能無しの俺は魔王さんの幹部〜魔王さんは優しい〜

冬 真白

2日目“魔法の説明”

ガチャ

俺は身支度を終え扉を開ける。
俺が加護をもらってから二日目。
これまでの朝とは少し違う気がする。
足取り軽く学園に向かった俺は、堂々と前を向いて歩く。

「偽英雄が」

「来ても意味ないのにね」

「迷惑」

そんなこと気にしない。
だって今の俺は確実にお前らより強いから。
この学園のいちばん強い生徒がステータスの合計が1000だからね。
俺は大いに上回る。
僻み、嫉妬にしか聞こえてこないよ。

俺はニコニコしながら自らの教室Aクラスの扉を開け、一番後ろの席に座る。
俺が入った途端、周りの生徒が話さなくなったが、気にしない。
俺の心は広い草原のようだからな。

「席につけ〜授業を始めるぞ〜」

先程まで俺の悪口を言っていた生徒は何も無かったかのように席に着く。

その切り替えの速さは見習いたいな。

「1限目は魔法の授業だ。今から配るのはアルサーロス習得書だ。後ろに回せ〜!」

俺の担任はファイヤーボール習得書の水色Ver.を生徒の最前列に配る。
ちなみにファイヤーボール習得書は赤色だったな。

「自分の元に届いたら習得してみろ〜」

俺は自分の元に来た習得書を使ってアルサーロスを習得した。

「その魔法は氷槍を生み出す魔法だ。魔力が強いほど多くの氷槍を生み出せる。『氷魔法、アルサーロス』」

先生は自分の周りに氷槍を顕現させ説明をしている。
数は26か。

「よし、じゃあまずセレナ!やってみろ」

セレナと呼ばれる彼女が他でもないこの学園の1番強い生徒だ。

「分かりました。『氷魔法、アルサーロス』」

彼女の髪の色の赤さとは真反対の水色の氷槍が彼女の周りに顕現される。
数は15だな。
まぁ、それくらいが妥当か。

その後も一人一人アルサーロスを使っていき、俺の番がそろそろやってくる。

「よしっ、じゃあ最後はゼスだが。魔力が無いお前には無理だろうから今日は見とけ」

「………。」

俺は無詠唱でアルサーロスを顕現させてみせた。
しかも、その数は約100。
クラスの全体に広がるその魔法は殺意も感じ取ることが出来るくらいの魔力量だ。

「誰だ?!こんな凄い魔法を使ったのは?!」

あはは〜。
まぁ、俺だとは思わないよね。
まず詠唱してないからね。
………。
誰も手を挙げないよなそりゃ。

俺が内心でどうしようか悩んでいた。

「おぉ、ナード!お前かっ!もう一度あの魔法見せてくれ」

ナードか。
彼は俺の悪口を言う主犯だな。
あんな金髪なんかに染めてカッコつけやがって。
お前にあの魔法が出せるわけないだろ。
まぁ、いつか俺が無残に倒すためには俺がここで魔法を使う方がいいな。

「はい、これが僕の力です『氷魔法、アルサーロス』」

彼の周りに先程と同じくらいの数の氷槍が現れる。
まぁ、俺が無詠唱で使ったんだけどね。

「おおおおお!」

「ナードすげーじゃん!」

「きゃ〜カッコイイ〜」

わざとらしく彼を褒め称える生徒達。
俺はその様子を見ながら笑いを堪える。

「あぁ、そうだそうだ。ゼスやるのか?やらんのか?」

担任は思い出したように俺を見て口角を釣り上げて聞いてくる。

「はい、やります『氷魔法、アルサーロス』」

俺はわざと魔力を操作し、1cmにも満たない氷槍を作り上げる。

「アハハハハ!なんだそのヘナチョコ魔法っ!!」

ナードが吹き出したと共に周りの生徒も吹き出す。

「やっべぇ」

「雑魚じゃん。ざーこ」

生徒達はお腹を抱えて笑う。
だが、この中で一番笑っているのは俺だろう。
上手く心の中に抑えているが少し表に出てしまっている。

ナード、本当に可哀想な奴だな。

「はいっ、いつものことだ気にすんな。1限目はこれで終わりにする。2限目はステータスについて話すぞ」

担任は少し笑みを含みながら教室をあとにする。
俺は自分の席で魔法についての本を読んでいる。
その内容は大まかにこんな感じだ。


魔法には大まかに7つの属性がある。
1.炎魔法・火の色によって強さが変わる。弱い順から赤 青 紫 白
2.水魔法・浄化魔法や治癒魔法とも呼ばれる。バリエーションが多々ある。
3.土魔法・ゴーレムなどの召喚魔法がメインとなる。
4.風魔法・風を操り竜巻を作るなど自然災害を起こすことも可能。
5.闇魔法・夜中でも周りの視界が晴れていてよく見える。暗殺に向く魔法。
6.光魔法・解毒を得意とする。それ以外にもアンデットには効果が期待される。
7.氷魔法・殺傷性が最も高い魔法。
この他にも特殊な属性魔法があるが未だに解明はできていない。

