一万の聖剣を持つ精霊
魔物狩り Ⅲ
「ウォォォォォォオオオォォオォ!!」
オークキングの雄叫びにより戦場の視線は全てオークキングへと奪われる。
先程まで攻撃を仕掛けてた魔物達や兵士たちもオークキングを見る。
途端にオークキングがまた雄叫びをあげる。
「ウォォォォォォオオオォォオォ!!」
状況が一変した。
王国の兵士たちは怯え始め、魔物達は嬉々とした表情で兵士たちに襲いかかる。
「ちくしょう! どうなってんだ!?」
その問題は一瞬にして神眼が教えてくれた。
=============
「王の覇気」
自分のレベルよりも低い敵は恐怖状態になる。また味方の場合は攻撃力上昇、興奮状態になる。
=============
ここで応戦している兵士たちは魔物達と同等のレベル、高くても25程度だ。
「チッ、このブタは早めに潰した方が良さそうだな...」
俺はイルミナとヒメの方へと目を配らせる。
そこに居たのはヒメを結界で庇い続けるイルミナの姿が目に映った。
----sideイルミナ----
「ウォォォォォォオオオォォオォ!!」
突如と現れた大型の魔物により戦場は一転してしまった。先程まで結界の外から攻撃を繰り返していた魔物が活性化し始めた。
「うぅ、耳鳴りがひどいです....」
私は獣人族だから聴覚、視力、嗅覚、身体能力などといった部分が他の種族よりも圧倒的に長けている。
「そう言えばヒメちゃんは!?」
私が振り返るとヒメちゃんは多少は動けているものの、足が震えて魔物を相手するにも危険な状態だった。目には先ほどまでに見えていた自信と明るさが無くなってしまっていた。
「ヒメちゃん!」
「イ、イルミナちゃん…」
私はヒメちゃんに駆け寄り囲う様に結界を張る。
「……だよ…」
「え?」
「あんなの無理だよ…」
ヒメちゃんの表情はいつもの物とは考えれ無い程に『恐怖』で染まってしまっていた。その言葉に私は何も言い返せずに黙り込んでしまう。
「ぐぁぁぁぁぁあぁああ!」
不意に悲鳴のした方を振り返ってしまう。そこにあった光景は…魔物が…人を食べていた。その光景を目にした途端に私の手は震え始めてしまった。
先ほどまで魔物達に応戦していた兵士さん達もヒメちゃんと同じ様に『恐怖』と言う名の感情で埋め尽くされている様に見えた。このままでは何十人、何百人、それどころか魔物が王国に入ってしまえば街の人たちがどんどん犠牲になってしまう。
「私が…助けなきゃ…」
手が震えてしまい言う事を聞かない。そして思ってしまう。
……私には、何が出来るのだろう……
このままだったらヒメちゃんを助ける事は出来るだろうが兵士さん達に未来はないだろう。
前を見る、結界越しに攻撃を繰り返して来る魔物達。いくら魔法を打ち込んでも減る気配が見えず、むしろ増えてる様にも見えた。
しかし、彼が見えた。魔物と魔物の隙間から見える。どれだけ魔物に囲まれていても全力で戦うリョーマの姿を。あの大型の魔物に立ち向かっている姿を。
出来るかは分からない、出来たとしてもどれだけ持つかも分からない。ただ、今の最善を尽くす!
「結界ッ!」
ーーーーsideリョウマーーーー
オークキングを取り巻いている魔物と応戦している時だった。背後から膨大な魔力を感じ取った。振り返ってみると王国全体を囲うまでに大きな結界が張られていた。多分イルミナの物だろう。
今までに見た事の無いくらいに大きな結界。俺はイルミナの成長を嬉しく思い、その嬉しさを噛み締めながら魔物を斬り捨てる。
先程までいた魔物達を片付けた今、俺の前に立ちはだかるのはオークキングただ一匹。
「よう、待たせたな。お前もさっさとお掃除してやるよ」
俺はオークキングを睨みつける。オークキングはこの状況を見て嘲笑う様に俺と戦場を見つめる。おおよそこの戦場を圧制しているのは自分達だと思って居るのだろう。
先に動いたのはオークキングの方だった。
地面を直径1メートルほどくり抜いて土の塊を投げてきた。
「そんなもん効くかよッ!」
聖剣で土の塊を真っ二つに斬り捨てる。
俺は土の塊で姿は見えない。その隙をついて相手の懐に駆け寄る。距離は20メートル程あったが速さには自信があった。少しソニックブームが起きて地面が抉れてしまったが多分なんの問題もない。多分…。
「おらよッ!」
「!?」
俺は一気に肩の根元から腕を斬り落としてやった。しかし、少し距離を取った途端に再生してしまっていた。
「おいおい、再生能力高すぎじゃねぇか?俺よりも速いぞ」
距離を取った時間はおよそ1秒。その瞬間にオークキングの腕はほとんど再生してしまっていた。俺でも腕を再生させようとしたら10秒程かかるのになんだこの差は?
