元賢者の最強剣士 〜二度目の人生は自由に冒険者ライフを送る〜
第11話 断る!
やれやれ、新人Fランク冒険者だというのにちょっと強いところを見せてしまったな。
何事もなければいいのだが。
……それにしても、返り血が気持ち悪い。
水魔法や火魔法を上手く扱えない(威力が強すぎて制御出来ない)ため、今この場で洗い流すのは無理なんだよな。
早く帰って、先日宿屋で見つけた風呂に入りたいものだ。
皆んなのところに戻ってきた俺は、何て言えばいいか分からなかったので、
「片付いたし、帰ろうぜ」
と爽やかに言うのだった。
気分は、物語の主人公だ。
しかし。
「コボルト達の素材を剥ぎ取ってからね」
レンは平然と言った。
んんん?今のところって街に帰る雰囲気じゃない?
てか、冷静に素材を剥ぎ取ること考えてんじゃねえ。
「まあ、ノアが全部倒した訳だからノアのお金にすればいいけど」
「賛成!私たち助けてもらった訳だし、そのぐらい当然だよね」
レンとスズナはそれに賛同し、コボルト達の素材を剥ぎ取りに向かう。
スズナの足は、もう大丈夫そうだった。
脹脛に矢が刺さったぐらいだから、回復魔法で簡単に治せるからな。
一方で気絶していたリリアは今、目を覚ましたようだ。
地面に横になっていた体をゆっくりと起こし、辺りを見回す。
血だらけの俺を見て、
「ひぃッ!何であんたそんな血だらけなのよ!」
「返り血だから心配するな」
「ああ、返り血ね……って、もしかしてアレ……あんたがやったの?」
リリアの言うアレとは、俺の後ろにある約200体のコボルトの死体のことだろう。
「そうかもしれないな」
「……ふーん」
さっきのようにライバルを見るかのように、こっちを見るのかと思ったが、リリアは気の抜けたような顔をしていた。
何か変だと思いつつも怒られるより全然マシなので、気にしないことにした。
「ノアとリリアはここで休んでてくれ。俺も素材の剥ぎ取りをしてくるよ」
アルレはそう言って、レンとスズナの元に駆け寄っていった。
残された俺とリリア。
別に話すこともないので、仰向けになって休むことにする。
「ねえ、あんたってもしかしてかなり強かったりする?」
意外なことにリリアの方から話しかけてきた。
……いや、今朝もリリアの方から話しかけてきた訳だから結構話しかけるタイプなのかもしれない。
あれ、友達いないのによく話しかけるってそれウザがられてるんじゃないのか?
かわいそうに。
俺は別にウザいとは思わないが、慰めてやることにしよう。
優しい男はカッコいいからな。
まぁ容姿だけでも俺は十分カッコいいのだが、そこに優しさまで追加されるとなると、それはもう俺のイケメン力が天元突破しているのではないだろうか。
「リリア大丈夫だぞ。お前はウザくないし、きっといつか心の友が出来るさ」
「あんたは一体何を言っているんだ。頭でもおかしくなったのか?いや、既におかしいか」
「失礼な奴だな。俺ぐらい脳細胞が優れている奴は中々いないぞ」
「はいはい。そうですね。それならアタシが今さっき聞いた質問覚えてますか?」
……なんか冷静だな。
つまらん。
てか、こいつ質問してたっけ。
ああ、話しかけてきたときか。
確か、
「あんたってもしかしてツヨシだったりする?だっけか?悪いが、俺はそんな名前じゃなくてノアって言うんだ。人の名前はちゃんと覚えとけよな」
「知ってるわ!!!!てかあんた、本当は分かってるんでしょうが!!」
怒ってしまった。
ふざけすぎたようだ。
仕方ない、真剣に答えてやるとしよう。
「強いのかって質問か?」
「そうよ」
「……そうだな。NOとも言えるしYESとも言えるだろうな」
深い意味があるように俺は言うが、深い意味はない。
ただ深い意味があると思わせておけば、余計な事を聞かれる事はないだろうと思ったのだ。
他人の繊細なところを土足で踏みにじるような事をする人は少ないだろうからな。
「そうなの。じゃあ、アタシに剣を教えて」
……?
それって俺の回答全無視じゃないか?
どうしてそうなった。
「何故そうなる。第一お前はCランク冒険者だろう。Fランクに剣を習ってどうする」
「だって、あんたに勝てるとこ想像できないんだもん。だから剣を教えてほしいなーって」
上目遣いでお願いしてくるリリア。
恥ずかしいのか顔を赤らめているのが少し面白い。
女の武器というものを理解している。
だが……。
「断る!」
「なんでよ!」
「人にお願いすれば何でも叶うとでも思っているのか?そんな甘えた考えは捨てるんだな」
「ぐぬぬ……正論だから言い返せない」
その後リリアから剣を教えてと何回もお願いされるのだが、丁重にお断りしておいた。
◇
アルレ達が素材の剥ぎ取りを終えると、冒険者ギルドに戻り、森であった事を報告した。
「えええぇぇぇ!!!コボルト200体も倒してるじゃないですか!しかも変異種も倒してますし!」
報告した窓口の受付嬢は目を見開き、凄い驚き方をしていた。
どうやらギルドカードには、その日に討伐した魔物を記録する機能があるみたいで、俺が倒したコボルトの数は丁度200体だったみたいだ。
剥ぎ取りした素材は、全部俺のものということになり、合計35万ペルが手に入った。
なんか悪いなと思い、その日の夕食は皆に奢ってあげた。やっぱり俺は優しいと思う。
何事もなければいいのだが。
……それにしても、返り血が気持ち悪い。
水魔法や火魔法を上手く扱えない(威力が強すぎて制御出来ない)ため、今この場で洗い流すのは無理なんだよな。
早く帰って、先日宿屋で見つけた風呂に入りたいものだ。
皆んなのところに戻ってきた俺は、何て言えばいいか分からなかったので、
「片付いたし、帰ろうぜ」
と爽やかに言うのだった。
気分は、物語の主人公だ。
しかし。
「コボルト達の素材を剥ぎ取ってからね」
レンは平然と言った。
んんん?今のところって街に帰る雰囲気じゃない?
