東のマジア

ノベルバユーザー286206

〈第4話〉避けていたもの

森に囲まれた、レンガ造りの建物ばかりのミッドベル通りから少し離れたところにあるのは、ゴッヅラインと呼ばれる地域。煙突が数え切れないほどあり、植物なんて殆ど無い。工場ばかりで道はとても狭く入り組んでいる。
そんな地域の中心には、とても大きな塀に囲まれた建物が建っている。
他の建物同士が満員電車のようにギュウギュウに建てられているにも関わらず、その建物の周りにはとても余裕があり、庭のようなものまである。
でも、そこには強力な魔法がかかっていて、普通のやつは入れない。
その建物に入ることのできるのは、ギャングだけ。




お爺さんと話していると、お爺さんの腕時計だけがベルを鳴らした。

「おい、少年。奥の部屋に隠れろ。誰か来るようじゃ…。」

机の上に置いたココアの入っていたカップを渡され、奥の部屋に入れられた。

「わしが合図するまで、鍵をかけておくんじゃ。」
「わ、わかりました…。」

鍵を閉めるとその扉を浮遊していた時計が隠すように集まってきた。

時計の針の音が鳴り響く中、微かに扉の奥でお店の扉が開き、その扉に掛かったベルの音が聞こえてきた。
心臓がドキドキする。

お爺さんに教えてもらった。
僕をこの世界に連れてきたやつらはギャングというらしい。僕みたいなのを連れ去って、自分達の奴隷にしているという噂があるそうだ。
そして、それを捕らえようと空を飛んでた人達は政府の人達らしい。ギャングを捕まえるのに必死になっているそう。でも政府の人達はとても考えの狭い人達ばかりだそうで、お爺さんは嫌ってるみたいだ。

そういえばこの部屋には、とんでもなく大きな時計がある。僕が6人分程の高さだ。
この時計の針は止まっていて、文字盤には扉のようなものがついている。
僕は扉の向こうが気になって、開けようと手を伸ばしたところで、後ろの入ってきた扉に掛かったうちの1つの時計が鳴った。

「でてきていいぞ、」

おじいさんの声が微かに聞こえる。

そして、入ってきた扉の鍵を開けようとしたが、時計が邪魔で鍵が見えない。
外そうと試みるも、どうしても時計は外れてくれない。
どうすればいいんだ…。

そこで僕は気づいた。そのひとつだけ鳴ってる時計の時間が少しズレている。
指で時計の針を周りの時計と同じ時間に合わせてみる。すると、その時計はガコン、と外れ、また宙を泳いでいった。
鍵が現れた。その鍵を開けると扉を隠していた時計が一斉にさっきの時計と同じように宙を泳いでいく。

扉を開いた先にいたのは、おじいさんだけではなかった。
僕と同い年くらいの女の子だった。

「わしの孫の、リリー・B・ウォッチじゃ。」
「…異世界から来たの…?」
「…そうみたいです。」
「彼は、まだなにが起こったか理解しきれてないのじゃよ、」
「そう…、私のこと、リリって呼んで。貴方の名前は?」
「そうじゃ、名前を聞いてなかったの。」
新城しんじょう まもるっていいます。」
「そう、守ね。お爺ちゃん、この人どうするつもり?」
「そうじゃな、お前は帰りたいか?元の世界に、」
「帰りたくない、帰る場所なんてないし。」
「そうじゃろうと思っとったよ。」
「…。じゃあどうするのよ?お爺ちゃん。」
「コリン・B・ワイアット先生は、まだいたかの?」
「えぇ、もちろんよ。コット先生なら、校長になったって話してたじゃない。」
「じゃあ明日コットに、これを渡してくれるかの?」

そういってお爺さんは胸ポケットから手紙を取り出した。

「わかったわ。きっとあの人なら通わせてくれるわね。」
「が、学校ですか?僕が?」
「そうじゃ、そこでなら、ここより安全じゃ。しかも政府の偉い人と仲の良いコット先生がおる。しかも彼は君をすごく気にいると思うぞ。」
「でも、学校は…その。」
「大丈夫よ、貴方が通ってた学校とは、違うはずだから。楽しいはずよ。」




少年は魔法界の学校に通うことになりそうですね。
それにしても、あのお爺さんに孫がいたとは、知りませんでしたね。

それにしても、アルロッテの部下は、なかなか来ませんね…。
聞き取り調査をしているはずなんですけど…。
まあ、この通りには沢山のお店がありますからね。
でも、これだけ遅いと不安になります。
なにもなければいいのですが…。

「東のマジア」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く