カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~

蛇使い座のな~が

再会を夢見て

KILHA……いや、桐橋先生、私たちが既に正体を見破っていたこと、気付いていたみたいだ。

「運営のスパイが……黒ギルドに……」

「……敵か味方か、今の段階では分かりようもないことだな、」

気になるけど……今はまだ深追いするべきでは無いか、

「これからどうしましょうか?」

「親父を探す。JHARIBANさんも一緒に探そう、一緒に脱出して来たなら、JHARIBANさんも親父の行方を知っているかもしれない」

「私もついて行きます! 私も師匠に会いたいです。」

「分かった、ついておいで」

「はい!」

「ピロリロリン!」

「Tellさん、メール来てませんか?」

「ああ、本当だ、誰からだろう?」

こんな時に、一体誰がTellさんにメールを?

「……なるほど、KUMIさん、エンプラットに行こう、」

「エンプラットって、RUSHさんとライムさんがいた……」

「ああ、鍛冶屋JHARIBANのあった場所だ。そこに来てくれって、RUSHさんからメールが来たんだ。」

確かに、JHARIBANさんに繋がる手がかりがあるかもしれない。

「一旦隠れ家に戻って荷物を整理しよう、明日にでも出発する。」




隠れ家に戻ると、留守番をしていたナヴィエさんが飛んで来て、出迎えてくれた。

「おかえりなさい、あれ? 新しい仲間ができたんですか?」

「ああ、一緒に着いてきてくれるって、」

「まりです。ジョブは格闘家です。」

「なるほど、格闘家さんだったんですね!これか
らよろしくお願いします!」

「はい、こちらこそ、よろしくお願いします。」

格闘家にして、Tellさんと同じクイックイクイップの使い手。より私たちは強いチームになった気がする。

「ナヴィエ、俺たちまたエンプラットに戻ろうと思ってるんだけど、」

「エンプラットに?」

「ああ、明日にでも出発しようと思う。」

「なら、荷物をまとめないとですね、」

また、RUSHさんや、ライムさんに会えるのか……楽しみだな、

「ネームレスはどうするんだ? 」

「私は殺し屋だし、表立ってみんなの隣を歩く訳には行かないから、影からこっそり着いて行くよ、必要な時だけ一緒に戦うから大丈夫」

「……ストーカーかな? 」

「いや、見守ってるだけ、」

ストーカーだな、

「さて、みんな、各々荷物をまとめて置いてくれ、そして、大事を取って、今日は早めに寝よう、」




まりちゃんも手伝ってくれて、作業はかなり早めに終わった。少しだけ時間が出来たので、私たちはまりちゃんと話をしていた。

「まりちゃんは、どうしてこの世界に?」

「楽しそうなゲームだなって思って、何となくインストールしただけだったんです。まさか、こんな場所に飛ばされるなんて思ってなくて……」

まりちゃんはまだ小さい、リスポーン場所に恵まれず、あんな地下世界で奴隷として使われて、その心に負った傷は計り知れないだろう……

「なんでそんなことをお聞きに?」

「何となく気になっただけです。ほら、このゲームをプレイしてる人って、大人の人ばっかりじゃないですか、まりちゃんみたいな小さい子、珍しいなって思って、」

「確かに、そうですわね……」

「でも、今までが辛かった分、これから外の世界でたくさんゲームを遊べると思うと、楽しみです!」

「じゃあ明日出発したら、Tellに言って、どこか近くのダンジョンに連れてって貰いましょうよ、きっと楽しいですわ!」

「それは楽しみです!!」

まりちゃん、やっと少女らしい笑顔を見せてくれた……

「ダンジョンクリア出来たら、師匠にも話してあげようっと!! 師匠に会えた時のために、土産話を作っておかないと……」

「うん、そうだね、さぁ、明日は早いんだし、そろそろ寝ようか、NARIELさんも、寝ましょう?」

「そうですわね……」

違う場所で起こったふたつの脱出劇は、感動の再会へと向かうのだろうか、

でも今はそれを夢みているしかないか、




そのころ……

「で、結局、KILHAさんは何と?」

「黒ギルドにスパイとして潜り込むのだそうです。こちらの手紙にそう書かれておりました。」

「そのことを知っているのは?」

「私、Tell、KUMI、まり、 、cralless、Phovia、それとNARIELです。運営の人間であることも知られております。」

「随分多くの人に、知れ渡ってしまったのですね、」

「ええ、これ以上の情報漏えいの無いよう、彼らは我々が監視致します」

「……なるほど、それにしても、自分の持ち場を離れて勝手な調査とは……
私の命令を無視してまで調査に行ったということは、それほどの何かがあるのでしょう、彼は優秀です。少し向こう見ずなところはありますが、いつも彼は私の知らないところで、私の予想の何倍もの働きをしてくれる。」

「では、処分は?」

「いりません、命令無視にかなうほどの有力な情報を、持って帰ってきたらの話ですが……」

「カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く