ほとんどチートもらえないと言われたのに十分チートな件

スザキ トウ

第3話


この世界に冒険者ギルドが存在しないというまさかの事態に俺のウキウキ冒険者生活の夢は途絶えた。
よく考えたら門で魔狼を換金してもらえた時点でギルドみたいなものは無さそうなのはわかってた。
そこで困ったのは収入源だ。
俺には職に生かせそうなスキルはないし前の世界でも戦ったり救助したりが仕事だったから就職に役に立ちそうなものは何も無い。
むむむ……屋台でもやるか?  いや、俺は料理が上手いわけではないからな、せいぜいレシピを見ながらなら普通に作れる程度だ。そもそも屋台本体だって金はかかる。
食材や調理道具にもだ。
宿屋?  無理無理、これも例の如く宿屋をやる宿がないわ何をすれば良いのかもわからない。
宿屋にここで働かせてくださいと言ってもいいとは思うがなんか家族で宿屋をやってるから入り込む余地なさそうで望み薄だ。
いや〜でも実際ここで働かせてくださいと頼み込むしかないのか?  それしか思いつかんぞ俺は。
どう思う? Q&Aヘルプ

Aアンサー。……森で魔物を仕留めてまた換金して貰えばいいと思います。〉

……せやな。
確かに俺そうやって金貰って宿に泊まってるやん。うん。冒険者ギルドなくても魔物は狩れるやん……
てかQ&Aヘルプさん最初の……は呆れみたいなのを感じたんだが?  つか今更だけどQ&Aヘルプさん人格あるよね?  え?  絶対呆れてたよね?  俺自分のスキルに呆れられたよね???

Q&Aアンサー。はい。〉

やかましい。









「ほい、魔狼3匹とゴブリン10匹で金貨3枚と銀貨1枚な」

「はーい毎回サンキュー」

あれから1週間ちょい俺は毎日魔狼やらゴブリンやらを倒して換金していた。

「いやいや俺らも助かるよ。月1ぐらいで俺ら衛兵が増えすぎて町に進入してしまわないように間引きをしてるんだが魔狼相手だとどうしても人数が必要でな、それに怪我する可能性も高い。
だから魔狼をやってくれるのは本当にありがたい」

俺からしたらただ金を稼ぐためにやってる事だからそう思ってくれるならやってて良かった。
と、言っても魔狼を探して殴ってお終いの簡単なお仕事なんだがな。衛兵のおっちゃん達は倒すのに苦労してるらしいが俺からしたら倒すよりも探す方が難しい。
ゴブリンは大した金にはならないから遭遇した時だけ倒してる。
別に毎日森に入らなくても生活はできるんだが暇でしょうがない。それに戦士らしく武器や防具が欲しかった。
殴って倒せるからいらないっちゃいらないんだがそれじゃつまらないし戦士らしくない。
決して安いものじゃないんだが魔狼の討伐報酬が良すぎるのかすぐ買えてしまった。
今では革の鎧に小手、ブーツを履いて剣を片手に握っている。
ちょっとテンション上がるぜやったね!
だが目的を達成してしまったからこれからマジで退屈だ。
そろそろこれからの事を考えないといけないかも知れない。
漠然とこの町で生きていくのも悪くないとは思う。だけどゲームや漫画など娯楽が多かったあの世界に生きていた俺にとってこの世界は何もなさすぎる。
酷く退屈に移ってしまうのだ。
ならばこのゲームみたいなシステムがあるのだから楽しんで見ようじゃないか。
もちろんこれはゲームじゃない。
一度ゲームオーバーになれば二度とコンテニューは出来ない。
俺は前世で死んでこの世界に来たわけだけどそれは偶々神様がコインを投入してくれただけだ。
だから神サマは好きに生きていいって言ったけど俺がこの世界に送られた原因となった文明の停滞をできる範囲で解決したい。
ちょうど退屈だから目的も欲しいしな。
だから図書館で原因を調べていた。
技術が停滞してるなんてこの世界の人はわからないだろうからそのような本は当然あるわけがない。
だが何かしらヒントぐらいはあるんじゃないか?  と思い期待半分で行ってみたのだが拍子抜けするほどあっさりと原因が判明した。
いや、あくまで俺の推測でしかないのだがほぼ間違い無いと思う。
およそ2200年前、この世界は乱世へと突入した。
小さな国が生まれては消え、吸収し、吸収されやがて9つの大きな国が出来た。
これがおよそ2000年前の事だ。
その9つの国はそれぞれ世界を手に入れようと争ったが実力は均衡していて戦況は変わらなかった。
やがて兵も国も疲弊していき戦争は終わった。しかし乱世が終わったわけではなくそれぞれの国は国力が回復するのを待ちまた戦争を始めた。
だがやはり状況は変わらずやがて王が変わりそれでも変わらずまた王が変わる。
代を重ねるごとにこの状況が当たり前のようになってしまって世界統一を目論む王はいなくなった。
周囲の国と小競り合いをしながら現状を維持する王ばかりになってしまった。
そうするとどうなるか。技術の停滞だ。
自衛隊に居たからよく知っている。
実は世の中の便利な発明品は元は軍事利用目的に開発されたものが多いと。
俺らの世界はそれで発展してきたようなものだ。
だがこの世界は途中でやめてしまった。
それも完全な平和になったのならば別の形で技術の発展したかもしれないのだが乱世から抜けきってるわけではない。
今も小競り合いは頻繁に起こるし隙を見せたら攻め込まれる。
決して平和じゃないから国と国が手を取り合う事もない。
変に乱世を拗らせすぎたのだ。
スキルや魔法なんて物があるのも原因の一端を担ってるだろう。

これに対して俺に出来ることだが何もない。
無理っしょ。個人に戦争をけしかける力なんてあるわけがないしそもそも無駄に人が血を流すのを見たいわけでもない。
ド平民の俺が国に働きかけることもできない。

はい!  目標達成不可能!  別の目的!
まぁずっと悩んで考えてきたが今日まで何もいい案は浮かばなかった。
旅でもすれば何か閃くかなぁ?  退屈だし。マジで退屈だし。
はぁ……退屈だ……

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