第1話5. 新人

榮倉命(えいくらみこと)

琴音『』

死神大王【】








鏡が移り何かが見えた。


『さぁ、着いたわよ。ここが死神大王の城』

「でけぇな。何100ｍあるんだ？ってか入口は何処だ？見当たらないけど」

高く聳え立つ偉大さを匂わせるその城には門は疎か入口さえても見当たらない

『ちっょっと待って』

琴音は咳払いをして唱えた。

－我らは死の子。死を賜せ生を與える者なり。我らは生の子 －

刹那。空間が空間で無くなり物体、物質が消え暗闇が襲い掛かる。そして何処かで聞き覚えのある声が聞こえた。

－ よく来てくれたね。待ちかねたよ －

優しくておっとりゆったりしているその言葉を発している源が分かった。身長は小さく100cmにも満たないその影はゆっくり歩きならがこちらに向かってくる。

瞬く間に空間が空間になり物体、物質が構成され、暗闇が退いていく。

気がつくと目の前には銀髪で目の色がそれぞれ違く、黒装束を来ている少女が立っていた。

【よく来てくれたね。待ちかねたよ坊や。それに久しぶりだね琴音。もう一人前の死神になっちゃって。まぁいいわ、お茶でも飲むかい？】

どこかに似た顔つきで、冷淡に微笑みながらお茶を入れてくれてる。

「お、俺のこと知ってるんですか？」

【勿論さ。要件は夜摩やまくんから聞いてるよ。わざわざ部下にテレパシーなんか使わせちゃってさ】

聞き覚えのない名前を言われ困惑している命に琴音は言った。

『夜摩って言うのは閻魔大王の本名よ。知ってるのは極わずかな部下と死神大王、伊邪那岐命、そして私よ』

【あら、琴音。お父さんとお母さんの事そんな風に読んでるの？閻魔大王とか死神大王なんて硬い名前で言わなくても】

水を指す様に死神大王が言葉を発した。

「え！閻魔大王と死神大王が琴音の父ちゃんと母ちゃん?!?!どういうことなんだよ」

驚きながらも状況を把握しようとする命を他所に琴音は

『そんなわけにはいかないわ。仕事としてお2人は上司ですもの。それに死神大王、こんな雑談している時間はないと思いますが』

冷たく琴音が言った。

【あらあら、そうだったわね。榮倉命くん。貴方は今日から死神です！この私死神大王改め、琴葉ことはが任命ましょう。そうね、貴方は派遣として働いてもらうわ。付き添いで琴音もお願いね。】

直後琴音はありえない顔をして

『死神大王！それは余りにも早すぎます！』

「派遣ってなんだ？」

わけがまだ理解出来ていない命に向かって死神大王は言った。

【派遣っていうのは少し特殊でね。普通は一人一人に死神は着くんだけど。派遣っていうのは49日の間に亡くなった人が現世に未練を残したたま此処あのよに来ないようにする仕事よ。無縁仏や地縛霊、浮遊霊達もその仕事の範囲内に入るからすこしたいへんだけどね。】

「なんでそれで琴音は慌ててるんだ？」

『あ、当たり前でしょ。派遣って死神大王の次に位の高い存在よ！普通は死神歴1000年の死神でもこの位に入るのは難しいしそれに、その仕事は悪霊退治も関わってくるわ。』

そして琴音は言った。

『今ので確信しました。噂は本当だったんですね。死神大王、貴方が何の罪もない現世の人を殺して此処あのよに連れてきてその人と死神を派遣にしているというのわ』

死神大王は冷淡に笑いながら

【あら、今頃気づいたの？】
 
と。

何かが割れ消えた。