カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~
守りたいのは
「Tell……? あんた本気で言ってんのか!?」
「ああ、この状況で全員が助かる方法はこれしかない。」
Tellさんの提案は、とても良い提案とは言えなかった。人に殺しを依頼することは、現実世界の法律では実際の殺人より重い刑を架される。Tellさんは法律のない世界で、かつて法律で禁止されたことを破るつもりなのだ……。
しかし、だからといって誰もTellさんを責めることはできなかった。ネームレスの取引に応じれば、自分が死に、応じなければ、私たちが殺される。そんな状況を打破する方法など、それしか無かったからだ。
「そう、でもお金、もってんの? 依頼料高くつくよ?」
「言い値で払おう、金ならこの富豪の娘が払ってくれる。」
Tellさんがそう言いながらアミカさんの肩を叩くと、
「えっ……マジで……?」
と、驚くアミカさんの声が微かに聞こえた。人間、本当に驚くと声すら出ないというのは本当だったようだ。
「悪ぃ、立て替えといてくれ、(小声)」
「ちゃんと後で返してくれるんだろうね?(小声)」
「大丈夫、利子つけて返すから、(小声)」
なんか悪い会話が聞こえる。
「どうだ? ネームレス、」
「うん、それでいいよ、依頼料は内容を聞いてから決めるよ、」
「じゃあ依頼させて貰うよ、この島にいる俺以外の全員を殺せと依頼した、その『依頼主』を殺してくれ、」
Tellさんの依頼を聞いて、ネームレスはしばらく考えたあと、
「なるほど、いいよ、その依頼受けてあげる……」
と言った。
「でもこれだけは覚悟しておいて、 殺しを依頼したということは、君は今から『殺人を犯す』ということと同義だよ? 君が私を凶器に使って、人を殺すんだ。」
「ああ、わかっている。」
「OK、じゃあさ、拘束解いても良いかな? 誰にも手出しはしないんだし、縛られてる必要も無いでしょ?」
「いや、それは少しだけ待ってくれ、俺たちはこの島で、ある情報を手に入れるまで待たなくちゃならないんだ。それが終わって全員でこの島を出る時に、一緒にお前も解放する。」
「めんどくさいな……早く殺しに行かせてくれればいいのに」
しょうがないよ、ネームレスを解放したら裏切られて殺される可能性もあるんだし、
「それで……その……依頼料は……?」
「そうだね、とりあえず今はなんとも言えないかな……だって、依頼を遂行しようにも、動けないし、」
「そ、それもそうか……」
1人だけ裏切りよりもお金を心配してる人がいる。
「よし、それじゃあ、ネームレスも捕らえたことだし、作戦成功ってことで、今日はもう寝ようか、」
時刻はもう3時を過ぎていたみな眠気を思い出したかのように、あくびをしたり、目をこすってみたりしていたが、私は昼寝をしてしまったので眠る気にはなれなかった。
「こいつを部屋まで運んでいこう、アミカ、もうひとつどこか寝れる部屋はないか?」
「う~ん、無いかな……リビングで寝てもらうしかないかも、」
「それでも私は構わないよ、」
えっ、こんながんじがらめの状態で寝るの? 正直可哀想なんだけど……
「さすがに寝る時は、ネームレスの拘束を弛めてもいいですか? 例えば、義手と義足の武器が出るとこだけ縛って、腕と足自体は自由に動かせるようにするとか……」
「それもそうだな、じゃあ、こことここの縄を外して……よし、これなら大丈夫だろう、」
なんか、包帯巻いてる怪我人みたいになっちゃったな……
「よし、じゃあ今日はこれで解散!」
RAYさんの声を合図にみな一斉に自分の部屋へと戻った。
「KUMIさん、戻らないの?」
「私は、ネームレスを見張ってます。お昼寝しちゃって眠れないから……」
「そっか、わかった。おやすみ、」
「おやすみなさい。」
ネームレスは立った姿勢のまま、壁にもたれかかって寝ていた。いつ不意打ちを喰らっても、すぐに起きて反撃できるから、立ったままで寝れるように訓練したらしい。
