カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~
会える日
セキュリティルーム内への侵入は、以外にも、簡単な事だった。セキュリティスタッフ達はみな自室に戻っていた。中には呑気に仮眠を取っている者もいた。
理由は簡単だ。セキュリティ長に「休め」と言われたら、休まざるを得ないからだ、
「まったく、君の『勝手病』は相変わらずだな、メリア……」
スタッフ長室には、スタッフ用通路から入ることが出来る。休憩しているスタッフの目を盗んで部屋に入り、アラームを鳴らし、Tellさんとの戦いを中止させた。
その後、懲罰室のスタジアムから出てきたXekioと遭遇、今に至る。
「君がアラームを鳴らしたんだね?」
「そうです。」
「いいかい、メリア、本来ならば私の戦闘は彼らがリタイヤするまで続くはずだった。しかし、君が戦闘を中止させたんだ。そのアラームを使って、」
アラームが鳴ったら、処罰終了の合図、これを超えて処罰を行った場合、過罰とみなされて他のセキュリティが止めに入る。だからXekioは戦闘を止めざるを得なかった。
「これは、ボスの命令でやったことです。Tellさんへ過剰な危害を加えることは、GENNさんを不用意に刺激することに繋がり、逃亡を促すかもしれないと、」
「逃亡……? 確かに他の仮アジトには、地下施設以上の逃亡対策はないが、それでも十分逃亡を防止出来ているはずだ。
それに、GENN医師の監視は心理的攻撃の得意なHIGAN君が担当している。
まず逃げようという気が起きないと思うのだが?」
「それがどうも、逃亡を画策している者がいるようで……」
「ほぅ、誰なんだ……?」
「誰かはまだ分かりません、東通路から10メートル程離れた場所に、こんな紙が落ちていました。恐らく、そのあたりの牢獄の者だと思われます。」
紙には「ここから脱出してみないか? 協力してくれたら君の家族にも会わせてあげる」と書かれている。
「文通しているところを見ると、2人以上いるようだな。東通路の独房の中の誰かが、別の誰かとコンタクトを取った……ということかな?」
「いえ、東通路は、HIGANさんの労働部屋とも繋がっており、労働部屋へ移動される際に落としたものである可能性も考えられます。
東通路側の人間とは限らないのではないでしょうか?」
「まぁなんにせよ、厳重に注意する必要があるな。……オーケイ、私からHIGANに助言をしておこう、セキュリティなら、私に任せておきなさい。」
「それと、Tellさんとの接触についても慎重にお願いします」
「……君がそれを言うかい?」
「私はいいんです。彼と会う正当な理由がありますから。」
「ハハ……本当に困った人だ。勝手気ままに動いて、自分の興味のあることにしか目が行かない、まるで『子猫』だ。」
「では、私は行きます。GENNさんに会ってみたいので。」
「そうか、ならこれを渡しておいてくれないか? HIGAN君に、」
渡されたのは、禍々しい装飾が施された剣だった。
「わかりました。会ったら渡しておきます。」
私はそのまま扉に手を掛け、Xekioの方に振り向いた。
「言い忘れたことがありました。私、自分を『子猫』と形容されるの、あまり好きじゃありません。二度としないでください。」
「ギィィ……バタンッ!!」
スタッフたちに追い出される形で、地下施設を後にした私たちは、再び隠れ家へと戻って来た。
「どうだ? 親御さんには会えたのか?」
「会えるよう取り持ってくれるらしい。いつになるか分からないけど。」
「良かったじゃないか!」
きっと話し合えばわかるはず、Tellさんにも、Tellさんなりの道がある。そのことをGENNさんにもわかってもらえれば、Tellさんは自殺しなくて済むはずだ。
「親父、本当に分かってくれるかな……また医者の家計の話とか、持ち出されたりしないかな、」
「それでもめげずに説得しましょう、」
「どうやって?」
「思ってるままを言うだけです。前に話してくれましたよね」
「本当のことを言うと俺は死にたいわけじゃない」
「『死ぬ以外に方法がない』からだ。」
「Tellさんが死にたいと考えたのは、GENNさんが医者になることを押し付けたからです。」
「まぁ、そうなるな、」
「対するGENNさんは、Tellさんに人の命を救って欲しいと思っています。」
「俺たちは代々医者の家計なんだ!! 人の命を救う義務があるんだよ!!」
「2人の折衷案はこうです。『人の命を救う医者以外の仕事に就く』、」
「人の命を救う、医者以外の仕事?」
「沢山あるじゃないですか、看護師とか介護職とか、医療と直接関わらなくても、警察官とか消防士とかも人を救う仕事です。」
「なるほど……」
「この世界から出たら、こんな事をしてみたい、だから自分を殺すのは辞めてくれって言えば、きっとGENNさんも許してくれますよ、」
「なるほど……やってみるよ」
