不遇職テイマーの成り上がり 〜スキル【吸収】でモンスターの能力を手に入れ、最強になる〜

愛犬ロック

第18話 テイマーVSトレント ②

 ウッドシールドに斬撃を防がれたシャルは、トレントの幹を蹴り、宙を舞った。
 後方へ飛び、宙で一回転し、地面に着地する。

 残るトレントは4体。

 少しずつ数を減らしていきたいところだ。
 幸い、1体のトレントは周りを走っているウルフに気を取られている。
 もう1体は俺の攻撃を受けて、ダメージを負っている個体。
 今はシャルの目の前にいる2体に集中できる絶好のタイミングだ。


「シャル、1体を確実に倒して行こう。俺が最初に攻撃を入れる。隙をついてシャルが斬撃を決めてくれ」


 シャルの攻撃が決まれば、トレントは一撃で倒せる。


「分かった。アレン、隙を作って」
「任しとけ」


 ……と、言ってもノープランなんだがな。


 しかし、攻撃をしてみないと始まらないか。
 地を蹴り、トレントに向かって駆ける。
 そして、剣を振るう。


 ――キンッ


 剣は当たり前のようにトレントの枝に弾かれる。
 こうなる事は分かってる。
 斬撃が通らないなら、それ以外の攻撃を試してみればいい。


 ――突進
 ――ショルダータックル


 突進とショルダータックルを組み合わせる事によって、技の威力は増大する。
 しかし、身体にかかる衝撃が大きくなり、自分にもダメージが入る。


「ぐッ……」


 だが、結果は出た。
 トレントはウッドシールドでガードしたが、衝撃に耐えきれなかったようだ。
 体が傾き、ドスンッと音を立てて地面に倒れた。


「シャル!今だッ!」


 声を出して、叫んだ。
 シャルの攻撃を入れる絶好のチャンス。


「――分かってる」


 シャルがそう言ったときは既に空中にいた。
 トレントに向かって放物線を描きながら、シャルは落下していく。
 剣を下方向に向け、勢いを殺さないまま剣をトレントに――突き刺した。


「GOAAAAAAAAAAAAA!!!!」


 トレントは叫び声をあげながら、消えていく。
 よし、一撃だ。
 つい、ガッツポーズをしてしまう。


 ……そう、俺は一瞬だけ油断をしてしまったのだ。





 ――パラライズ



 俺が攻撃を入れた瀕死の状態だったトレント。
 完全に意識の外にいた奴が、パラライズの魔法を唱えた。
 パラライズは、対象を麻痺させて身動きを取れなくする魔法。
 俺とシャルが固まったところを狙って、パラライズを使われた。


 《耐性》に【状態異常軽減】を持っているが、身体が自由に動かない。
 歩くので精一杯だ。
 やばいな、こんなのただの的まとでしかないぞ。


 トレントは、ゆっくりと俺とシャルに近づいてくる。
 ニヤニヤとした表情で、勝ちを確信したかのように。
 そして、ウッドランスの態勢になったそのとき、


「――君達、私の存在を忘れてないかい?」


 絶望の状況で聞こえたのは、レナの声だった。


 ――《職業スキル》【癒しの光】


 透明な黄色い光が俺とシャルの身体を包む。
 麻痺で動けなかった身体が動けるようになった。


「ナイスだ!レナ!」


 動けるようになった俺達を見たトレントは慌てて攻撃を仕掛けてきた。


 ――ウッドランス


 腰を低くして、攻撃に耐えれるような態勢を作る。
 そして素早く伸びてきた枝を剣で防ぐ。


「くッ――」


 腕と身体にハンマーでぶっ叩かれたみたいな凄い衝撃が走る。
 これがステータスの差か。
 トレントの次の攻撃が間髪入れずにやって来たら、詰んでいたな。
 だが、そんなのはやってこない。
 何故なら――。


「……隙だらけ」


 ウッドランスを放ったトレントは、隙を作ったからだ。
 ウッドシールドを展開する余裕はない。
 その隙をシャルは見逃さない。
 シャルの剣がトレントを斬り裂く。


「GOAAAAAAAAAAAAA!!!!」


 よし、仕留めた!
 後は2体だけだ。

 そう思ったそのとき、頭に、あの無機質な音声が鳴り響いた。


 《30レベルになりました。ステータスの上限を解放します》


 ああ、狙い通り30レベルになったようだな。
 トレントと戦う前の俺のレベルは29。
 この戦いの最中で30レベルになるだろうという読みは当たったようだ。
 ステータスを確認してみる。


 種族:人間
 名前:アレン=ラングフォード
 性別:男
 年齢:16歳
 職業:テイマー
 レベル:30
 HP:14210
 MP:3890
 攻撃:12230
 防御:9320
 魔力:4430
 敏捷:10090

 《恩恵》
【獲得経験値上昇(小)】

 《耐性》
【痛覚耐性(小)】
【物理攻撃軽減】
【魔法攻撃軽減】
【状態異常軽減】

 《職業スキル》
【テイム:レベル2】
【鑑定(ステータス限定):レベル2】

 《攻撃スキル》
【ショルダータックル:レベル3】
【突進:レベル2】
【噛みつき:レベル2】

 《強化スキル》
【身体強化:レベル2】

 《通常スキル》
【棒術:レベル1】
【剣術:レベル3】
【斧術:レベル1】
【槍術:レベル1】
【疾走:レベル2】

 《ユニークスキル》
【吸収:レベル1(MAX)】
【自己再生:レベル1(MAX)】
【意識共有:レベル1(MAX)】



 ステータスが倍以上に跳ね上がったな。
 上限が解放された途端にこれか。

 さて、俺のステータスはトレントのステータスを圧倒している。
 先程より、かなり身体が軽く感じる。
 もうコイツらに負ける気がしないな。

 ――では、残る2体のトレントを蹂躙するとしよう。


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