能無しの俺は魔王さんの幹部〜魔王さんは優しい〜

冬 真白

10日目“欠けてく性格”

「よーし、準備始めるか」

俺はまだ日が昇り始めていない時間帯に起きて、オークの倉庫を借りている。
俺はオークの倉庫からあるだけの弓矢をとり、広場に出た。
広場に出ると既にオーク8人が集まっていた。
この、作戦では男女関係なく参加することになっている。
俺は持ってきた矢の先端に布を被せて、オイルを塗る。
全ての矢にオイルを塗り、弓を1本矢を5本ずつ8人に配って、集落の崖上に4人ずつ両端に分かれた。
この作戦は人間達が集落に足を踏み入ったと同時に集落から出るための道を火で塞いで、焼き殺そうという、残酷な作戦だ。

「人間!来たぞ」

「よーし、始めるぞー」

オークの集落に人間がやってきた。
5人ほどの盗賊集団だ。
その5人が集落に足を踏み入れた時、火を放ち道を封じた。

「な、オーク風情が。誰の差し金だ!」

「俺でーす。」

「死神だと」

「はい、打てー」

俺が手を翳すと、8人のオークは弓を引き自らの集落と共に、盗賊を焼き払った。

「よし、任務完了」

「ありがとうございます」

「うん、そうだ。俺の名前言ってなかったね。俺の名前は死神。よろしく」

「死神さん。あなたに永遠について行きます」

「ありがと。ラーク。それじゃあまずは魔王さんに会いに行こうか」

「分かりました」

俺はオークの群れを率いて、魔王城に向かう。
魔王城に着いたのは日が沈み始めた頃だ。

「魔王さ〜ん。新しい仲間ですよー」

「うむ、8人か。それで何故ここに連れてきたんだ?」

「挨拶は大事かなって」

「まぁ、確かに大事だが俺は面倒見ないぞ」

「なんでですか?」

「めんどいから」

「じゃあ俺がやりますね」

「助かるぞ。なんなら魔王の座をあげても良いぞ」

「いやそれはいいです」

「そうかそうか」

「ところでネルはどこ?」

「ネルなら忌まわしき豚から逃げるらしいよ」

「あはは、そうなんですか〜。じゃあ俺もう行きますね」

「うむ。下がって良いぞ」

「その話し方久しぶりだね」

「だな」

俺は魔王城を出てまだフェアリーが木を生やしていないところまで来た。

「はーい。オークのみなさーん」

「なんですか?死神さん」

「新しい魔王城を作って欲しいんだよ」

「魔王様のですね、直ぐに作ります」

「木はそこら辺の使っていいから。あと、健康的に夜は寝てよね」

「分かりました」

俺はその場から離れて近くの洞窟に潜る。
その洞窟は魔物の気配が全くしないが、どうやらダンジョンらしい。
俺は一階層の一番奥の部屋にやってきた。
どうやら、そこはダンジョンマスターの部屋らしく、宝箱などが置いてあった。
俺はその中から─

何かの卵
長槍7本
水の宝珠

を手に取り、魔王城に帰った。
俺は魔王室の隅に何かの卵を置いて、温め始めた。
寒くないように覆いかぶさり、鼻歌を歌い始める。
俺はいつの間にか寝ていた。



目が覚めたのはみなが寝静まった夜中だった。
ネルも既に帰ってきていて魔王の隣で寝ていた。
俺は仲間たちの様子をみに向かった。
フェアリーは巨大樹にいるため見ることが出来なかったため、オークの方に向かった。
オークは俺に言われた通りに夜の仕事はしないで寝静まっていた。
そんな中、殺気丸出しの気配が漂っていた。
その中で一番気配が強い所にむかった。
だんだんと気配が濃くなってくる。
元々森だった場所に足を踏み入れる。

「よく来たな」

「誰?」

「俺は魔神ザラ」

「貴方は、俺を殺した人ですか?」

「生きていたとはな、剣聖ライナよ」

「俺は死神ですよ?」

「……気のせいか?性格変わってないか?」

「そんなことないですよ?」

「天然になったというか。そんなことより剣聖ライナよ。俺と手合わせを願いたい」

そっちから話題振ったのに。

「えっとーなんていうか、俺剣聖ライナじゃないんですけど」

「俺は誤魔化すことは出来ないぞ。死神の姿だが、剣聖ライナの魔力を感じる。……いやまて、四騎士の魔力を感じる」

「帰ってもいいですか?」

「仕方ない、今日は見逃してやるが、剣聖ライナ、お前の正体を綺麗に暴いてやる」

魔人はそう言い残して、暗闇に消えていった。

眠いな。

俺は魔王城に帰らずその場で丸くなって眠りについた。

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