寝ている彼女にそっと近づき、仮面に手をかけた。
「外せないよ」
「うわっ!? 起きてたんですか……」
「ううん、さっきまで寝てたよ? 君が近づいてくる気配がして起きた。」
この速さで起きられちゃ、寝首もかけないな
「さっき不思議な夢を見たんだ。君とふたりで、理科室で実験をしていた。私も君も、同じ学生服を着ていたよ。」
「あっ、そうなんですね……」
いや、そんな夢の話されても、なんて返したらいいのさ……
「……あのさ、」
「なんですか?」
「あの時さ、『KUMIちゃん以外の生き死に』はどうでもいいみたいなこと、言ったじゃん?」
「はい、」
みたいなことじゃなくて思いっきりそう言い切ってたけどな、
「でもできる限りは、君の考えも尊重したいんだ。君が死んで欲しくない人も、できる範囲で守るから、」
その「できる範囲」ってのがすごい気になる。いざと言う時は捨てるみたいな言い草じゃないか、
「だから安心してね、」
 
「………………」
「『信用ならない』って顔だね、KUMIちゃん、」
「……もういい加減に教えてくださいよ…………なんであなたは私に執着するんですか?」
『私は君の味方』とか、口で言うなら誰でも言えるんだ、私が聞きたいのはその先なんだよ、
「う~ん……そうだな、どう言えばいいんだろう……」
そのままネームレスはじっと考え込み、黙ってしまった。
「そんなに言いづらい理由なんですか?」
「……そうだね、さすがにまだ言えない……まだ覚悟が出来てない……」
「理由を言うのに、覚悟が必要なんですか?」
「……うん、」
理由を言うのに『覚悟』が必要……か、
「そうだ、せめてヒントをあげるよ、何故私が『ネームレス』なのかってのがヒント、」
「ネームレスである……理由?」
殺しを始めた理由ってことなのか……名前を隠している理由ってことなのか……
どっちだ……?
「ピロリロリン!」
「メール、来てない?」
「あっ! 本当だ、チェックしないと……」
こんな夜中に誰だ? 一体……
「ああ、この状況で全員が助かる方法はこれしかない。」
Tellさんの提案は、とても良い提案とは言えなかった。人に殺しを依頼することは、現実世界の法律では実際の殺人より重い刑を架される。Tellさんは法律のない世界で、かつて法律で禁止されたことを破るつもりなのだ……。
しかし、だからといって誰もTellさんを責めることはできなかった。ネームレスの取引に応じれば、自分が死に、応じなければ、私たちが殺される。そんな状況を打破する方法など、それしか無かったからだ。
「そう、でもお金、もってんの? 依頼料高くつくよ?」
「言い値で払おう、金ならこの富豪の娘が払ってくれる。」
Tellさんがそう言いながらアミカさんの肩を叩くと、
「えっ……マジで……?」
と、驚くアミカさんの声が微かに聞こえた。人間、本当に驚くと声すら出ないというのは本当だったようだ。
「悪ぃ、立て替えといてくれ、(小声)」
「ちゃんと後で返してくれるんだろうね?(小声)」
「大丈夫、利子つけて返すから、(小声)」
なんか悪い会話が聞こえる。
「どうだ? ネームレス、」
「うん、それでいいよ、依頼料は内容を聞いてから決めるよ、」
「じゃあ依頼させて貰うよ、この島にいる俺以外の全員を殺せと依頼した、その『依頼主』を殺してくれ、」
Tellさんの依頼を聞いて、ネームレスはしばらく考えたあと、
「なるほど、いいよ、その依頼受けてあげる……」
と言った。
「でもこれだけは覚悟しておいて、 殺しを依頼したということは、君は今から『殺人を犯す』ということと同義だよ? 君が私を凶器に使って、人を殺すんだ。」
「ああ、わかっている。」
「OK、じゃあさ、拘束解いても良いかな? 誰にも手出しはしないんだし、縛られてる必要も無いでしょ?」
「いや、それは少しだけ待ってくれ、俺たちはこの島で、ある情報を手に入れるまで待たなくちゃならないんだ。それが終わって全員でこの島を出る時に、一緒にお前も解放する。」
