みんな異世界大好きやな。どんだけ異世界行きたいねん。
第六話 大発見やん!
会議の結果、犯罪者が法的処置を受けずにAWRを使った場合は異世界転生できない、ということを公表するのは、世界人口がAWR発売から三十パーセント以上減少してからということになった。他にも色々話し合ったところはあるが、主な内容はそれくらいだ。
「はぁ、やっぱ二人の方が落ち着くなあ」
スターツのメンバーが帰ったあと、湊は夕食を作りながら、ポテチのゴミなんかを片付けるチーコに呼びかける。
「うーん、チーコはみんながいる時も二人でいる時も楽しいよ?」
「まあ分かるで、俺も別に嫌いなわけやあらへんし」
「うん、知ってる」
ニヒヒと変な笑い声をあげるチーコに、湊は
「もうできるからちゃっちゃと片付けてーや」
と照れ隠しでもするように大きめな声を出した。
そうして二人で手を合わせ、湊が作ったビビンバを同時に口の中へ放り込む。そんな日常を日常として過ごしていた矢先、さっきと同じような流れで湊が「ん? んんん?」とビビンバをすくったスプーンを咥えたまま硬直した。
「どったの湊くん」
「ちょっ、にゃんやほりぇ! ふぃとくぁ!」
湊はビビンバを撒き散らしながら驚きの声をあげるなり、スプーンを咥えたまま立ち上がってマイク付きヘッドフォンを装着した。チーコにも同じヘッドフォンを投げてやる。
湊は口の中に残っていたビビンバをごくんと飲み込み、咥えていたスプーンを口から抜き取って
「どうしたんやそれ!」
とマイクに向かって興奮した声で言った。
湊が驚いていたのは他でもない、萬原が人のような小さな生物を地上五メートルほどを飛んでいるカメラに向かって突き出していたからだ。湊は慌ててカメラを萬原に近づける。
「どうしたんすかそれ」
湊は萬原が持っているのを確認して、さっきの言葉を敬語で言い直す。
『いやぁ、そこの建物が綺麗だったからあそこで今日は夜を明かそうって話になって、中に入ったらこの子が・・・・・・』
見た目は髪が長く女の子っぽい。見てくれは完全に人間と同じで、小学一年生くらいだろうか。髪の色がピンクなのがとても印象的な子供だった。
「そうか、こりゃすごいことになりよったな・・・・・・」
湊は目をパチクリさせるチーコに「みんなに連絡頼むわ」と片手でお願いするポーズをとり、再びモニターに目を向ける。
「えーっと、そんじゃあいきなりで悪いんやけど、その子と一緒に行動してくれへんか?」
『えっ、ああ・・・・・・』
笠木が少女と目を合わせた。
『いいじゃないですか萬原さん!』
困惑気味の萬原の背を姫白が押す。すると萬原も納得したようで『そうだよね。わかったよ』と、そっと少女を地面に下ろした。
『この子の名前なんて言うんすかね』
山田が興味津々と行った様子で少女の頭を撫でた。すると嫌がったのか嬉しがったのか、少女が全く聞き取ることのできない言葉を発して笑い出した。笑い出したと言うことは多分、嫌がっていたと言うわけではなさそうだ。
「そういえばそうやな、言葉が通じるはずないよな。宇水さんなんか作ってくださいよ。宇水さんの能力なら構造なんか知らんくても、なんでも作れるんで」
『なんかって・・・・・・こんなのとか?』
湊からの無茶振りに宇水は首を傾げながら、手のひらからコンニャクのようなものを作り出した。
『これって・・・・・・』
「そうそう! そう言うことで——」
『ド○えもんのアレじゃないっすか!』
山田が湊の言葉を遮って突っ込んだ。萬原は『本物って初めて見た・・・・・・』と感動しているようにも見える表情でコンニャクを見つめていた。
「さあ早く食わしてやってください!」
湊は未知が未知でなくなるかもしれない可能性に興奮が抑え切れず、つい宇水を急かす。
『はいはい、ちょっと待って。ほら、大丈夫だから食べてみてっ』
宇水が作り出したばかりのコンニャクを少女の口に当てた。
少女は始め、少しためらっていたが、宇水の笑顔を見たからだろう。パクリと一口コンニャクをかじり、初めての食感なのか驚き慌ててそれを飲み込んだ。
『コホッコホッ・・・・・・』
少女はコンニャクを噛まずに飲み込んだせいで咳き込み、目に涙を浮かべながら『どう?』と安心感のある笑みを浮かべる宇水を見上げた。
『あんまり、味しない・・・・・・』
「うおっ! 喋ったやん!」
湊の揚げた声に少女がビクつく。
