カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~

蛇使い座のな~が

ある男の謎

帰路を急ぎ、再び暗殺者たちの隠れ家に戻ってきた。さすがにもう眠い、早くベッドルームで一眠りしよう、

私たちはなるべく物音を立てないようにして、ベッドルームへと戻った。




翌朝、本当はもう朝だって気付いてる……しかし私は昨日の夜遅くまで起きていたのだ。もう少しくらい寝かせてくれても……

「んだと貴様コノヤロォ!!!」

「うひゃぁっ!!?」

crallessさんの怒号で目が覚めた。全く、なんだって言うんだ……

「どうしたんですか?」

ベッドルームから出て見ると、Tellさんに取り押さえられたcrallessさんが、足をバタバタさせながら暴れているのが見えた。

テーブルの上では、ナヴィエが脅えきった表情で固まっていた。

「…………何だこの状況、」




よくよく話を聞いてみると、本部への報告を終えて、私たちの元に戻ってきたナヴィエを見て、crallessさんが自分たちのことを探りに来たスパイだと勘違いしたらしい。

「私は決して、あなたたちを探りに来たわけではないです。安心してください。」

「ならいいけどよ、あたしらの商売の邪魔だけはしてくれんなよ……」

「は、はい……そこは……安心してください……」

ナヴィエの声が震えている。

「やっぱりね、ナヴィエはいつの間にかフラーって現れてフラーって消えるのがよくないと思うんだ。それでみんなに怪しまれるんだと思うよ?」

Tellさんがナヴィエに説教している。

「で、でも、私はただのナヴィなので、なるべくプレイヤーさんの妨げにならないように行動しているんですが……」

「その心がけはいいと思うけど、普通だったら怖いと思うよ?」

「わ、わかりました。次から報告に行く時は1度断りを入れてから行きますね。」

まぁ、それに気付かない私たちもいけないんだけどね、

「それで、今日は何の用?」

「えっと、実は、皆さんに伝えたいことがありまして……」

「なんですか?」

「この辺りにプレイヤーがたくさんいる居住区があるとの事で調査に来たんです。もしかしたら、市街名を登録して、町にできるかもと思って、」

「市街名を登録……?」

「町の名前を決めることです。 」

そういえば……




「アミカちゃん、あの町」

「OK、ランタロウ! あの町におりて!」

「ガウッ!」




最初この町に降り立った時、何も表示されなかった。普通町についたら、町の名前が表示されるはずなのに。

「実はこの町、昔は名前があったらしいんだけど、最初にコロニーを作った輩が町を壊したらしいんだ。村人を追いやって、そこに大量のプレイヤーが移り住んだんだよ。」

そんな過去があったのか……

「でも、治安が保たれるまでは市街化は出来ませんね、」

「じゃあもう調査は終わり?」

「いえ、これはあくまで『ついで』の調査内容で、別に本命があるんです。」

「本命の調査とは?」

「この町のどこかに、『KILHA』というプレイヤーがいるのですが……」

「き、KILHA!!?」

これはややこしいことになってきたぞ、私たちは、KILHAのことを知っている。

「KILHAさんのこと、知ってるんですか?」

「はい、昨日の夜、NARIELさんがゴネ出して、シェルター内のカジノに行ったんですけど、」

「なにそれ、俺知らないんだけど……」

Tellさんは知らなくても無理はない。めちゃくちゃぐっすり寝てたからな。

「そこで出会った男がこんな名刺を落として……」

そこで私はKILHAの名が記された名刺を見せた。

「……確かに、KILHAのものだな。そういえばあたしの部屋に……」

crallessさんは自分の部屋に1度戻り、私が見せたものと同じ名刺を持ってきた。

「これは、KILHAから殺害依頼を受けた時に貰った。別の町にいた金持ちの男で、元々この町の出身のやつだった。」

あんな強そうな人でも、暗殺者雇うんだ……

「そのKILHAがどうしたの?」

「彼とコンタクトを取れということだったんですが、上から言われて来ているだけなので、私にもどういう意図があるのかは分かりません。」

「実は私たちも、KILHAさんが関わる事に巻き込まれてるんです。」

私は昨日の夜、Xekioに話されたことをみんなに話した。

「黒ギルドまで関わっているのか……」

もしかしたら、運営は黒ギルドにKILHAが引き抜かれる前に、シェルターから逃げさせようとしてるのかもしれない。

「ねぇ、ナヴィエ、運営は、黒ギルドのことどう思ってるの?」

「そうですね、あのような組織はゲーム内に多数存在していますが、今のところはまだ、脅威となりうる存在では無いですね。」

警戒している訳では無いのか……

「Tellさんはどうします?」

ここは、Tellさんに託すしかないようだ。取引に応じるか、応じないのか、それはTellさんが決めることだろう。

「とりあえず、KILHAに会って見よう、」

「そうしましょうか、」

でもそのためにはまたシェルターに向かわなくてはならない。

「私の紹介だったらシェルター内に入れるはずだから、一緒に行こうか、」

「私はお留守番してますわ、ナヴィエちゃんと一緒に、」

NARIELさんはあっちに来たらすぐギャンブルのテーブルに行きそうだからな。

その方が懸命だろう。

「なら早めに出発した方がいいぜ? モタモタしてると暗くなっちまう。」

私たちは準備をし、昨日の夜歩いた道を再び歩き出した。




どれくらいの時間が経っただろうか、もはや日付の感覚もない、私は未だ、終わりの見えない永遠とも思われる時間を、闇の中で過ごしていた。

「よォ、そろそろ吐く気になったかい、Dr.照倉……」

私は彼の名前を奴らに話す気は無い。話せば殺される。どの道私に生き残るすべなどないなら、せめて息子だけは守らねばならない。

「朗報がある。ボスはあんたにチャンスをくださったそうだ。」

「……チャンス?」

「お前に情報を吹き込んだ協力者候補を見つけた。『KILHA』という男だ。もしTellがそいつを見つけたら、お前の身柄を解放してやるよ。」

「…………」

「どうした? ズバリ言い当てられたからだんまりなのか? それとも……まぁいいや、また来るぜ」

足音がゆっくりと遠のいていった……

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