自害阻止スキルと自然治癒スキルを与えられた少年は、異世界転生からリタイヤ出来ない!
魔法学園への入学
まさか、こんな急展開になるとは思いもしなかった。
その翌朝の今日この日。
神宿 透はアーチェに用意された学生服と諸々の荷物を持たされある場所へと向かってあるいていた。
というのも、昨日学園に入学しろと言われてからはーーーもう後の祭りだった。
睡眠、準備、食事と手早くすまされ即学園近くの林へとテレポートされた神宿。
まるで、色々難癖をつけてくるだろうと踏んで、手早く事を済ませたようであり、だてに一年間一緒に住んだ師匠なだけでもあった。
「そういえば最後にアイツ、言ってたよな」
神宿はテレポート間際で言われたアーチェの言葉を思い出す。
『ちなみにー? 悪目立ちすると色々大変だろうから、寮も含めて色々調整しておいたからねー?』
そう言って渡された手紙には、神宿がこれから寝泊まりするであろう学生寮への行き道が記されている。
まずは着いたら先にここへ行けという指示なのだろうが……、
「いや、それにして………オンボロすぎるだろ、これ」
着いた先にあったものーーーーー今にも吹けば壊れてしまいそうな、木造建築の寂れた二階建ての学生寮の姿だった。
確かに、外での野宿に比べればマシと言えばマシなのだろうが…。
「…………まぁ、今更言ってもな」
テレポートの魔法も使えるわけでもなく、また金銭もそんなにない。
もう腹をくくるしかない、かと。
神宿は溜息をつきつつ、そんな寂れた寮へと入っていくのだっだ。
その数時間後。
正確には一時間後くらいなのだが、神宿は今、学園にやってきている。
寮で手早く支度をし終えて来てはみたのだが、いやはや…、
(まさか、外見だけがボロボロで中はしっかり整えてるって…。ホント、アイツにはいつも驚かされてばっかだよな)
外の外見が嘘だったかのように、寮内部はキッチリとしたものになっていた。
綺麗なベットに加えて必要な魔法の書。
後、森の家で使っていた必要最低限の家具や料理器具もある。
後で買いに行かないとな、と思っていた諸々含め、大方全部がそこにはすでに用意されていた。
(まぁ、ただ一人に対してあの寮の大きさはどうかと思うけど)
そう内心でぼやきつつ、師匠のしてくれた事に嬉しさを感じつつ、神宿は指定されていた学園内の職員へと向かい歩いていた。
すると、その時。
通路の角に差し掛かった矢先で神宿は一人の学園の女子とぶつかりそうになった。
「きゃっ!?」
共にぶつかりはしなかったものの、後ろへとふらつく女子生徒。
「あ、悪い! 大丈夫だったか?」
神宿は慌てて声を掛けると、その女子生徒も同じように謝る仕草をして来た。
「あ、いえ。こちらこそ、大丈夫でしたか?」
「ああ、俺は別に大丈夫だけど」
そうですか、とそう言って神宿に向き直る彼女は手慣れた仕草で頭を下げながら、
「貴方も私と同じ学生のようですね。申し遅れましたが、私の名前はカルデラといいます」
「あ、ああ。えーっと俺の名前は、神宿 透って言って」
「カミヤドトオル? えー、トオルさん、で良かったですか?」
「…ああ、それで合ってる」
「そうですか。なら、トオルさん、これから同じ学園の生徒として、共に立派な魔法使いになるよう、頑張りましょう」
それでは、と言って礼儀正しく礼をして去っていく女子生徒のカルデラ。
神宿は離れていく彼女を見つめながら、
「うーん、あれってやっぱり貴族とか、か?」
その見ため容姿から勝手に想像しつつ、同時に正確のきつい貴族とはまた違ったな、と思う神宿だった。
そうして、やっと学園の職員室にたどり着き、自分がこれから通うクラスへとやって来た神宿は、
「このクラスに転校してきました、トオルです。よろしくお願いします」
言葉を噛まずに言えて、何ごともなく入学出来たと、そう思っていた。
のだが、
「おい、貧乏野郎」
「は?」
いかにもどこの学校にでもいそうな悪ガキもとい、子分を連れた男子生徒が突然と話しかけて来た。
しかも、
「お前、今日から俺の手下な? いいな?」
「………いやいや、何で?」
「は? 何口答えしてんだ、お前!」
「おい、貴様!! カリオカさまがせっかく声をかけてくれたんだぞ? 何だその態度は!」
先に話しかけて来た男子、カリオカの後ろに続く子分の生徒が共に起こった様子で神宿に言葉をぶつけてくる。 
とはいえ、いきなり手下になれと言われて直ぐにハイ、と答えるのも神宿的には正直
嫌だった。
弱々しい性格だったなら、ハイとすぐ答えていたのかもしれないが、
(はぁー、最悪だ)
厄介な奴に絡まれた。
神宿が大きな溜息を漏らすと、どうやらそれが感に触ったようであり、
「お前! 今から俺と決闘しろ!!」
と。
「ーーーーーえ?」
かくして入学当初、初の対人魔法対決に巻き込まれてしまう神宿なのだった。
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