【コミカライズ配信中!】消しゴムで始まる制御不能彼女との日常-さっちゃんなんしよ~と?(原題:ボクの彼女は頭がおかしい。)
学園ドラマ①
五月と昼食を共にしようと彼女の教室に向かうと、そこにはなぜか五月だけでなく雫さんもいた。
「あれ、どうしたの?」
声をかけ二人に近づく。
「いま真剣な話してるから邪魔しないで」
五月の鋭い声色に、思わず四歩後退する。
二人はなにやらヒソヒソと言葉を交わし合っており、僕の耳にはこれっぽっちの情報も入ってこない。
仕方なく、なぜか仕方なく教卓(先生が授業の時に使うアレ)に弁当を広げ、一人で黙々と食べ始めた。
もしかしたら僕はとても寂しい人なのかもしれない、と思いながらパクパク食べ続けていると、五月のクラスメートである知らない誰かが事情を説明してくれた。
なんとも信じ難いことであるが、雫さんがいじめにあっているらしい。
教科書を隠されたり、アクエリアスをかけられたり。
こんな可愛い雫さんをいじめるなんて、けしからん。
一体どこのどいつがそんな惨たらしいことを…。
「黒幕は藤堂さんらしいよ」と、知らない誰か。
あぁ、あの女王蜂ならやりかねん。
しかし一つ学年の違う雫さんを、どうして二年の藤堂さんがいじめなければならないのだろうか?
「牛ピーのせいらしいよ」と、知らない誰か。
そーいうことか……
だいたい分かりましたよ。
と、僕だけが状況を理解していても仕方がないので、ちょっとだけ詳しく説明します。
藤堂さんが中学時代に惚れた相手とは、実を言うと牛くんなのである。
これでもうお分かりだろうか?
牛くんに惚れた藤堂さん。
しかし五月に惚れた牛くん。
仲の悪くなった五月と藤堂さん。
そして今回、牛くんに惚れられた雫さんが新たな藤堂さんのターゲットになってしまった、というわけだ。
たぶん正解だと思う、一人教卓で弁当を食べている僕、早瀬の見解です。
…なんて脳内トーク繰り広げてたらいつの間にか五月と雫さん消えてたからね。
もう大慌てで弁当片付けて二人を探しにダッシュしたからね。
まぁ、彼女らの行き先はおおよそ見当ついてたんだけど。
二人がいたのは、思ったとおり牛くんのところだった。
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