「グオォォォォォォオオ!」
「その技は俺にはきかねぇよ!」
するとまたもやオークキングは土の塊を投げ飛ばしてきた。先ほどと同じ様に俺は土の塊を斬り捨ててからオークキングとの距離を詰める。前とは違って、近ずいたら殴ってきたがなんの問題も無かった。俺はその腕を斬り落とす。ついでにミンチ状に切り刻んでやるおまけ付きだ。
「生命力が高くても、再生するとしてもそれよりも速く斬り刻めば問題ない!」
俺は続いてもう一本の腕と両足を吹き飛ばし仰向きにさせる。オークキングの赤黒い血が地面に飛び散るがそんな事は関係ない。血が溢れるだけではこのブタは死なない。
続いて心臓部分(胸)を斬り刻んでいく。返り血が体にかかろうとも気にしない。ただひたすら再生していく肉をミンチ状にして吹き飛ばす。何本も収納スキルから聖剣を取り出す。速く、もっと速く…!
「グォォォォォオオ!」
手足が再生して抵抗しようとするもすぐに吹き飛ばす。
斬り刻む事数秒、とうとうオークキングの心臓部が見えてきた。心臓は大きな結晶の様なもので出来ており魔力を放っていた。
「ビンゴだな」
俺は被さりそうな肉を全て吹き飛ばしてから大きく飛び上がった。収納スキルから弓矢を取り出してその結晶へと照準を合わせて弓を引く。
すぐに再生を行い結晶を隠そうとするがもう遅い。
「バイバイだ」
「ッ!?」
そして俺は矢を放った。
矢は結晶を貫通し地面へと到達する。その途端に衝撃波を出しながらクレーターが出来上がり砂埃が舞い上がる。
ーーーーーーーーーーーーーー
どうも皆さん夢野です。
最近、小説家になろうで新しいお話を書き始めました。そのため、なので更新ペースが遅くなると思っていてください。詳しくはTwitterで説明してますのでそちらでよろしくお願いします。
オークキングの雄叫びにより戦場の視線は全てオークキングへと奪われる。
先程まで攻撃を仕掛けてた魔物達や兵士たちもオークキングを見る。
途端にオークキングがまた雄叫びをあげる。
「ウォォォォォォオオオォォオォ!!」
状況が一変した。
王国の兵士たちは怯え始め、魔物達は嬉々とした表情で兵士たちに襲いかかる。
「ちくしょう! どうなってんだ!?」
その問題は一瞬にして神眼が教えてくれた。
=============
「王の覇気」
自分のレベルよりも低い敵は恐怖状態になる。また味方の場合は攻撃力上昇、興奮状態になる。
=============
ここで応戦している兵士たちは魔物達と同等のレベル、高くても25程度だ。
「チッ、このブタは早めに潰した方が良さそうだな...」
俺はイルミナとヒメの方へと目を配らせる。
そこに居たのはヒメを結界で庇い続けるイルミナの姿が目に映った。
----sideイルミナ----
「ウォォォォォォオオオォォオォ!!」
突如と現れた大型の魔物により戦場は一転してしまった。先程まで結界の外から攻撃を繰り返していた魔物が活性化し始めた。
「うぅ、耳鳴りがひどいです....」
私は獣人族だから聴覚、視力、嗅覚、身体能力などといった部分が他の種族よりも圧倒的に長けている。
「そう言えばヒメちゃんは!?」
私が振り返るとヒメちゃんは多少は動けているものの、足が震えて魔物を相手するにも危険な状態だった。目には先ほどまでに見えていた自信と明るさが無くなってしまっていた。
「ヒメちゃん!」
「イ、イルミナちゃん…」
私はヒメちゃんに駆け寄り囲う様に結界を張る。
「……だよ…」
「え?」
「あんなの無理だよ…」
ヒメちゃんの表情はいつもの物とは考えれ無い程に『恐怖』で染まってしまっていた。その言葉に私は何も言い返せずに黙り込んでしまう。
「ぐぁぁぁぁぁあぁああ!」
不意に悲鳴のした方を振り返ってしまう。そこにあった光景は…魔物が…人を食べていた。その光景を目にした途端に私の手は震え始めてしまった。
先ほどまで魔物達に応戦していた兵士さん達もヒメちゃんと同じ様に『恐怖』と言う名の感情で埋め尽くされている様に見えた。このままでは何十人、何百人、それどころか魔物が王国に入ってしまえば街の人たちがどんどん犠牲になってしまう。
「私が…助けなきゃ…」
手が震えてしまい言う事を聞かない。そして思ってしまう。
……私には、何が出来るのだろう……
このままだったらヒメちゃんを助ける事は出来るだろうが兵士さん達に未来はないだろう。
前を見る、結界越しに攻撃を繰り返して来る魔物達。いくら魔法を打ち込んでも減る気配が見えず、むしろ増えてる様にも見えた。
しかし、彼が見えた。魔物と魔物の隙間から見える。どれだけ魔物に囲まれていても全力で戦うリョーマの姿を。あの大型の魔物に立ち向かっている姿を。
出来るかは分からない、出来たとしてもどれだけ持つかも分からない。ただ、今の最善を尽くす!
