隻眼の現人神《隻眼のリビングゴッド》
奇妙な噂
「そういえばさ、これは友達から聞いた話なんだけどね…」
昼休み、軍学部と神学部のちょうど境目にある中庭で、隼人、透、和奏の3人は昼食を取りながら談笑をしていると和奏は思い出したように切り出した。
「すごく綺麗な大学生のお姉さんが友だちと2人で夜道を歩いていると、背後から急に声を掛けられたんだって」
「あ、それ多分俺だ」
真顔で手をあげる透に隼人は食べていたサンドウィッチを思わず吹き出す。
「もー!!ちゃんと聞いてよ!!」
「はいはい、で、透はなんて声かけるんだ?」
茶化しながら隼人は続きを話すように促すが、真横で「ッジュッデーム」とイイ声で呟いた透に隼人はまた腹を抱えて笑う。
「だから透くんは関係無いからさ!ちゃんと聞いてよね!!」
和奏は話の腰を折った犯人を睨みつけると、透は頭を掻きながら愛想笑いで謝罪する。
「続けるよ、えっとね…ああ!麗しき一輪の花よ!!貴女の美しさはこの宝石など足元にも及びません!ですが、姫君の美しさを少しでも引き立てる事ができればこの宝石も浮かばれるでしょう!!宜しければ、身につけていただく事は出来ますでしょうか?  だったかな?」
「うわ、すげえ臭いな、それは怖いわ。普通に逃げるだろ」
笑い転げていた隼人はスッと真顔に戻り口を開く。
「うん、普通はそう思うよね。友達の方も気味が悪くて逃げ出そうとしたんだって。でもね…」
「でも…なんだよ…」
隼人は額に汗を浮かべる。
「振り向いたら、真っ白なタキシードを着たすんごいイケメンが跪いててね、大っきな宝石が付いたネックレスを差し出してたんだってさ。」
「それで、どうなるんだよ…?」
ふざけ倒していた透も続きが気になってきたのか、前のめりになりながら聴く。
「女の人はね、王子様みたいなイケメンにすんごい褒められた上に、初めて見る大きな宝石に気を良くしちゃってさ。ネックレスを着けちゃうんだよ。そしたらね…」
2人は生唾を飲み込む。
「女の人、いきなりもがき出したの。まるで海で溺れて助けを求める人みたいに。」
和奏はドスを聞かせた低い声で大声を張り上げると、声色を元に戻し、続ける
「友達は怖くて逃げ出すんだけど、背後で聞こえたんだってさ。女の人が倒れこむ音と、狂ったように地団駄を踏む音の二つが、ね」
「ま、どうせ作り話だろ!?な、透!!」
隼人はガタガタと震える足を抑えながら、明るく声を作ると、悪友の背中をバンバン叩く。
「ああ、隼人!作り話だろうよ!!ソースのない噂を信じるほど俺は純粋じゃないぞ、和奏くん!ソースを出したまえ!!」
透は額と背中に大量の冷や汗をかきながらも胸を張り、強がるが、和奏が放つ一言で虚勢は無駄になった。
「2人とも、ニュースサイトからのメッセージは見た?」
「…いや、まだ見てないけど。それがどうした?」
「俺はそもそも登録してないからなあ…」
2人が答えると、和奏は「そっかあ…」と呟き、間を空けてから続ける。
「今日の朝方、女の人の死体が見つかったんだって。その人、体中どこも濡れてた痕跡が無かったんだけどね、死因は溺死だったんだって。」
和奏は話終えると食べ終わっていた弁当箱を片付け始める。
2人はゾッとした表情で互いに向き合う。
「透、お前ビビってんだろ。汗だっくだくだぜ?」
「いや、ビビってないねえ!お前こそ足ガッタガタじゃねえか。立てねえなら手を貸してやろうか?ん?」
「いやいや、これは武者震いだぜ?ほら、俺が犯人捕まえるし?別に化け物ってわけじゃないし?」
「いやいやいや、俺が捕まえるからな?お前は強がらなくていいよ?ガタガタ震えてていいんだよ?」
「あ?震えてねえって言ってんだろ?やんのかゴリラゴリラゴリラ?」
「上等じゃねえか!厨二病ヤンキー崩れが!!」
「もー…また始まった…私、先に教室戻るからね?」
和奏は掴み合いの喧嘩を始めた2人を背に、神学部の校舎へ足を進めた。
