一万の聖剣を持つ精霊

夢野つき

二章 猫族の村 Ⅰ

 あれから、俺はイルミナと色々と話し合った。今の状況の整理やこれからの事、それに村の事についても。

「お前が戻っても悲しむだけかもしれないぞ。戻ってみるのか?」
「うん、村の事はあまり好きでは無かったけど、お母さんがまだ居るかもしれないし。それに...」
「うん?どうした」
「いや、何にもないです」

彼女は何事も無いように笑顔を見せてきたが、少し不安そうな顔をしていた。
 まあ、自分の家族が襲われたかもしれないんだ。心配にもなるよな。

「それじゃあ、村に行ってみるか」
「あれ、精霊さん、お外に出れるのですか?」
「さっきも言っただろ。俺はお前と精霊契約をしたから、お前の近くしか移動出来ないが、外に出られるようになったんだよ。
 それに、その呼び方は言いづらいだろ。リョウマって呼んでくれ。」
「リョーマ?分かったです。それなら、リョーマは私をイルミナって呼んでください」
「お、おう。わかった」

少しだけだが顔が熱くなった気がした。
 俺たちは外に向かって歩き出した。前までは小さな魔物が居たのだがドラゴンが来たせいか、洞窟の中には俺とイルミナの足音しか聞こえない。

「そう言えば、まだ言ってなかったですね…ありがとう。精霊契約ってリョーマからしたら人生で一度しか結べないんでしょ。それを私となんかと契約してまで助けてくれて...」
「勘違いするな。俺は話し相手を失うのが嫌だっただけだ。深い意味はない」
「ふふ、それならいいけど」

イルミナは笑っていたような気がした。何かおかしかったか?
 そして、俺はこの世界に来て初めて洞窟から出た。外は木々の至る所が焼きただれていて、あまり綺麗とは言いがたかったが俺の何かが変わったような気がした。

「リョーマ?村はこっちだよ。早く行こ」
「ああ、そうだな…」

初めての外はあまり上手くはいかなかったが、この嬉しさを味わいながら俺はゆっくりと歩き出した。

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コメント

  • 夢野つき

    精霊契約についてです。女の子(イルミナ)が死んでしまった場合、精霊はその地にとどまり一定範囲は動けなくなります。簡単に言うと、洞窟の時と一緒です

    0
  • ノベルバユーザー307210

    精霊契約って、女の子死んだらリョウマどーなるの?

    2
  • ノベルバユーザー319162

    リョウマの「感じがいするな。はわざとですか?「勘違い」ではないのですか?

    1
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