隻眼の現人神《隻眼のリビングゴッド》
11の魔獣
すげえ……なんだ、この剣は……!!
そんなに力を入れてる訳でもねぇのに、めちゃくちゃ硬そうなこいつの鱗が豆腐見てぇにスルスル切れる……!!
隼人は、倒れ込んだティアマトを両断すべく、腹部にグラムを突き立てたまま、頭部に向かって駆け抜ける。
「グギャァアアァアア!!!!」
ティアマトは、大地を震わすような絶叫を上げると、グラムに切り裂かれた腹部からは、赤紫色の不気味な血液が吹き上げ、辺り一帯を染め上げる。
だが、隼人は自らの握る剣の切れ味に酔いしれ、裂かれた腹から覗く視線に気づくことはなかった。
「あんちゃん!! やりすぎだ!! そっから離れろぉ!!」
必死に立ち上がろうとする巨龍を妨害すべく、前足に戦鎚を叩きつけていたネルガルは、手を止めて隼人に向かって駆け出し、叫んだ。
「あぁ!? なんでだよ、もう少しで…… うわぁっ!!」
手を止めて、声の方向へと顔を向けた隼人を、腹から現れた魔獣は、低いうなり声を上げながら飛びかかる。
漆黒のたてがみを血で染め、隼人の肩に爪を立てた、体長3メートルを超えるほどの巨大な獅子は隼人の首元に顔を近づけ、口を開ける。
口腔に生えるギラリと光る牙を目の当たりにした隼人は、獅子を蹴り上げて振りほどこうとするが、自分の数倍の体重を持つ獅子はビクともしない。
「クソっ!! 離れろよッ!!」
痺れを切らした隼人は、身体中から炎を発する。
小さく高い鳴き声を上げ、獅子は隼人から飛びのくと、すかさず隼人は立ち上がり、炎を纏ったグラムを振り抜き、獅子を両断する。
獅子の身体は二つに裂け、炎を上げながら倒れこむと、黒い霧と化して宙に散る。
額を拭い、再びティアマトが倒れていた方向に向かって剣を構えるが、隼人は目の前の光景に吐き気を覚えた。
「なんだよこれ……!? ゲームバランスおかしいんじゃねぇのか!?」
成人男性ほどの体長を持つ、黒褐色の狼であるウリディンムの群れと、先程葬った物と同じ獅子、ウガルルムが数匹。
魔獣達は、立ち上がって咆哮を上げる巨龍を中心として讃えるが如く取り囲む。
「呪われし11の怪物か…… まあ、めんどくせぇ龍種が居ないだけマシかねぇ……  あんちゃんよぉ、背中 、預けるぜ?」
ネルガルは少年に駆け寄ると、彼の肩をポンと叩く。
少年は薄く笑い、大剣を握り直して口を開く。
「結構憧れてたセリフなんだけどなあ…… まさか敵から言われるなんて思わなかったぜ。 まあ、それはそれでアツいんだけど、なッ!!」
2人は、一斉に飛びかかってくる魔獣達を蹴散らしながらティアマトへと突き進む。
お互いの死角を補い合い、連携して戦う姿はまさに以心伝心という言葉通りだった。
あの強大な邪龍、ティアマトと忌子達を前にして臆する事なく戦い続けられるなんて……
隼人、私の英雄。
あなたはまた、強くなったのですね……
突如として現れた魔獣からティナを守るべく、彼女の前に立ち、戦うハトホルは、少年の背を見つめて表情を柔らかくする。
彼女は、懐から茶褐色の種を取り出すと、駆けてくるウリディンムの群れに対して放る。 地面に落ちた種子は一瞬のうちに成長し、巨大な薄いピンクの花を咲かせて、実を付ける。
飛びかかって来たウリディンムの群れは、実を付けた花に遮られ、身体を植物にぶつけると、実からはまるでショットガンの弾のように大量の種子が飛び散り、魔獣の群勢を撃ち抜く。
「ウチの花壇に生えていたのを見た時から思っていましたが、護身用には最適ですね」
ハトホルが使用した植物は鳳仙花。
隼人の家の荒れ果てた花壇の中、唯一花をつけていた植物で、ハトホルが、少し前に触れてしまった時に、実が弾けて種子が飛び散っていくのを見て、驚き、感心したため、育ててみたいと思って懐に忍ばせていた。
「グルルル……ガゥア!!!」
瀕死のウリディンムは最期の力を振り絞り、ハトホルに向かって飛びかかり、突然の行動に驚いたハトホルは目を瞑り、手を顔の前で折り曲げて受けようとする。
「……私、も。戦う……!」
ティナは、黒いオーラを纏うと、オーラは手元で鎌に形を変える。
鎌が出来上がると同時にウリディンムに対して大きく振るうと、魔獣の身体は二つに裂け、黒いチリへと姿を変えると、空気に紛れて消え失せた。
「……ありがとうございます。 助かりました」
「……うう、ん。 ……お礼、言うのは、私……。私、にも。 ……戦わ、せて?」
ハトホルは女に薄く微笑むと、再び襲いかかってくるウリディンムの群れを一瞥して口を開いた。
「私一人ではこの群勢を全て打ち倒す事など到底できませんね……。 お言葉に甘えさせて頂きます!!」
「……うん!」
ティナは鎌を握り直すと、ハトホルのフォローを受けながら、群れへと一直線に駆け出した。
……アル、ラ。 ティナ、も……がん、ばるから。
せめ、て……アルラ、だけでも……夢、叶えて……?