『ちょっと笠木さん。女の子怖がってるじゃないですかー』
「すまんすまん。それにしてもびっくりや、宇水さんなんでもありですやん」
湊が笑うと、余ったコンニャクをもごもごしていた宇水は「ドラえ○んになるってこういう気持ちなんだね」としゃがんで少女の頭を撫でた。
『お名前は?』
『えーっと・・・・・・うーん・・・・・・っと、忘れた』
『そっかぁ、じゃあ私たちが考えてあげよっか』
宇水は立ち上がり不思議そうな顔をする少女に自信ありげな表情で笑いかけた。
『いいですねそれ! 富典は何がいいと思う?』
『美春・・・・・・とか?』
『ああ〜あたしたちの間に子供が生まれたらそんな名前にする気だったのかなあ?』
姫白と山田が所構わずイチャつき出す。そんな姫白に脇腹を突かれて山田が『やめろよー』なんてやり取りをしているのを見て、独身を貫き通してきた宇水が酔った時のテンションで割り込んだ。
『はいはいわかりましたよー。この子の名前は小夜ちゃんね』
『な、何がわかりましたよーなんですか!? てか小夜ってどっから出てきたんすか!』
『なによ異世界に来てまでイチャついて。髪色がピンク、ピン子。そーゆーことよ』
『そーゆことって言われても・・・・・・』
フンと鼻息を荒くしてふてくされる宇水の隣で萬原が『大御所じゃないか』と笑っている。どうやら萬原には宇水がなぜ小夜という名前にしたのかわかるようだ。
「山田くん、君何も知らへんなぁ。あとでググっときぃー」
『ググるって・・・・・・この世界にネット環境ないっすよ!』
山田が鋭いツッコミを入れたところで、先ほど小夜という名を付けられた少女が自分のことを指差し『小夜?』と宇水を見て小首を傾げた。
『そうよー、あなたは小夜ちゃん。今日から一緒に生活することになるからよろしくね』
宇水は手のひらを小夜に向けハイタッチを求めると、小夜はぎこちない動きになりながらもその手のひらに自分のものを重ねて言った。
『よろしく』
「はぁ、やっぱ二人の方が落ち着くなあ」
スターツのメンバーが帰ったあと、湊は夕食を作りながら、ポテチのゴミなんかを片付けるチーコに呼びかける。
「うーん、チーコはみんながいる時も二人でいる時も楽しいよ?」
「まあ分かるで、俺も別に嫌いなわけやあらへんし」
「うん、知ってる」
ニヒヒと変な笑い声をあげるチーコに、湊は
「もうできるからちゃっちゃと片付けてーや」
と照れ隠しでもするように大きめな声を出した。
そうして二人で手を合わせ、湊が作ったビビンバを同時に口の中へ放り込む。そんな日常を日常として過ごしていた矢先、さっきと同じような流れで湊が「ん? んんん?」とビビンバをすくったスプーンを咥えたまま硬直した。
「どったの湊くん」
「ちょっ、にゃんやほりぇ! ふぃとくぁ!」
湊はビビンバを撒き散らしながら驚きの声をあげるなり、スプーンを咥えたまま立ち上がってマイク付きヘッドフォンを装着した。チーコにも同じヘッドフォンを投げてやる。
湊は口の中に残っていたビビンバをごくんと飲み込み、咥えていたスプーンを口から抜き取って
「どうしたんやそれ!」
とマイクに向かって興奮した声で言った。
湊が驚いていたのは他でもない、萬原が人のような小さな生物を地上五メートルほどを飛んでいるカメラに向かって突き出していたからだ。湊は慌ててカメラを萬原に近づける。
「どうしたんすかそれ」
湊は萬原が持っているのを確認して、さっきの言葉を敬語で言い直す。
『いやぁ、そこの建物が綺麗だったからあそこで今日は夜を明かそうって話になって、中に入ったらこの子が・・・・・・』
見た目は髪が長く女の子っぽい。見てくれは完全に人間と同じで、小学一年生くらいだろうか。髪の色がピンクなのがとても印象的な子供だった。
「そうか、こりゃすごいことになりよったな・・・・・・」
湊は目をパチクリさせるチーコに「みんなに連絡頼むわ」と片手でお願いするポーズをとり、再びモニターに目を向ける。
「えーっと、そんじゃあいきなりで悪いんやけど、その子と一緒に行動してくれへんか?」
『えっ、ああ・・・・・・』
笠木が少女と目を合わせた。
『いいじゃないですか萬原さん!』
困惑気味の萬原の背を姫白が押す。すると萬原も納得したようで『そうだよね。わかったよ』と、そっと少女を地面に下ろした。
『この子の名前なんて言うんすかね』
