ほとんどチートもらえないと言われたのに十分チートな件

スザキ トウ

第9話


俺はどうやら第9部隊に配属されるらしく今、第9部隊が訓練してるらしい場所へと向かっている。
ルナも一緒に第9部隊に配属されることを望んだのだが流石に戦えない女の子を戦場に立たせるわけにはいかないので説得してハイドに他の仕事をもらってくるように言った。
説得した際に剣を教える約束をさせられたがそんなことはお安い御用だ。
むしろ仲間になってからなかなか触れ合える機会がなかったから仲良くなるためにそういう機会は欲しかったところだ。
第9部隊は遊撃隊で新設されたばかりだから隊長がおらずちょうどいいからお前がやれとリンに言われてしまった。
いきなり入ってきた人間が隊長だなんて納得するのだろうかと不安になったがその心配はいらないらしい。
新設された第9部隊の人間は全て新参者で構成されていて訓練も何もしておらず連携の取りようがないから遊撃隊という役割なのだそうだ。

訓練場所に到着するとすぐに金髪のガラの悪いヤンキーが近づいてきた。

「お?  アンタが今日新しく来るっつー隊長サマか?」

「あぁそうだが……」

「おーい!  お前ら〜隊長サマが到着したぞ〜」

ヤンキーが訓練中の兵達に声をかけると兵達はすぐに訓練を止め俺の周りにわらわらと集まってきた。

「あの人が隊長?  なんか細いね」
「あんなほっそい腕で大丈夫かよ」
「隊長なんだから指示さえ出せればいいんじゃない?」
「ばっか!  あんな細いのが実戦に出たことあるわけねーだろ!  指示なんて出せねーよ」

なんか入った時に見かけた兵達と違ってここの兵達はそれぞれ勝手なことを言ってくれている。
新参者だからろくに訓練されておらずザッ傭兵って感じの奴らなんだろう。

「ほら隊長。なんか挨拶してくれよ」

ヤンキーに促されて俺は人数はだいたい20人くらいかな?  と確認し舐められてるなぁと思いながら挨拶をすることにした。

「えーっと、俺の名前は日向快斗、日向の方が性だ。
得意武器は一応片手剣かな?  よろしく頼むよ」

ぶっちゃけどう挨拶すればいいのかわからないから無難な感じになってしまった。
すると後方の方から前の人をかき分けて赤髪の女性が前に出てきた。
短髪で中性的な顔立ちの女性にモテそうな女性って感じだ。
彼女も傭兵なのかな?  女性で傭兵なんてすごいな。

「おい隊長サン?  アタシ達は命を張ってやってんだよ。
見るからにヒョロヒョロで弱そうなアンタになんか命を預けられないね。
アンタの指示に従うつもりはないね!
従って欲しいなら力を示しな!」

おうふ。まあそらそうだよな。
命を預けるのが見るからに弱そうな男って俺でもヤだもん。
けどどうしよう。従ってくれないと俺が困る。
隊長を降りることなんてどうせ出来ないし部下が指示に従わずに何かやらかしたら俺の責任になる。
流石に遊撃隊と言えども司令塔が無いとめちゃくちゃに暴れ出して最悪な事態に陥ってしまうかもしれない。

Aアンサー。力を見せつけることを提案します。
すでにマスターは第1階位のレベル31。
そこらの傭兵では敵わないと推測されます〉

おっと?  いつの間に俺はレベル31までいってたのだろうか。
確かレベル20超えたあたりでいくら狼を狩っても全く進むことができずにそこらへんで止まってた気がするんだが?