「結界ッ!」
ーーーーsideリョウマーーーー
オークキングを取り巻いている魔物と応戦している時だった。背後から膨大な魔力を感じ取った。振り返ってみると王国全体を囲うまでに大きな結界が張られていた。多分イルミナの物だろう。
今までに見た事の無いくらいに大きな結界。俺はイルミナの成長を嬉しく思い、その嬉しさを噛み締めながら魔物を斬り捨てる。
先程までいた魔物達を片付けた今、俺の前に立ちはだかるのはオークキングただ一匹。
「よう、待たせたな。お前もさっさとお掃除してやるよ」
俺はオークキングを睨みつける。オークキングはこの状況を見て嘲笑う様に俺と戦場を見つめる。おおよそこの戦場を圧制しているのは自分達だと思って居るのだろう。
先に動いたのはオークキングの方だった。
地面を直径1メートルほどくり抜いて土の塊を投げてきた。
「そんなもん効くかよッ!」
聖剣で土の塊を真っ二つに斬り捨てる。
俺は土の塊で姿は見えない。その隙をついて相手の懐に駆け寄る。距離は20メートル程あったが速さには自信があった。少しソニックブームが起きて地面が抉れてしまったが多分なんの問題もない。多分…。
「おらよッ!」
「!?」
俺は一気に肩の根元から腕を斬り落としてやった。しかし、少し距離を取った途端に再生してしまっていた。
「おいおい、再生能力高すぎじゃねぇか?俺よりも速いぞ」
距離を取った時間はおよそ1秒。その瞬間にオークキングの腕はほとんど再生してしまっていた。俺でも腕を再生させようとしたら10秒程かかるのになんだこの差は?
「グオォォォォォォオオ!」
「その技は俺にはきかねぇよ!」
するとまたもやオークキングは土の塊を投げ飛ばしてきた。先ほどと同じ様に俺は土の塊を斬り捨ててからオークキングとの距離を詰める。前とは違って、近ずいたら殴ってきたがなんの問題も無かった。俺はその腕を斬り落とす。ついでにミンチ状に切り刻んでやるおまけ付きだ。
「生命力が高くても、再生するとしてもそれよりも速く斬り刻めば問題ない!」
俺は続いてもう一本の腕と両足を吹き飛ばし仰向きにさせる。オークキングの赤黒い血が地面に飛び散るがそんな事は関係ない。血が溢れるだけではこのブタは死なない。
続いて心臓部分(胸)を斬り刻んでいく。返り血が体にかかろうとも気にしない。ただひたすら再生していく肉をミンチ状にして吹き飛ばす。何本も収納スキルから聖剣を取り出す。速く、もっと速く…!
「グォォォォォオオ!」
手足が再生して抵抗しようとするもすぐに吹き飛ばす。
斬り刻む事数秒、とうとうオークキングの心臓部が見えてきた。心臓は大きな結晶の様なもので出来ており魔力を放っていた。
「ビンゴだな」
俺は被さりそうな肉を全て吹き飛ばしてから大きく飛び上がった。収納スキルから弓矢を取り出してその結晶へと照準を合わせて弓を引く。
すぐに再生を行い結晶を隠そうとするがもう遅い。
「バイバイだ」
「ッ!?」
そして俺は矢を放った。
矢は結晶を貫通し地面へと到達する。その途端に衝撃波を出しながらクレーターが出来上がり砂埃が舞い上がる。
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コメント
るーるる
おー!!なろう系に小説描き始めたんですね!!
投稿ペース遅れるのは、残念てますが小説頑張ってください!!
そちらも楽しく読ませていただきます