昼休み、軍学部と神学部のちょうど境目にある中庭で、隼人、透、和奏の3人は昼食を取りながら談笑をしていると和奏は思い出したように切り出した。
「すごく綺麗な大学生のお姉さんが友だちと2人で夜道を歩いていると、背後から急に声を掛けられたんだって」
「あ、それ多分俺だ」
真顔で手をあげる透に隼人は食べていたサンドウィッチを思わず吹き出す。
「もー!!ちゃんと聞いてよ!!」
「はいはい、で、透はなんて声かけるんだ?」
茶化しながら隼人は続きを話すように促すが、真横で「ッジュッデーム」とイイ声で呟いた透に隼人はまた腹を抱えて笑う。
「だから透くんは関係無いからさ!ちゃんと聞いてよね!!」
和奏は話の腰を折った犯人を睨みつけると、透は頭を掻きながら愛想笑いで謝罪する。
「続けるよ、えっとね…ああ!麗しき一輪の花よ!!貴女の美しさはこの宝石など足元にも及びません!ですが、姫君の美しさを少しでも引き立てる事ができればこの宝石も浮かばれるでしょう!!宜しければ、身につけていただく事は出来ますでしょうか?  だったかな?」
「うわ、すげえ臭いな、それは怖いわ。普通に逃げるだろ」
笑い転げていた隼人はスッと真顔に戻り口を開く。
「うん、普通はそう思うよね。友達の方も気味が悪くて逃げ出そうとしたんだって。でもね…」
「でも…なんだよ…」
隼人は額に汗を浮かべる。
「振り向いたら、真っ白なタキシードを着たすんごいイケメンが跪いててね、大っきな宝石が付いたネックレスを差し出してたんだってさ。」
「それで、どうなるんだよ…?」
ふざけ倒していた透も続きが気になってきたのか、前のめりになりながら聴く。
「女の人はね、王子様みたいなイケメンにすんごい褒められた上に、初めて見る大きな宝石に気を良くしちゃってさ。ネックレスを着けちゃうんだよ。そしたらね…」
2人は生唾を飲み込む。
「女の人、いきなりもがき出したの。まるで海で溺れて助けを求める人みたいに。」
和奏はドスを聞かせた低い声で大声を張り上げると、声色を元に戻し、続ける
「友達は怖くて逃げ出すんだけど、背後で聞こえたんだってさ。女の人が倒れこむ音と、狂ったように地団駄を踏む音の二つが、ね」
「ま、どうせ作り話だろ!?な、透!!」
隼人はガタガタと震える足を抑えながら、明るく声を作ると、悪友の背中をバンバン叩く。
「ああ、隼人!作り話だろうよ!!ソースのない噂を信じるほど俺は純粋じゃないぞ、和奏くん!ソースを出したまえ!!」
透は額と背中に大量の冷や汗をかきながらも胸を張り、強がるが、和奏が放つ一言で虚勢は無駄になった。
「2人とも、ニュースサイトからのメッセージは見た?」
「…いや、まだ見てないけど。それがどうした?」
「俺はそもそも登録してないからなあ…」
2人が答えると、和奏は「そっかあ…」と呟き、間を空けてから続ける。
「今日の朝方、女の人の死体が見つかったんだって。その人、体中どこも濡れてた痕跡が無かったんだけどね、死因は溺死だったんだって。」
和奏は話終えると食べ終わっていた弁当箱を片付け始める。
2人はゾッとした表情で互いに向き合う。
「透、お前ビビってんだろ。汗だっくだくだぜ?」
「いや、ビビってないねえ!お前こそ足ガッタガタじゃねえか。立てねえなら手を貸してやろうか?ん?」
「いやいや、これは武者震いだぜ?ほら、俺が犯人捕まえるし?別に化け物ってわけじゃないし?」
「いやいやいや、俺が捕まえるからな?お前は強がらなくていいよ?ガタガタ震えてていいんだよ?」
「あ?震えてねえって言ってんだろ?やんのかゴリラゴリラゴリラ?」
「上等じゃねえか!厨二病ヤンキー崩れが!!」
「もー…また始まった…私、先に教室戻るからね?」
和奏は掴み合いの喧嘩を始めた2人を背に、神学部の校舎へ足を進めた。
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