山田が興味津々と行った様子で少女の頭を撫でた。すると嫌がったのか嬉しがったのか、少女が全く聞き取ることのできない言葉を発して笑い出した。笑い出したと言うことは多分、嫌がっていたと言うわけではなさそうだ。
「そういえばそうやな、言葉が通じるはずないよな。宇水さんなんか作ってくださいよ。宇水さんの能力なら構造なんか知らんくても、なんでも作れるんで」
『なんかって・・・・・・こんなのとか?』
湊からの無茶振りに宇水は首を傾げながら、手のひらからコンニャクのようなものを作り出した。
『これって・・・・・・』
「そうそう! そう言うことで——」
『ド○えもんのアレじゃないっすか!』
山田が湊の言葉を遮って突っ込んだ。萬原は『本物って初めて見た・・・・・・』と感動しているようにも見える表情でコンニャクを見つめていた。
「さあ早く食わしてやってください!」
湊は未知が未知でなくなるかもしれない可能性に興奮が抑え切れず、つい宇水を急かす。
『はいはい、ちょっと待って。ほら、大丈夫だから食べてみてっ』
宇水が作り出したばかりのコンニャクを少女の口に当てた。
少女は始め、少しためらっていたが、宇水の笑顔を見たからだろう。パクリと一口コンニャクをかじり、初めての食感なのか驚き慌ててそれを飲み込んだ。
『コホッコホッ・・・・・・』
少女はコンニャクを噛まずに飲み込んだせいで咳き込み、目に涙を浮かべながら『どう?』と安心感のある笑みを浮かべる宇水を見上げた。
『あんまり、味しない・・・・・・』
「うおっ! 喋ったやん!」
湊の揚げた声に少女がビクつく。
『ちょっと笠木さん。女の子怖がってるじゃないですかー』
「すまんすまん。それにしてもびっくりや、宇水さんなんでもありですやん」
湊が笑うと、余ったコンニャクをもごもごしていた宇水は「ドラえ○んになるってこういう気持ちなんだね」としゃがんで少女の頭を撫でた。
『お名前は?』
『えーっと・・・・・・うーん・・・・・・っと、忘れた』
『そっかぁ、じゃあ私たちが考えてあげよっか』
宇水は立ち上がり不思議そうな顔をする少女に自信ありげな表情で笑いかけた。
『いいですねそれ! 富典は何がいいと思う?』
『美春・・・・・・とか?』
『ああ〜あたしたちの間に子供が生まれたらそんな名前にする気だったのかなあ?』
姫白と山田が所構わずイチャつき出す。そんな姫白に脇腹を突かれて山田が『やめろよー』なんてやり取りをしているのを見て、独身を貫き通してきた宇水が酔った時のテンションで割り込んだ。
『はいはいわかりましたよー。この子の名前は小夜ちゃんね』
『な、何がわかりましたよーなんですか!? てか小夜ってどっから出てきたんすか!』
『なによ異世界に来てまでイチャついて。髪色がピンク、ピン子。そーゆーことよ』
『そーゆことって言われても・・・・・・』
フンと鼻息を荒くしてふてくされる宇水の隣で萬原が『大御所じゃないか』と笑っている。どうやら萬原には宇水がなぜ小夜という名前にしたのかわかるようだ。
「山田くん、君何も知らへんなぁ。あとでググっときぃー」
『ググるって・・・・・・この世界にネット環境ないっすよ!』
山田が鋭いツッコミを入れたところで、先ほど小夜という名を付けられた少女が自分のことを指差し『小夜?』と宇水を見て小首を傾げた。
『そうよー、あなたは小夜ちゃん。今日から一緒に生活することになるからよろしくね』
宇水は手のひらを小夜に向けハイタッチを求めると、小夜はぎこちない動きになりながらもその手のひらに自分のものを重ねて言った。
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コメント
焼菓子
面白いですね!話の流れがわかりやすくて登場人物たちの仲の良さが伝わります。これからも頑張ってください
くろまめ
読ませていただきました!とても新しい設定だったので面白かったです。これからも頑張って下さい!
長谷川壮真
ありがとうございます!由来になった人を小夜からイメージするのはなかなか至難の技ですからね(笑)
今後も湊たちの行く末を見守ってやってください!
さぶれーぬ
一話からこっそり追っておりました|ू・ω・ )親しみやすいキャラクターたちにが勢揃いで楽しく読ませて頂いております\( ¨̮ )/!小夜ちゃんのお名前の由来が分からなかった私は山田くん達世代みたいです… 笑
今後もみんなの冒険を応援しております!頑張ってください!