魔法には魔力が必要でその魔力の量で強さが決まる。
詠唱をすることで魔法を発動できる。
詠唱では属性を言った後に魔法名を発するだけの簡単な詠唱だ。

確か俺のファイヤーボールは赤だから、弱いのかな。
にしても詠唱なんて必要ないだろ。

「2限目始めるぞ〜」

俺が魔法の本を読んでいるといつの間にか担任が教室に入ってきており、授業が始まった。

「そうだな。誰かステータスを提示してくれる奴いるか?」

「僕でよければ」

ナードか。

彼は自信満々に手を挙げた。

「分かった前に出て見せてくれ」

彼は自分のステータスを操作し提示した。

『ミヤナ・ナード』Lv2
種族:人間
年齢:15歳
性別: 

職業:見習い剣士
称号:未取得

体力:29
魔力:67
筋力:10
耐久:14
俊敏:9

技能:アルサーロス
         剣術Lv1
──────────────────

よっわっ!
まぁ、俺は加護があるからなんだけど。
Lv2でこれは凄いのかな?

「よーし、説明を始めるぞ。まずは」

『ミヤナ・ナード』 Lv2

「まぁ、これは分かるな。名前と自分のレベルだ」

種族:人間
年齢:15歳
性別: 

「種族は獣人など魔物そういった類の奴だ。年齢はまぁ、年齢だな。性別もだな。」

職業:見習い剣士
称号:未取得

「職業は自分が選んだやつだな。この学園のやつは皆剣士志望だな。称号は+の効果が着くやつだ。取得するには条件着あるけどな」

体力:29
魔力:67
筋力:10
耐久:14
俊敏:9

「これがステータスの中で特に重要だな。Lv1の平均が合計40なんだ。ナードは大いに上回るな。じゃあまず体力からこれは自分のレベルヒットポイントだ。魔力は魔法を使える力だな。筋力な攻撃力。耐久は防御力で、俊敏が素早さ。こんな感じだな。質問はあるか?」

俺は大いに平均を上回ってるのか。
でも、加護がなきゃ平均も行ってないのか。

「無いようだな。なら二限を終わりにする。今日はこれで終了だ。帰っていーぞ」

俺はいち早く教室を出て、そのままギルドに向かった。

今日は何を受けようかな。

      『薬草採取』
ランク:F
依頼内容:森の中の海の周りにさく薬草の採取。
敵人数:“0”
自然環境:乱入の可能性無し

報酬:銀貨1枚

──────────────────
      『銅鉱石の採掘』
ランク:F
依頼内容:森の中にある洞窟の浅い場所に位置する銅の採掘。
敵人数:“0”
自然環境:何者かの乱入の可能性あり

報酬:銀貨2枚

──────────────────
     『荷馬車の護衛』
ランク:F
依頼内容:ここらか少し離れた街へ行く荷馬車の護衛。
敵人数:“--”
自然環境:何者かの乱入の可能性あり

報酬:銀貨10枚(依頼者より)