Aアンサー。盗賊団を倒した時にレベルが大幅に上がっております。
マスターは集中していたようでレベルアップの通知は気付いていない様子でした。
また、その際に新たなスキルもいくつか獲得しております〉

なるほど、あの時は集中してたから気づかなかったのか。
確かになんかうるせえなと思ってた気がせんでも無い。
後でステータス確認しとくか。
とりあえず今はこの場をなんとかしないとな。

「えーっと、君と俺が模擬戦でもして俺が勝ったら従ってくれる?」

「はっ!  女だからって甘く見てんのか!  
いいだろう!  言っとくがアタシはこの中じゃ一、二を争うほどの剣の腕前だ!  」

ええーん、Q&Aヘルプさん本当に勝てるの?  これ。

Aアンサー。問題ありません。
訓練中の彼女の動きからレベル、剣術レベル共にマスターより下位のものだと判別できています〉

いつの間に見てたんだQ&Aヘルプさん。
まぁそういうことなら大丈夫か。

「オーケー。俺が勝ったら君らは俺を認めて指示に従うって事で異論はないな?」

「わかった。あとアタシは君じゃ無くてアデリナだ。アンタが勝ったら従ってやるよ。他の奴らもそれでいいな?」

「まあアデリナに勝てるんだったらな?」
「いいんじゃね?  この中にアデリナに勝てるやつなんていねーだろ」

「と、言う訳だ。アタシが勝ったらアタシらは好きにやらせてもらうよ」

「んじゃ俺が審判やる〜」

そうか。模擬戦だから一応審判は必要か。
なんかヤンキーが審判を申し出てきた。

「ヴェルだ。スラム街育ちの孤児だから性はねえ。よろしくな?  隊長サン」

ヤンキーの名前はヴェルというらしい。
そしてスラム街育ち……うん。荒くれ者って感じするわ。

「んじゃ得物は訓練用の木剣な。はい配置についてー」

「別に当たらねーから真剣でもいいぜ?  アタシは木剣使ってやるからよ」

「アデリナちゃん、もしも怪我したら洒落にならないでしょ〜いいから配置について」

お互いに木剣を持って構える。
アデリナはこちらを舐めたような発言を繰り返しているが構えに隙はこれっぽっちも見当たらない。
流石に自信満々なだけある。
えーこれ俺勝てんの?  全くビジョンが浮かばないんだが。

Aアンサー。大丈夫です。

よし、Q&Aヘルプさんが言うなら大丈夫だ。多分。

「はじめ〜」

ヴェルの緊張感のない合図で模擬戦は始まった。
開始早々アデリナは鋭い突きを繰り出してきた。

「あぶねっ!」

なんとか躱せたものの突きは確実に俺の喉元に狙いを定められていて当たれば呼吸困難、最悪死ぬレベルのものだった。

「うおっ!」

最初の一撃をなんとか躱してホッとしたのもつかの間第二撃、第三撃目も正確に俺の急所を的確に突いてきた。
しかも恐ろしいほどスピードが早い。
やばくね?  ねえQ&Aヘルプさんこの人早いよ?  

Aアンサー。剣戟予測スキルを使用しますか?〉

は?  何だその便利そうなスキル。
そりゃもうYESだ!

〈スキル剣戟予測を開始します〉

ほうほうこの赤い線に剣が来るんだな?
赤い線に触れないように動けばいいから楽だわこれ。

「クッちょこまかと避けやがって!  なんでアタシの方が早いのに当たらないんだよ!」

「それは企業秘密って事で」

「ふざけるな!」

俺が簡単に躱し始めたためにアデリナはイライラして大振りになり始めた。

「おいおい隊長サン避けてばっかじゃ勝てねーぞー」

「アデリナも遊んでんじゃねーよー」

「お前ら黙れ!」

野次でさらにイライラしてるなぁ。
避けてばっかじゃ勝てないのも事実だし俺からも攻撃するか。

俺はアデリナが接近した瞬間剣を横一線になぎ払った。
割と雑な攻撃だったと思うがイライラしてるアデリナは反応が遅れて剣で受け止めるしかなかった。

ギャァッン!

「ぐっ!」

剣で受け止めたアデリナは後ろの方へ吹っ飛んで背中を強く打ってしまった。
俺はその隙を逃すはずもなくアデリナの元へ駆け寄り首元を喉に剣を突きたてようとして……横から伸びてきた剣に阻まれた。

「勝負ありです。カイト様は剣を納めてください」

横から伸びてきた剣の持ち主は黒髪で長身のイケメンだった。イケメンホロベ。
えぇまた新キャラかよもうお腹いっぱいだって……

「ほとんどチートもらえないと言われたのに十分チートな件」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く