なんか伝説の剣の付喪神になっていたので勇者と供に魔王倒します

コモレビ

13 魔王の策略

魔王サイドのお話





「どうだ?CAT_0は奴に送り込めたか?」

暗闇の中、黒のローブに黒のブーツを身につけている荘厳な雰囲気の男がとなりの側近らしき人に問う。
ここは魔王の拠点。巷では魔王城なんて呼ばれたりして、人っ子一人寄り付かない場所だ。
もちろんその中の最上階の一室の、この玉座に座っているのは魔王で側近は彼の部下であった。

「はい。無事に仲間になってもらったようです。」

側近はそう答え、あるタッチパネルを魔王に見せた。
そこには、勇者と剣と猫。

「ご覧の通りです。このタッチパネルでは音声までは拾えないのでどうやって取り入ったのかは分かりませんが、はやくも打ち解けている様子ですね。」

仲良さげに歩く1人と1つと1匹を確認した魔王は不敵な笑みをこぼした。

「それにしても勇者が家を飛び出していってくれて助かったよ。おかげでスパイであるCAT_0を容易に送り込めた。」

CAT_0と呼ばれている黒猫にはカメラのような機能が搭載されていて、今魔王の目の前にあるタッチパネルに映し出されている。

「あの猫には強大な力の黒魔法と強力なスキルを覚えさせているからな。産み出すのにどれだけ苦労したか、、、。」

そう。あの猫は魔王によって産み出された殺戮兵器なのだ。
つまり、勇者の隣には強力過ぎる魔獣が歩いていることになる。

「これで面倒な勇者を始末できる。」

計画がもうほとんど成功していることに束の間の安堵をしているところに、


ドタドタっと階段を上って部屋をノックもなしに開け放った、部下が1人。とても焦った様子である。

「魔王様!!緊急事態発生です!」

魔王は眉をひそめ、続きを促した。

「CAT_0が記憶喪失の模様です!」

側近と魔王は絶句した。

そんな中魔王城のことなど露知らず、タッチパネルの中の彼女らは楽しげに談笑していた。



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