終焉のカルテ

舞睦月

2.悪魔との契約

目が覚めるとリノリウムの床に寝そべっていた。

「おや、お目覚めのようですね」

見知らぬ男が部屋にいた。ひゃあ!と声が出てしまった。

「だ、誰ですか?」

「まあそう怖がらなくても大丈夫だよ、舞さん。何もしないから。」

「あぁ、簡単に言うと私は『悪魔』だ」

その言葉を信じるほど、私は馬鹿ではない。

「それにしても昨日は災難だったね。友人が目の前で死んじゃったもんね」

「馬鹿にしてるのですか!!」

私には馬鹿にしているようにしか受け取れなかった
。瞳には零れそうな涙でいっぱいだった。

「いえいえ、馬鹿になんてしてませんよ。私は舞さんに良い話を持って来たのですよ」

「良い話って?」

「舞さん、お友達を助けたくはないですか。私の言う簡単なミッションを6つ達成して頂ければお友達を助けて差し上げます」

「綾ちんは死んだんだよ!救える訳がないじゃん。馬鹿にするのもいい加減にして下さい」

死人を救えるはずがない。当然のことであり、小学生でも分かる事だ。でも、もしこの男の言うことが本当だったら...本当に悪魔なら...と淡い期待を抱いた。

「私と契約して頂ければお友達を救えますよ。失敗すれば舞さんが死んじゃいますがね」

「綾を救ってくれるんですか?」

「ええ、もちろんですとも。ただし、契約して頂けるなら」

この時の私はどうかしていたのだろうか。この男の言うことに乗ってしまうなんて。

それから少し考えた。

「ミッションくらいやりますよ!綾を助けてください!!」

「契約成立ですね。良い返事です!」

こうして私の悪魔は契約を交わした。


悪魔との契約を終え、いつも通り学校に向かっていた。
失敗すれば私が死ぬ。じゃあ失敗しなければいい。それも綾を救えるためなら。

「舞さん、こっちですよこっち!」

悪魔が手招きしていた。少し小走りで悪魔のもとへ向かった。

「2人揃いましたね。本当に考えることは同じなんですね。それより、最初のミッションについての説明をはじめますよー」

私と未緒はそれぞれ覚悟を決めた顔でお互いを見つめあった。

「おー、お2人とも理解が早いですね~!あなた達は揃えて私にこう言いました。『綾を救ってください』」

未緒はクスッと笑ってる私を見た。

「それではミッションの説明に移ります。1つ目のミッション内容は『バレずに盗みをしろ』です。期限は本日の23時59分59秒です。当然失敗すると、お2人とも死にますよ。と言うより、殺します。しっかり達成して下さいね。ミッション中は全世界から綾さんについての記憶を消しておくのでその辺は気にしなくても大丈夫ですよ」

ものすごい量の情報が流れ込んだ。盗みやら記憶を消すなど、ほとんど頭に入ってこなかった。

「すみません、もう一度言ってもらえますか」

「ミッションについてリストにまとめましたのでこれをどうぞ」

悪魔からリストを手渡された。

「それでは頑張ってくださいね、では」

そう言って悪魔は去った。
『失敗すると死ぬ』と言われ、少し威勢が靉靆あいたいになった。


しばらくして、いつもの道にもどった。2人の間に気まずい空気があり、話そうにも話せなかった、

「なんか言いたそうだけど、どうした?」

「いや、さっきの...」

「もういいじゃん!もう決めたことは変えられないし。せっかくやるんやったら協力して綾ちんを助けよ!」

この重い空気をはらってくれた。

「うん!」と口にだした。
そして、未緒の顔を見てニッコリ笑って返した。


ミッションの内容には気乗りしなかったけど、それを上回る2人の思いがそれを打ち消した。恐れなどなかった。

このようにして、互いの思いが確認された

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