死にたがりな美少女(ボク)と残念貴族

蒼風

Ⅰ.別れの手紙

拝啓


時下ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。


さて、この度は突然の事ではございますが、私、三菱みつびしれん健太朗けんたろう様の元を離れる事に致しました。いえ、決して貴方が悪いわけではございません。貴方は既に身寄りのない自分に衣、食、住を与えてくださりました。その事には感謝してもしきれません。

しかし、駄目なのです。私はやはり貴方の子供でも、孫でも有りません。貴方のご厚意にいつまでも甘えている訳には行かないのです。貴方にも日々の暮らしがございます。一人、生きていく事に苦心する所を見て、どうしてなお縋り続けられるでしょうか。

もしかしたら、貴方は私の事を心配してくださるかもしれません。でも大丈夫です。私はもう子供では無いのです。時代が時代ならば既に一人の大人として扱われてもおかしくない年齢です。だから、どうか心配せず、独り歩く私の道程に幸あらん事を願っていただければ嬉しいです。

最後になりますが、ご自愛のほど、お祈り申し上げます。

敬具



追伸


身の回りの事が落ち着いたら、また連絡致します

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品