てか、冷静に素材を剥ぎ取ること考えてんじゃねえ。
「まあ、ノアが全部倒した訳だからノアのお金にすればいいけど」
「賛成!私たち助けてもらった訳だし、そのぐらい当然だよね」
レンとスズナはそれに賛同し、コボルト達の素材を剥ぎ取りに向かう。
スズナの足は、もう大丈夫そうだった。
脹脛に矢が刺さったぐらいだから、回復魔法で簡単に治せるからな。
一方で気絶していたリリアは今、目を覚ましたようだ。
地面に横になっていた体をゆっくりと起こし、辺りを見回す。
血だらけの俺を見て、
「ひぃッ!何であんたそんな血だらけなのよ!」
「返り血だから心配するな」
「ああ、返り血ね……って、もしかしてアレ……あんたがやったの?」
リリアの言うアレとは、俺の後ろにある約200体のコボルトの死体のことだろう。
「そうかもしれないな」
「……ふーん」
さっきのようにライバルを見るかのように、こっちを見るのかと思ったが、リリアは気の抜けたような顔をしていた。
何か変だと思いつつも怒られるより全然マシなので、気にしないことにした。
「ノアとリリアはここで休んでてくれ。俺も素材の剥ぎ取りをしてくるよ」
アルレはそう言って、レンとスズナの元に駆け寄っていった。
残された俺とリリア。
別に話すこともないので、仰向けになって休むことにする。
「ねえ、あんたってもしかしてかなり強かったりする?」
意外なことにリリアの方から話しかけてきた。
……いや、今朝もリリアの方から話しかけてきた訳だから結構話しかけるタイプなのかもしれない。
あれ、友達いないのによく話しかけるってそれウザがられてるんじゃないのか?
かわいそうに。
俺は別にウザいとは思わないが、慰めてやることにしよう。
優しい男はカッコいいからな。
まぁ容姿だけでも俺は十分カッコいいのだが、そこに優しさまで追加されるとなると、それはもう俺のイケメン力が天元突破しているのではないだろうか。
「リリア大丈夫だぞ。お前はウザくないし、きっといつか心の友が出来るさ」
「あんたは一体何を言っているんだ。頭でもおかしくなったのか?いや、既におかしいか」
「失礼な奴だな。俺ぐらい脳細胞が優れている奴は中々いないぞ」
「はいはい。そうですね。それならアタシが今さっき聞いた質問覚えてますか?」
……なんか冷静だな。
つまらん。
てか、こいつ質問してたっけ。
ああ、話しかけてきたときか。
確か、
「あんたってもしかしてツヨシだったりする?だっけか?悪いが、俺はそんな名前じゃなくてノアって言うんだ。人の名前はちゃんと覚えとけよな」
「知ってるわ!!!!てかあんた、本当は分かってるんでしょうが!!」
怒ってしまった。
ふざけすぎたようだ。
仕方ない、真剣に答えてやるとしよう。
「強いのかって質問か?」
「そうよ」
「……そうだな。NOとも言えるしYESとも言えるだろうな」
深い意味があるように俺は言うが、深い意味はない。
ただ深い意味があると思わせておけば、余計な事を聞かれる事はないだろうと思ったのだ。
他人の繊細なところを土足で踏みにじるような事をする人は少ないだろうからな。
「そうなの。じゃあ、アタシに剣を教えて」
……?
それって俺の回答全無視じゃないか?
どうしてそうなった。
「何故そうなる。第一お前はCランク冒険者だろう。Fランクに剣を習ってどうする」
「だって、あんたに勝てるとこ想像できないんだもん。だから剣を教えてほしいなーって」
上目遣いでお願いしてくるリリア。
恥ずかしいのか顔を赤らめているのが少し面白い。
女の武器というものを理解している。
だが……。
「断る!」
「なんでよ!」
「人にお願いすれば何でも叶うとでも思っているのか?そんな甘えた考えは捨てるんだな」
「ぐぬぬ……正論だから言い返せない」
その後リリアから剣を教えてと何回もお願いされるのだが、丁重にお断りしておいた。
◇
アルレ達が素材の剥ぎ取りを終えると、冒険者ギルドに戻り、森であった事を報告した。
「えええぇぇぇ!!!コボルト200体も倒してるじゃないですか!しかも変異種も倒してますし!」
報告した窓口の受付嬢は目を見開き、凄い驚き方をしていた。
どうやらギルドカードには、その日に討伐した魔物を記録する機能があるみたいで、俺が倒したコボルトの数は丁度200体だったみたいだ。
剥ぎ取りした素材は、全部俺のものということになり、合計35万ペルが手に入った。
なんか悪いなと思い、その日の夕食は皆に奢ってあげた。やっぱり俺は優しいと思う。
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