一万の聖剣を持つ精霊

夢野つき

結果発表

「じゃ、じゃあ探して来ますね...」
「あぁ、見落としてくるなよ」

 今日は入学試験の結果発表の日だ。昨日は宿に泊まり、明日に備えていたのだが、イルミナが緊張のせいで少し寝不足だ。本当に見落としていないか心配になって来る。俺も行った方がいいか?
 やはり王国の学園と言ったところだろうか。結果発表を見に来てる奴も多い。

「おっ、リョウマじゃん!」
「...ん? あぁ、ヒメか。この前はありがとうな、お前は受かったのか?」
「あったりまえよ!なんだって私二位だったんだよ!」
「おぉー、それは凄いな。イルミナは今自分のを探しに行ってるところだ」
「ふーん、そうなんだ。でもイルミナちゃんの名前は一位のところに書いてあったよ」
「...え?」

 今日の朝、イルミナは下の方から探してくると言っていた。これとてつもなく時間がかかるんじゃないか...。

「...ねぇリョウマ」
「ん? 何だ?」
「あなたって…前世の記憶はある?」

 俺は突然の言葉に声が出なかった。
 もちろん前世の記憶は残っている。だが、それを聞かれるとは思ってもみなかった。

「...ううん、やっぱ何でもない。さっきのは忘れて」

 彼女は笑顔を見せてくれるが、その顔の裏には少し寂しそうな、悲しいような物が見えた気がする。
 俺が彼女、ヒメに話しかけようとした時だった。ちょうど人混みからイルミナが戻ってきた。

「うぅ〜、書いてないですよぉ〜...」
「あ、イルミナちゃん!」
「ヒメさん! ヒメさんはどうでしたか?」

 ヒメは先程の表情など無かったかのようにイルミナへと話しかけていた。

「もちろん私は受かってたよ♪イルミナちゃんもあったよ!」
「ほんとですか!?」
「うん!こっちだよ!」

 そう言ってヒメはイルミナを引っ張って行く。

「お、おい、ちょっと待てよ!」

 俺はヒメとイルミナを追いかけて行く。
 俺が追いついた頃にはイルミナは顔を真っ赤にして下を向いていた。それを必死になだめるヒメが俺の目には映った。

「うぅ〜、リョーマ〜」

 イルミナは俺が近ずいた瞬間に背中へと隠れてしまった。確かにヒメが言っていた通り、イルミナの名前が一番上に書いてあった。

「どうしたイルミナ?」
「...恥ずかしいです...//」

 ...これは人を殺しにくる可愛さだな。俺の心臓が持たなくなりそうだ。
 俺とイルミナは結果発表を見たので宿に一度戻る事にした。その横ではヒメがずっと謝っていた。
 三日後からは宿を出て学園の寮へ移る予定だ。初めは恥ずかしがっていたイルミナだが後になって実感が湧いたのか嬉しくて仕方が内容だ。
 ...頼むから夜更かしだけはやめてくれよ…。
 あと、ヒメとの話もいつか詳しくしないといけないな。

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