか。所詮は苦労も知らない貴族のお子ちゃま達だ、イルミナが1対3で戦っても苦戦なんてしないだろ。それに、一度力を見せ付けておけば他の生徒の抑制にもなる」
「た、確かにそうだけど…」
俺の言葉に言い返せなくなったのか、ヒメはソファーに座り直す。
「と言うわけだリチャード。邪魔をしたな。寮に帰るぞ、イルミナ、ヒメ」
俺たちは紅茶を飲み干して、ヒメを先頭に扉に向かう。
ヒメとイルミナが部屋の外に出た頃に俺はリチャードに声をかける。
「そうだ、今晩くらいにもう一度ここを尋ねるかもしれないから紅茶を用意しといてくれないか?」
「良いですけど、何か用事でもあるんですか?」
「あぁ、例の戦いで聞きたいことがある。もちろん、そっちから聞きたいことがあればその時に聞いてくれ」
「わかりました。それではお待ちしていますね」
そう言い残して、俺たちは学園長室を出て行った。
帰り道、特に何も起きずに寮へと着いた。部屋に着いた途端、2人とも眠気が頂点に達したのかベットに倒れ込むかのように寝てしまった。寝ている間でもイルミナの尻尾や耳がピクピクと動き続けている。少しだけでも良いからモフモフしてみたい…。そんなことを考えながらも必死に堪え、寮室に付いているキッチンで料理を始める。
昨日の戦いの前に買っておいた素材は収納スキルにしまっておいたので新鮮なままだ。収納スキルには保存機能も付いているから便利で仕方がない。少し整理すれば400年前の魔物の肉が新鮮な狩りたての状態で出てくるくらいの保存機能はある。
「あいつらが起きる頃にはハンバーグ作っておかないとな」
時刻は6時頃、まだ夕方だが部屋の明かりをつけて調理をし始める。
ーーーー料理(略)ーーーー
「…ん、あれ…?私、寝ちゃってましたか…?」
「起きたかイルミナ。小一時間程度だ、眠たかったらまだ寝てても良いんだぞ」
俺は寝て良いと言ったが、イルミナのお腹と嗅覚はそれを許さなかった。
イルミナは「きゅぅぅ〜」と可愛らしくお腹を鳴らし、俺がテーブルに運んでいるお皿に目が釘付けになっていた。
「ん?…あぁ、昨日言ってたハンバーグが出来たところだが…食べるか?」
「食べます!今すぐに!ヒメちゃん起きてください」
イルミナは隣のベットで寝ていたヒメを物凄い勢いで叩き起こす。それを横目に俺は机に夕食を机に並べていく。この世界ではお箸の文化がないのか、台所に常設してあった食器にはスプーンにフォーク、ナイフくらいしか無かった。
俺が並べ終わった頃には、イルミナは眠たそうなヒメを机に誘導してきていた。
「りょうにーおはよう…」
「おはようさん。夕食の準備はしたからとりあえず椅子に座れ」
今日の夕食はトマトソースハンバーグと、鶏肉(?)のスープ、それと街の市場で買った野菜と収納スキルに入っていたいつの物かもわからない謎の野菜のサラダ。もちろん神眼で毒などはないか確認済みだし、味も問題なかったから大丈夫だろう。
「それじゃあ食べるとするか、いただきます」
「「いただきます!」」
俺は颯爽とハンバーグに手を付けた。ナイフで切り込んだ所から肉汁が溢れ出る。それを口に運び入れた途端、肉の旨味とトマトの酸味が舌を刺激して満足感に満たされていく。
なんだろう…ものすごく久しぶりに真面な食事をしている。精霊は食事を必要としないのでこの500年間、料理なんてこの世界に来てから初めてした。食事を必要としないとは言ったものの、味覚はなぜかあるので謎の木の果実を食べてみたり、俺を捕まえようとしてやってきたやつから剥ぎ取った保存食の味を確かめてみたりはしてた。保存食らしき物の味はどれも最悪だったが、俺の住んでいた洞窟に生えていた木の果実だけは美味かった。見た目はリンゴその物だったが味はぶどうに近かった。
過去に耽っている中、ふとイルミナに目線を移すと、彼女は目を輝かせながらハンバーグにかぶり付いていた。ナイフを使う事もなくフォークで一刺しして口に運び込んでいた。
よほど美味しかったのか、イルミナの尻尾がもの凄い勢いで横に揺れていた。
かくして、ヒメはと言うとハンバーグに手を付けていたものの、サラダをガツガツと食べていた。
「どうしたヒメ?そんなにサラダばっかり食べて…もしかしてハンバーグが美味しくなかったか?」
「ん?そんな事ないよ。ただ、エルフだからか知らないけど何故かお肉よりも野菜を多く食べてしまうんだよね〜」
そう言いながら、ヒメはスティック状のにんじんを食べていく。
『そう言うものなのか』と思いながら俺は早々に食事を済ませた。もちろん、リチャードの所を尋ねるためだ。
イルミナとヒメがまだ食事を続けている中、俺は食器を台所に持っていった後、部屋を出るドアに向かう。
「どこか行かれるのですか?リョーマ」
「あぁ、ちょっとした用事を思い出してな。2時間ほどで戻ってくるさ。食べ終わったら食器を台所に持っていっといてくれ」
そう言い残して俺は寮を出た。
ーーーーーーーーーーーー
変更点を追加します。
章ごとに話を書いてましたが、それをなくします。それに伴って後書きも消えてしまいます。理由としては章があると話が書きづらくなったからです。
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