カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~

蛇使い座のな~が

スタジアムでの攻防

「さぁ、こちらまで来てくれたまえ」

Xekioは私たちに背を向け、ゆったりと歩き出した。

「従うしかない、行こう、」

Tellさんも、Xekioの後を追って歩いていく、私達もそれに続いた。

依然としてXekioはこちらに背を向けて堂々と歩いている。今背中をつけば不意打ちで倒せるか……?

「ダメだ!」

懐に忍ばせておいたドラゴンダガーを取り出そうとしたが、Tellさんにとめられ、小声で注意された。

「あいつの態度を見ろ! 不意打ちなんて既に想定済みだ、背中から斬りかかろうものなら倍にして返される!」

「どうかしたかな?」

「いや、何でも無い、こちらの話だ。」

Xekioはまた前に向き直り歩き出した。

「この分だとあいつのジョブは格闘家だな、しかもかなりの手練だ、」

「格闘家……?」

「剣の類を一切装備していない上に、短剣を隠している様子も無い、もっとも、短剣などあいつにとってはおもちゃみたいなものだろうがな、」

確かに、ダガーじゃ歯が立たないかもしれない、後ろから斬りかかっても傷は付けられないだろう、

「そんな事より、やつの姿を見て気付くことは無いか?」

Xekioの姿を良く観察してみる、黒い服に身を包んでいることと、屈強な肉体であるということ以外は分からなかった。

「あいつ、あの上下の黒服以外、何も装備していないんだよ、普通なら防具を服の下に身につけたり、腕に篭手を嵌めたりして防御力を上げる、格闘家に関しては、篭手を嵌めた状態で相手を殴ることで、攻撃力を上げる武器にもなるんだ、」




「で、できるの? まりちゃん……」

「できます、やってみますか?」

「ギロリ」

まりちゃんは睨みをギロりと効かせ重心を低くし、いかにも格闘家って感じの構えに一瞬で移行した




確かに、格闘家のまりちゃんに、構えを見せてもらった時も、まりちゃんは両手に篭手を嵌めていた気がする。

「格闘家にとって武器にも防具にもなる篭手は、重要な存在だ、だが、あいつはそんなもの、一切装備していない、完全に裸一貫で俺たちを相手しようとしている。」

「それだけ自分の腕に自信があるということですか……?」

「ああ、俺たちに手加減しているわけでもなさそうだ、恐らくこれがやつの本当の戦闘スタイルなんだろう……」




「ザッ……」

Xekioは足を止め、こちらに向き直った。

「さぁ、ここがステージの中心だ、あちらの壁から、そちらの壁までの範囲で戦おうか、」

「じゃあ、その範囲から出たらそいつはリタイヤってことで、」

「そうだな、そうしようか、全員リタイヤさせるまで、私の攻撃は続く、それまで戦い続けること、いいね?」

「……受けて立とう、」

私たちは臨戦態勢に入った、対するXekioは、全身に激しく力を入れ、

「はァァァァァッ!!!」

「バリバリバリバリィィッ!!!」 

身を包んでいた黒服を引きちぎって見せた……

Xekioの肉体が顕になる、その姿は1匹の凶暴な肉食モンスターのようにも見えた。

「では始めようかァ!!」

「ビュウウンッ!!」

「早いッ!!」

「幻撃・二面分身!!」

「ボゴォォッ!!!」

間一髪、NARIELさんは分身と入れ替わりXekioの拳を避けた、分身は腹部に打ち込まれた打撃に耐えきれず、砕け散るような音を響かせて消えた……

これがもし本当の人間だったら、どうなっていたんだろうか……

「恐れていても仕方ない、行くぞ!!」

Tellさんが剣を構えてXekioへと向かっていく……

「はぁぁっ!!」

「ビュンッ!!」

「ズガァンッ!!」

「何っ!? 拳で……!?」

Tellさんの一振はXekioの拳に相殺される、Xekioは拳ひとつで刃物を受け止めたのだ、右手中指から、赤い血が1滴零れる、剣は皮膚を裂いただけ、肉にすら達していない……

「ハッハッハ……どなたか絆創膏はお持ちかな? いや、私の指に合う絆創膏は誰も持ってなさそうだね……」

剣がダメなら魔法は……!!

「フレイムブラスト!!」

「ゴォォォォ!!」

炎を放出して攻撃する、しかし、Xekioはものともせず、正面から、炎の中に突っ込んできた、

「フゥンンッ!!!」

「グシャァッ!!」

危ないっ!! Xekioの拳を避ける、拳は私の頭上スレスレを通り、後ろの壁の一部を破壊した。足元には粉々になった破片が転がっている……

「ダガーじゃ歯が立たない、」

一旦距離を取り、装備をソウルクラッシャーに変更した、呪いをとかれたとはいえ、その威力はまだ衰えていない。今私が装備できるもっとも高性能の武器だ、

「そうだ、出し惜しみはいらない、お互いに持てる力の全てを使って戦い合おうじゃあないか!私も『呪いの剣』とやらを喰らってみたいしな!!」

「わかりました……ならば、お望み通りに!!」

戦いながら考えろ……どうするのが最善だ……? どう攻めたら、この化物を止められる……?

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