自害阻止スキルと自然治癒スキルを与えられた少年は、異世界転生からリタイヤ出来ない!

goro

予想




カルデラに剣を渡した理由としては、一番に影響が大きかったのは彼女が剣豪シサムの娘だからという所だ。

そして、一方のカフォンに至っては、その内に秘める魔力量の大きさを見極め、等々の火力による連続攻撃が可能とした銃を選抜した。



…のだが、


「うむ…何故こうも上手くいかんのじゃ?」
「いや…ってか、いくわけねぇだろ」

大賢者の言葉を即不定した神宿は、呆れたように溜息を吐く。


「第一、この世界には銃自体ないんだろ?  それも初めて手にする物だったら尚更出来なくて当たり前だろうが」
「うッ、っ、コホン。……ふむ。まぁ、お主が言うことには一理はある」

若干視線をそらすファーストは、コクコクとワザとらしく頭を頷かせ、




「…しかし、じゃな」



ーーーーー更に続けて、疑問を神宿に投げかけてみた。







「剣豪の娘に関しては…どう説明するつもりなのじゃ?」
「……あー、あれは単に運動音痴とか…まぁ、そんな系じゃないのか?」


と、二人して無茶苦茶言ってくる言葉に対し、




「なんで私だけ辛口なんですかっ!!」





未だ青い剣の下敷きになっているカルデラは、泣きわめくようにして抗議を言葉を言い続けるのであった。








「トオルも酷いです!」

頬を膨らませ、拗ねるカルデラ。

あの後、神宿たちに助けられた彼女たちは今、男子寮のリビングへと戻り、テーブル前の席に腰掛けている。


そして、その間。
何故か神宿が皆の昼食を作る役目を担わされてしまっているのだが…、

「酷いって言ってもなぁ。第一、あの剣自体、師匠は軽々と持ち上げてたんだぞ? なら、明らかにお前の筋力が不足してるだけじゃ」
「き、筋力って!? 女の子になんて事を言うんですかっ!! トオルはデリカシーっていう言葉を知らないんですかッ!?」
 
キッチンとリビングとの間で二人が言い合う。
その一方で、



「お主ら、少しは静かにすることぐらいできんのか?」

片眉をピクピクとさせる大賢者ファースト。
そんな彼女の手にはネジやらドライバーやらが握られており、現在カフォンが持つ赤い銃のメンテナンスを行っている真っ最中なのだが、


「第一じゃ。そもそも、ワシはこれ以上お主らに関わるつもりはなかったというのに」
「自業自得だろ、全く。そんなワケもわからない武器を手渡して、勝手にほったらかそうとしたアンタの方が断然悪い」
「っ、むむ」
「だから、全部じゃなくてもいいからせめてカフォンが使いやすいように、ちょっとは改修ぐらいしてやれ」


どっちが大人だか分からないぐらいほどに、ファーストを叱る神宿。
と、そんな中、


「ね、ねぇ…」
「む? なんじゃ?」


ファーストの作業をまじまじと見ていたカフォンが、やや控えぎみに疑問を尋ねてきた。

「その魔法具って、やっぱりこの小さいのがないと撃てないの?」

彼女はそう言って、水色の銃弾を指で掴みながら見せる。
それは訓練場に行く手前、神宿に作ってもらった簡易型魔力弾の一弾だった。


「まぁ、銃じゃからなぁ。……ん、なんじゃ? もしかして、面倒くさいかったり」
「ち、違うっ違う!?  ちょっと気になっただけで」


誤解されたと思い、慌てるカフォン。
だが、対するファーストはそんな彼女を様子を見据え、クスクスとからかうように笑い出した。


「まぁ、初めはそう思うじゃろうなぁ」
「っ、え?」
「魔法に慣れてる分、手間もかかる。後、いちいち弾を入れるのも面倒じゃろう」


カフォンの言葉に同調するように会話を続けていくファーストは、その小さな口元を緩ませ、



「じゃが、コイツはコイツで色々と便利なものなんじゃぞ?」
「?」

その意味ありげな言葉に首を傾げるカフォン。


そんな彼女にファーストは赤い銃に触れながらーーーーー断言する。






「なんせ、お主がコレを自由自在に扱えるようになればーーーーー貴族だと関係ない、いずれは上位クラスの魔法使いなど目ではないほどの魔法使いになれるのじゃからな」






それはまるで夢物語を語られているかのように、意味がわからず目を瞬かせるカフォンをよそに、


「 まぁ、それもこれも、お主の努力次第なのじゃがな」

ファーストは、ニタリ顔でもう一度口元を緩ませるのであった。




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