──────────────────

荷馬車の護衛をするか。

「すいませーん。これお願いします」

「分かりました。30分後に森の入口に来てくださいとのことです」

「はーい」

俺はギルドを出て、武器屋に向かった。
武器屋は俺の家の近くにあり、丘のすぐしたに店を構えている。

「ちゃーす!」

「らっしゃい。何お探しで?」

「杖の代わりになる剣を」

「そうか、ちょっとまっとれ」

武器屋の店主は、店の裏側に回って柄が黒い剣を持ってきた。

「これなんかどうだ?」

「どんな能力があるんすか?」

「鑑定。見てみな」

      『魔剣イグニス』
ランク:A
耐久値:1000/1000
レベル:1/500(血を吸う度に経験値が溜まる)
経験値:1/5
スキル:全ステータス+100

値段:金貨1枚
──────────────────
「買います!」

「へいまいどありっ!」

俺は店主に金貨1枚を渡し、鉄の剣の装備を外して、魔剣イグニスを装備した。
俺は武器屋に置いてある鏡の前で確認してみる。

「服も買うか」

「それならすぐ横の服屋がオススメですよ」

「そうか。ありがとう」

俺は武器屋の店主にお礼を言って隣の服屋に入った。

「いらっしゃい」

俺は服屋に入り、服を漁る。
この服屋は服の前にステータスを表示してくれていて鑑定がない俺でもよく分かるようになっている。

これは助かるな。

俺はその中から1つのローブを選んだ。

『グリムリーパーローブ上下セット付き』
耐久値:5000/5000
耐久:100

大きなフードとロングの着丈で、ゴシックなローブのようなシルエットを演出する。

値段:銀貨4枚

「これにします」

「はいよ。またおいでな」

服屋を出て、森の入口に俺は向かった。

「おぉ、あんちゃんが護衛かい?」

「はい、今日は俺が荷馬車の護衛をさせてもらいます」

「頼もしいなぁ〜!」

護衛の依頼者は男一人で、相当な量の荷物を運ぶみたいだ。

「よしっ、じゃあ行くぞ!あんちゃんは荷馬車に乗ってくれ」

「分かりました」

俺は荷物で溢れた荷馬車に乗り込んだ。
そこに積まれていたのは魔物だった。

「あのっ、魔物を運んでるんですか?」

「それはペットとして売るんだよ!よしっじゃあレイム町に行くか」

依頼者は馬の手綱を引いて、馬を動かした。
俺は荷馬車の窓からモンスターが居ないかを見張っている。

「あんちゃんあんちゃん。盗賊だよ!」

「直ぐに対処するので止まってください」

俺は止まった荷馬車から飛び下り、盗賊の前に立つ。
盗賊は3人居て、皆剣を持っている剣士だ。

「金目のもの全て置いてけ」

テンプレ的なこと言うなこいつ。

「それは出来ないな。護衛の依頼をされてるから」

「そうか、なら力づくで貰う!行くぞお前ら」

「「あいあいさー」」

「ファイヤーボール」

「フリージオだ!!」

「カマイタチッ」

盗賊トリオが炎、氷、風属性の魔法をそれぞれ放ってきた。
それに合わせ俺もアルサーロスを放つ。
数は200だ。
魔剣が杖の代わりにもなっているため、以前よりも多く作れた。
俺は顕現させた氷槍を盗賊トリオの魔法に放った。
魔法の衝突により発生された煙を通り、盗賊トリオの足を斬る。
立てなくなるまで何度でも斬り続けた。
夢中で切り続けていたら気づいた時に盗賊トリオ達が泣いていた。

「ごめんなしゃい」

「もうしません!」

「うわぁぁぁぁぁん」

盗賊トリオは足から血を垂らし泣き叫んでいた。

やり過ぎちゃった。

「ア、アンチャン。タスカッタゾ」

「あはは、やり過ぎちゃいましたー」

「ソ、ソウカ。ヒガクレソウダカラソロソロイクゾ」

「もうそんな時間でしたか。分かりました」

俺と依頼者は荷馬車を動かしレイム町へと向かった。

「助かったよあんちゃん。これが報酬だ」

俺は依頼者から銀貨10枚を貰った。

「ありがとうございます!俺この町で今日泊まろうと思うんですが、いい宿知りませんか?」

「それならアブセル宿ってとこの言ってみろ。この道を真っ直ぐ行けばすぐにわかるよ」

そう言って依頼者が指さした道は、提灯のようなものが数多く飾ってある古風な街並みの一本道だった。

「分かりました」

俺は依頼者と別れ言われた通りに、一本道を歩く。
街並みに黄昏ながら進むと周りの風景に似つかわしくない派手な看板を見つけた。
『アブセル宿』

ここか。

その看板はピンク色の蛍光色の看板に黒色で大きくてアブセル宿とかいてあった。

確かにこりゃすぐわかるわな。

俺はアブセル宿のドアを開け中に入った。

「へい、なんにちおとまりでぇ?」

「明日の朝までお願いします」

「へい、銀貨2枚でぃ」

「どうぞ」

「まいどうだでぃ。お前さんの部屋は102だで」

「ありがとうございます」

俺は102の鍵を手にし、部屋の前へ向かった。
ドアは外の外観同様派手に飾られ看板とおなじピンクの蛍光色に黒文字で102と書かれていた。
ドアを開けると、その部屋は1面真っピンクで何故か見ているだけで酔いが回るくらいの部屋だった。
俺はすぐにベットに潜り目をつぶった。

明日は早く起きて学園まで行かなきゃだな。

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