2人とも、仲直り出来るといいな、Tellさんの家族の事情はかなり複雑だけど、きっとTellさんなら解決出来るはずだ。そう信じよう。
理由は簡単だ。セキュリティ長に「休め」と言われたら、休まざるを得ないからだ、
「まったく、君の『勝手病』は相変わらずだな、メリア……」
スタッフ長室には、スタッフ用通路から入ることが出来る。休憩しているスタッフの目を盗んで部屋に入り、アラームを鳴らし、Tellさんとの戦いを中止させた。
その後、懲罰室のスタジアムから出てきたXekioと遭遇、今に至る。
「君がアラームを鳴らしたんだね?」
「そうです。」
「いいかい、メリア、本来ならば私の戦闘は彼らがリタイヤするまで続くはずだった。しかし、君が戦闘を中止させたんだ。そのアラームを使って、」
アラームが鳴ったら、処罰終了の合図、これを超えて処罰を行った場合、過罰とみなされて他のセキュリティが止めに入る。だからXekioは戦闘を止めざるを得なかった。
「これは、ボスの命令でやったことです。Tellさんへ過剰な危害を加えることは、GENNさんを不用意に刺激することに繋がり、逃亡を促すかもしれないと、」
「逃亡……? 確かに他の仮アジトには、地下施設以上の逃亡対策はないが、それでも十分逃亡を防止出来ているはずだ。
それに、GENN医師の監視は心理的攻撃の得意なHIGAN君が担当している。
まず逃げようという気が起きないと思うのだが?」
「それがどうも、逃亡を画策している者がいるようで……」
「ほぅ、誰なんだ……?」
「誰かはまだ分かりません、東通路から10メートル程離れた場所に、こんな紙が落ちていました。恐らく、そのあたりの牢獄の者だと思われます。」
紙には「ここから脱出してみないか? 協力してくれたら君の家族にも会わせてあげる」と書かれている。
「文通しているところを見ると、2人以上いるようだな。東通路の独房の中の誰かが、別の誰かとコンタクトを取った……ということかな?」
「いえ、東通路は、HIGANさんの労働部屋とも繋がっており、労働部屋へ移動される際に落としたものである可能性も考えられます。
東通路側の人間とは限らないのではないでしょうか?」
「まぁなんにせよ、厳重に注意する必要があるな。……オーケイ、私からHIGANに助言をしておこう、セキュリティなら、私に任せておきなさい。」
「それと、Tellさんとの接触についても慎重にお願いします」
「……君がそれを言うかい?」
「私はいいんです。彼と会う正当な理由がありますから。」
「ハハ……本当に困った人だ。勝手気ままに動いて、自分の興味のあることにしか目が行かない、まるで『子猫』だ。」
「では、私は行きます。GENNさんに会ってみたいので。」
「そうか、ならこれを渡しておいてくれないか? HIGAN君に、」
渡されたのは、禍々しい装飾が施された剣だった。
「わかりました。会ったら渡しておきます。」
私はそのまま扉に手を掛け、Xekioの方に振り向いた。
「言い忘れたことがありました。私、自分を『子猫』と形容されるの、あまり好きじゃありません。二度としないでください。」
「ギィィ……バタンッ!!」
スタッフたちに追い出される形で、地下施設を後にした私たちは、再び隠れ家へと戻って来た。
「どうだ? 親御さんには会えたのか?」
「会えるよう取り持ってくれるらしい。いつになるか分からないけど。」
「良かったじゃないか!」
きっと話し合えばわかるはず、Tellさんにも、Tellさんなりの道がある。そのことをGENNさんにもわかってもらえれば、Tellさんは自殺しなくて済むはずだ。
「親父、本当に分かってくれるかな……また医者の家計の話とか、持ち出されたりしないかな、」
「それでもめげずに説得しましょう、」
「どうやって?」
「思ってるままを言うだけです。前に話してくれましたよね」
「本当のことを言うと俺は死にたいわけじゃない」
「『死ぬ以外に方法がない』からだ。」
「Tellさんが死にたいと考えたのは、GENNさんが医者になることを押し付けたからです。」
「まぁ、そうなるな、」
「対するGENNさんは、Tellさんに人の命を救って欲しいと思っています。」
「俺たちは代々医者の家計なんだ!! 人の命を救う義務があるんだよ!!」
「2人の折衷案はこうです。『人の命を救う医者以外の仕事に就く』、」
「人の命を救う、医者以外の仕事?」
「沢山あるじゃないですか、看護師とか介護職とか、医療と直接関わらなくても、警察官とか消防士とかも人を救う仕事です。」
「なるほど……」
「この世界から出たら、こんな事をしてみたい、だから自分を殺すのは辞めてくれって言えば、きっとGENNさんも許してくれますよ、」
「なるほど……やってみるよ」
2人とも、仲直り出来るといいな、Tellさんの家族の事情はかなり複雑だけど、きっとTellさんなら解決出来るはずだ。そう信じよう。
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