ほとんどチートもらえないと言われたのに十分チートな件

スザキ トウ

第6話


「はぁぁぁ」

終わったと思うと思わず口からため息が漏れた。
何とか殲滅することができたな。
リンがくれたこの剣の斬れ味がデカかった。
しかし昔テロリストを殺した時よりも良心が痛まないな……命が軽いこの世界に染まってしまったのか?  まぁいい。助けれたのだから良しとしよう。
あっあの子の事忘れてた。

「あ、あのー?」

声の方へ振り向くとあの子が駆け寄ってきた。
蒼く艶のある長い髪、陶磁器のような白い肌に非常にバランスがよく配置された顔のパーツ。下に目を向ければ引き締まった肢体に女性を意識してしまう大きな胸。
彼女がもしも高校生ならばアニメの世界の話のような毎日男子が告白しにくるという事が現実に起こるかも知れないと思えてくるほど美しかった。
服が乱れてはいるがそれ以上の事はされてなさそうで本当に良かったと思う。

「あの、私ルナと申します」

思わず見惚れてしまっていた俺の意識が彼女の声に呼び戻される。

「あ、あぁ……俺はカイト、大丈夫かい?」

「はい!  助けていただいてありがとうございます」

彼女は感謝してる様子で深々と頭を下げる。

「もうちょい早く助けてあげれたらよかったんだけどね。遅くなってすまなかった」

「いえ、まだ身を汚される前ですし助けていただいただけでも……本当にありがとうございます」

彼女……ルナは何度も頭を下げる。
よほど怖かったのだろう。男に集団で囲まれて犯されそうになったのだからそりゃそうか。

「えーっと……これからどうする?  一応ペルグの街までなら送って行くけど家はどこ?」

そう言うとルナの顔に陰が浮かぶ。

「そう……ですね……。実は私はペルグの街の近隣の村出身なのですが故郷はもうすでに……」

しまった迂闊だった……。
よく考えたらルナの故郷はこの盗賊団に全滅させられたことを想像するのは簡単な事だった。

「ご、ごめん……」

「いえ、お気になさらず……。あの、カイトさんは何をなされてる方なのですか?」

「えーっと決まった職にはついてないというか魔物を狩って生活してるというか……旅人?  かな?」

おっと?  これはまさかまたテンプレくるか?  
こんな美少女が私を旅に連れてって言うパティーンか???  
まさかまさかくるのか???  テンプレ来ちゃうのか???  
まだ旅に出るとは決めてなかったけど旅に出なくてはならぬのではないか???  
なぁなぁQ&Aヘルプさんや、どう思う?  なぁどう思う?

〈………………〉

だんまりかよQ&Aヘルプさん冷たいな。

「もしよかったら……一緒にくる?」

「よろしいのですか?」

パッと花が咲くかのような笑顔をルナは浮かべて言った。
ちくしょう可愛すぎるだろ!

「マ、マジで?」

「ご迷惑じゃなければ是非」

ご迷惑なんてあるものですか!  異世界最高ですよ〜ハイ。

「わかった。じゃあ一旦ペルグの街に戻ろうか。っとその前に……」

俺は気になることがあって倒した盗賊達の死体を調べ始めた。

「?  どうしたんですか?」

「ん?  ちょっと気になることがあってね。調べ物」

「気になること?」

「うん。こいつら団長とか先輩とか言ってたでしょ?  俺の盗賊団のイメージだとボスとかアニキとか使ってるイメージ何だよね。団長とか先輩ってどこぞの騎士団見たいじゃないか。
それに服はボロいけど防具や剣がちゃんとしたものだったのが気になる。
何か手がかりは無いかと思ってね」

口を動かしながらも装備品を重点的に調べてた俺はとある紋章がついたペンダントを発見した。
虎と剣の意匠を施された精巧な作りのペンダントだ。盗んだものなら別だがとても盗賊が持ってるようなものとは思えない。

「ルナ、これが何か知ってる?」

「えーっと……どこかで見覚えがあるような?」

Aアンサー。その紋章はこの国の隣国、アストラ帝国の紋章です。
その紋章、その他呼び名や装備などの情報を統合して計算中…………完了。
最も可能性が高い計算結果を表示しますか?〉

おう……Q&Aヘルプさん前々から優秀だと思ってたけど想像以上に優秀ね……
とりあえずはい。で

〈おそらく隣国の兵が盗賊団に扮して国境が近いここらの村を襲わせていたのだと推測されます。
目的は戦争を仕掛けるための偵察、物資を奪い国力を削るため……色々と推測されますが国力差がこの国とアストラ帝国とでは比べ物にならないため可能性は薄いので不明です〉

マジで優秀Q&Aヘルプ先生優秀っすね。
十分チートですわ。ぉ
だけどどういうことだ?  マジで目的がわかんねーな。

Aアンサー。今の私には深いところまでデーターベースにアクセスする権限が無いためこれ以上の推測は不可能です〉

「あの……どうしました?」

おっと俺とQ&Aヘルプの会話は他の人には聞こえないんだった。

「なんでもない。とりあえずもう調べ物は終わったからペルグの街へ帰ろうか」

「はい!」




ーー

森からペルグの街へと向かう男女の背後を見つめる2つの影があった。

「どう思う?」

「アストラ帝国の騎士供を8人まとめて相手をして傷一つ負うことなく殲滅する事が可能な武力。確実に殲滅できるようにタイミングをうかがったのもポイントが高い。後は人格だが……」

「襲われてる少女を助けるために単身で突っ込んで行ったんだ。
問題はないだろう。」

「決まりだな」

「あぁ至急調べよう」

そう言い残し2つの影も薄暗い森の中に消えた

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