そんなに力を入れてる訳でもねぇのに、めちゃくちゃ硬そうなこいつの鱗が豆腐見てぇにスルスル切れる……!!
隼人は、倒れ込んだティアマトを両断すべく、腹部にグラムを突き立てたまま、頭部に向かって駆け抜ける。
「グギャァアアァアア!!!!」
ティアマトは、大地を震わすような絶叫を上げると、グラムに切り裂かれた腹部からは、赤紫色の不気味な血液が吹き上げ、辺り一帯を染め上げる。
だが、隼人は自らの握る剣の切れ味に酔いしれ、裂かれた腹から覗く視線に気づくことはなかった。
「あんちゃん!! やりすぎだ!! そっから離れろぉ!!」
必死に立ち上がろうとする巨龍を妨害すべく、前足に戦鎚を叩きつけていたネルガルは、手を止めて隼人に向かって駆け出し、叫んだ。
「あぁ!? なんでだよ、もう少しで…… うわぁっ!!」
手を止めて、声の方向へと顔を向けた隼人を、腹から現れた魔獣は、低いうなり声を上げながら飛びかかる。
漆黒のたてがみを血で染め、隼人の肩に爪を立てた、体長3メートルを超えるほどの巨大な獅子は隼人の首元に顔を近づけ、口を開ける。
口腔に生えるギラリと光る牙を目の当たりにした隼人は、獅子を蹴り上げて振りほどこうとするが、自分の数倍の体重を持つ獅子はビクともしない。
「クソっ!! 離れろよッ!!」
痺れを切らした隼人は、身体中から炎を発する。
小さく高い鳴き声を上げ、獅子は隼人から飛びのくと、すかさず隼人は立ち上がり、炎を纏ったグラムを振り抜き、獅子を両断する。
獅子の身体は二つに裂け、炎を上げながら倒れこむと、黒い霧と化して宙に散る。
額を拭い、再びティアマトが倒れていた方向に向かって剣を構えるが、隼人は目の前の光景に吐き気を覚えた。
「なんだよこれ……!? ゲームバランスおかしいんじゃねぇのか!?」
成人男性ほどの体長を持つ、黒褐色の狼であるウリディンムの群れと、先程葬った物と同じ獅子、ウガルルムが数匹。
魔獣達は、立ち上がって咆哮を上げる巨龍を中心として讃えるが如く取り囲む。
「呪われし11の怪物か…… まあ、めんどくせぇ龍種が居ないだけマシかねぇ……  あんちゃんよぉ、背中 、預けるぜ?」
ネルガルは少年に駆け寄ると、彼の肩をポンと叩く。
少年は薄く笑い、大剣を握り直して口を開く。
「結構憧れてたセリフなんだけどなあ…… まさか敵から言われるなんて思わなかったぜ。 まあ、それはそれでアツいんだけど、なッ!!」
2人は、一斉に飛びかかってくる魔獣達を蹴散らしながらティアマトへと突き進む。
お互いの死角を補い合い、連携して戦う姿はまさに以心伝心という言葉通りだった。
あの強大な邪龍、ティアマトと忌子達を前にして臆する事なく戦い続けられるなんて……
隼人、私の英雄。
あなたはまた、強くなったのですね……
突如として現れた魔獣からティナを守るべく、彼女の前に立ち、戦うハトホルは、少年の背を見つめて表情を柔らかくする。
彼女は、懐から茶褐色の種を取り出すと、駆けてくるウリディンムの群れに対して放る。 地面に落ちた種子は一瞬のうちに成長し、巨大な薄いピンクの花を咲かせて、実を付ける。
飛びかかって来たウリディンムの群れは、実を付けた花に遮られ、身体を植物にぶつけると、実からはまるでショットガンの弾のように大量の種子が飛び散り、魔獣の群勢を撃ち抜く。
「ウチの花壇に生えていたのを見た時から思っていましたが、護身用には最適ですね」
ハトホルが使用した植物は鳳仙花。
隼人の家の荒れ果てた花壇の中、唯一花をつけていた植物で、ハトホルが、少し前に触れてしまった時に、実が弾けて種子が飛び散っていくのを見て、驚き、感心したため、育ててみたいと思って懐に忍ばせていた。
「グルルル……ガゥア!!!」
瀕死のウリディンムは最期の力を振り絞り、ハトホルに向かって飛びかかり、突然の行動に驚いたハトホルは目を瞑り、手を顔の前で折り曲げて受けようとする。
「……私、も。戦う……!」
ティナは、黒いオーラを纏うと、オーラは手元で鎌に形を変える。
鎌が出来上がると同時にウリディンムに対して大きく振るうと、魔獣の身体は二つに裂け、黒いチリへと姿を変えると、空気に紛れて消え失せた。
「……ありがとうございます。 助かりました」
「……うう、ん。 ……お礼、言うのは、私……。私、にも。 ……戦わ、せて?」
ハトホルは女に薄く微笑むと、再び襲いかかってくるウリディンムの群れを一瞥して口を開いた。
「私一人ではこの群勢を全て打ち倒す事など到底できませんね……。 お言葉に甘えさせて頂きます!!」
「……うん!」
ティナは鎌を握り直すと、ハトホルのフォローを受けながら、群れへと一直線に駆け出した。
……アル、ラ。 ティナ、も……がん、ばるから。
せめ、て……アルラ、だけでも……夢、叶えて……?
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