一万の聖剣を持つ精霊

夢野つき

三章 入学試験 Ⅰ

俺とイルミナは今、魔法・精霊王国学園の正門前、入学試験受付の場所まで来ていた。

「しっかし、来る前から思っていたが、ほんとに大きいな」
「そうですね...」

 学園の場所は王城の近くの南側、言わば、住宅地より少し離れた所にあった。学園は横に並ぶ王城と引けを取らない程大きかったのだ。

「受付は...あそこか、イルミナ行くぞ」
「うん!」

受付前では、多くの人が並んでいた。予想以上に多いな。
 俺達は列の最後尾につく。

「結構長いね、どれくらい待つのかな?」
「さぁ、それはわからんが気長に待ってろ。...それにしても、少し周りが騒がしいな」
「確かに、そうですね…。」

イルミナは聴覚がとても優れているから何でか分かっているような、少し暗い顔をしていた。
 耳を済ませてみると、『何で獣人風情がこんな所に居るんだ?』や、
『汚ぇ、どっか行ってくれねぇか?』などの罵声が聞こえてくる。大体が貴族のボンボンが言っていた。

「イルミナ、気にしなくてもいいぞ」
「...うん、」

俺がイルミナを慰めながら待つこと二十分程、もうすぐで順番が回ってこようとした時

「おい、お前達、そこどけよ!」
「ん? もしかして、俺達か?」
「そうだよ!獣人風情がこのビース様の前にたってんじゃねぇ!」

...何だこのガキ...。敬語というものを知らねえのか?俺の方が絶対に歳上だぞ。まあ、見た目は子供だけどな。

「すまんが、俺たちの方が先に並んでいたんでな、そこは譲れん」
「何だと!?貴様、俺に逆らうのか!?こうなったら、貴族との格の差を思い知らせてやる!」

すると、ビースと名乗ったガキは腰にかけてある剣を抜いた。剣の構えや、持ち方は実に隙だらけだったが、剣は少し面白い構造をしていた。

「へッ!なんだお前、魔術剣(レガリア)も知らねぇのか?これだから庶民は、なら見せてやるよ!」

 剣を振るには結構な距離があったが、ビースが剣を振りかぶった瞬間、魔力が込められたのが見えた。すると、剣からは斬撃のように風が出てきた。何だこれは?
 俺は、風の斬撃を収納スキルから取り出した赤黒い竜の剣で切り捨てた。今のは魔法だったのか?

「どうだ! 驚いただろ!」
「ああ、驚いたが弱過ぎないか?」
「何を!? 調子に乗るなよ!」

 すると、ビースはまた剣に魔力を込めて構えた。

「ちょっと! 何してるの!」


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