「めんどくさいな……早く殺しに行かせてくれればいいのに」
しょうがないよ、ネームレスを解放したら裏切られて殺される可能性もあるんだし、
「それで……その……依頼料は……?」
「そうだね、とりあえず今はなんとも言えないかな……だって、依頼を遂行しようにも、動けないし、」
「そ、それもそうか……」
1人だけ裏切りよりもお金を心配してる人がいる。
「よし、それじゃあ、ネームレスも捕らえたことだし、作戦成功ってことで、今日はもう寝ようか、」
時刻はもう3時を過ぎていたみな眠気を思い出したかのように、あくびをしたり、目をこすってみたりしていたが、私は昼寝をしてしまったので眠る気にはなれなかった。
「こいつを部屋まで運んでいこう、アミカ、もうひとつどこか寝れる部屋はないか?」
「う~ん、無いかな……リビングで寝てもらうしかないかも、」
「それでも私は構わないよ、」
えっ、こんながんじがらめの状態で寝るの? 正直可哀想なんだけど……
「さすがに寝る時は、ネームレスの拘束を弛めてもいいですか? 例えば、義手と義足の武器が出るとこだけ縛って、腕と足自体は自由に動かせるようにするとか……」
「それもそうだな、じゃあ、こことここの縄を外して……よし、これなら大丈夫だろう、」
なんか、包帯巻いてる怪我人みたいになっちゃったな……
「よし、じゃあ今日はこれで解散!」
RAYさんの声を合図にみな一斉に自分の部屋へと戻った。
「KUMIさん、戻らないの?」
「私は、ネームレスを見張ってます。お昼寝しちゃって眠れないから……」
「そっか、わかった。おやすみ、」
「おやすみなさい。」
ネームレスは立った姿勢のまま、壁にもたれかかって寝ていた。いつ不意打ちを喰らっても、すぐに起きて反撃できるから、立ったままで寝れるように訓練したらしい。
寝ている彼女にそっと近づき、仮面に手をかけた。
「外せないよ」
「うわっ!? 起きてたんですか……」
「ううん、さっきまで寝てたよ? 君が近づいてくる気配がして起きた。」
この速さで起きられちゃ、寝首もかけないな
「さっき不思議な夢を見たんだ。君とふたりで、理科室で実験をしていた。私も君も、同じ学生服を着ていたよ。」
「あっ、そうなんですね……」
いや、そんな夢の話されても、なんて返したらいいのさ……
「……あのさ、」
「なんですか?」
「あの時さ、『KUMIちゃん以外の生き死に』はどうでもいいみたいなこと、言ったじゃん?」
「はい、」
みたいなことじゃなくて思いっきりそう言い切ってたけどな、
「でもできる限りは、君の考えも尊重したいんだ。君が死んで欲しくない人も、できる範囲で守るから、」
その「できる範囲」ってのがすごい気になる。いざと言う時は捨てるみたいな言い草じゃないか、
「だから安心してね、」
 
「………………」
「『信用ならない』って顔だね、KUMIちゃん、」
「……もういい加減に教えてくださいよ…………なんであなたは私に執着するんですか?」
『私は君の味方』とか、口で言うなら誰でも言えるんだ、私が聞きたいのはその先なんだよ、
「う~ん……そうだな、どう言えばいいんだろう……」
そのままネームレスはじっと考え込み、黙ってしまった。
「そんなに言いづらい理由なんですか?」
「……そうだね、さすがにまだ言えない……まだ覚悟が出来てない……」
「理由を言うのに、覚悟が必要なんですか?」
「……うん、」
理由を言うのに『覚悟』が必要……か、
「そうだ、せめてヒントをあげるよ、何故私が『ネームレス』なのかってのがヒント、」
「ネームレスである……理由?」
殺しを始めた理由ってことなのか……名前を隠している理由ってことなのか……
どっちだ……?
「ピロリロリン!」
「メール、来てない?」
「あっ! 本当だ、チェックしないと……」
こんな夜中に誰だ? 一体……
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