カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~

蛇使い座のな~が

帰還者と失踪者

『モンスターを倒した!!』

『ドロップアイテム:氷結の石
                                     情熱の石
                                     フレイムバレット』

「よっしゃ!!」

ドラゴンたちの活躍により、ボスを無事に倒すことが出来た。

フレイムバレットというアイテムを落としているようだ。当たった相手に火属性ダメージが追加で与えられる弾丸、10発程入っているらしい、

そういえばKUMIが銃系統の武器を持っていたな、『海賊の銃』だっけか……帰ったら渡さなきゃな、

「エンジ君!! アイちゃん!!」

「Tell!!」

遠くから、アミカさん達が走ってきた。

「Tell!! 無事だったんですの?」

「みんな、大丈夫だった?」

「おう、完璧に倒せた、こいつらたちのおかげだ、」

「ギャウッ!!」

「ガウッ!!」

まったく、お前たちがいなかったらどうなってたことか……

「ところで、どうやってここまで?」

「ボス部屋の天井が崩れたあと、一旦外に避難して……」

「ボスが倒されたら、ワープホールが出てきたから、それをくぐって戻ってきたんですの、」

全員無事生還だな、HIGANがここを落とし穴に選んでなかったら、こうはならなかったかもしれないし、

こいつらが頑張ってくれなかったら、成し遂げられなかったことだろう。

「でさ……その、アイさん…………」

「ギャォ……?」

「背中に乗せては……いただけないですかね……?」

「………」

あっ、アイの目付きが変わった……

「いや、アイ様!! この私めをお背中に乗せてくださいませ!! なんでも致しますんでっ!!」

ん? 今なんでもするって言った? アミカさん……

「ギャオオ!!」

「うわっ!? やっぱり、ダメですか……」

しょんぼりしているアミカさんをはっきりと無視して、アイは何故か、俺のそばに近寄ってきた……

「ん? ど、どうした……?」

アイは俺の目の前でくるりと向きを変え、アミカさんに向かって

「ギャウッ!!」

とひとつ吠えた。

「えっ!! 本当に!! やったねTell!!」

「え~と……アイはなんて?」

「『この人だったら乗せてもいい』だって!!」

「えっ!!?」

アイはこちらに顔を向け、しばらくこっちを見た後に、何故か目を逸らし、地面を見つめ始めた。もしかして…………照れてる?

「まさかお前、俺のこと好き……?」

「が、がうぅっ!? ギャウッ!!ギャウッ!!ギャオオ!! 」

めっちゃ分かりやすくうろたえている……

「すごい……あのクールなアイちゃんがデレた……」

まさかモンスターの異性から好かれるとは思わなかったな……




俺はアイに、他のふたりはエンジに乗って村まで戻る。だいぶ時間がかかってしまったみたいだ、夜空を飛んでいるはずが、いつの間にか朝日が登ってきていた。

「すごい……日の出が綺麗だ……」

「……ギャォ!」

アイも『綺麗だね』と言ってくれているみたいだ。




「アイちゃん! エンジ君! そこの村の入口のところで降ろして!」

アミカさんの指示に従い、2匹はゆっくりと降下していき、やがて地面へと降り立った。

「はぁ、やっと着いた……アイ、ありがとな!」

俺はアイの頭へと手を伸ばし、軽く撫でてやった。

「……ギャ、ギャウガウッ!!…………」

「あはは……ごめんよ、」

撫でられるのを嫌がっていると言うより、照れ隠しで吠えているような?  素直じゃ無いな……

「お疲れ様! アイちゃん、Tellを運んでくれて本当にありがとう!! マジで助かった!!」

「……ガウッ!」

アイはプライドが高いのか、褒められ慣れてないのか、褒められている間、アイはアミカさんの方を見ようとしなかった。

「エンジ君も本当にありがとう!! 寒いのによく頑張ってくれたね!」

「ガウッ!! ギャオッ!!」

アミカさんはサモンを解き、2匹はまた自分たちの住処へと転送されていった。

「さて、KUMIちゃんに会いに行きますか、」

資料館の扉を開こうとしたその時だった。

「バンッ!!」

「うわぁっ!? 」

勢いよく扉が開き、長老が出てきた、

「おお!! おまいさんたち生きてたのかい!! それよりも大変なんだ!! ここに来る途中にKUMIを見なかったかい!?」

「えっ!? いないのか!?」

「それが朝見たら居なくなってたんだよ!!」

「な、なんですって!?」

「KUMIちゃんが居なくなった!?」

ど、どういうことだ……?

「今片目の女と医者の男が血眼で村を探し回ってるよ!! 手伝っておやり!!」

長老、片目の『女』じゃなくて『男』なんだよ、残念ながら……

「仕方ないですわね、探しに行きますわよ!!」

一体どうして……誰に連れ去られた……? どこに行ったんだ……?




「…………ミさん…………KUMIさん……起きて…………」

「う、う~ん……あれ、ここは……?」

目が覚めると、私は見知らぬ牢屋の中にいた……なんで私はここに閉じ込められているのだろう?

「なにこれ……夢?」

「夢なんかじゃないよ、君はここに連れて来られたんだ。」

「あ、あなたは誰?」

「私のことなんてどうでもいいじゃん、今はKUMIさんを助けるのが先、」

名前を名乗らなかったこの謎の人物は、長くしなやかな黒髪をフードの奥に隠して、紋章のような装飾が施された、白い仮面を被っていた。

髪の長さと声から察するに、女性の人だろう、剣や刃物の類は装備していないようだ。敵意も感じられない。

「ごめんね、実はKUMIさんに毒ガスを吸わせて、ここに連れてきたのは私なの、」

「えっ……えぇぇっ!?」

「し~……大きな声出しちゃダメ……」

そりゃ大きな声だって出るよ……あまりにも早く犯人が自供したんだもの、

「それでね、ここ、冥行会のアジトなの、」

「……今、なんて……?」

「冥行会のアジト、だから早くここを出ないと殺されちゃう、」

「ま……まじか…………」

驚きすぎて、もはや現実が受け止めきれていない。

「だからKUMIさんのことを脱出させてあげる、こっちに逃げ道があるから着いてきて?」

いや、名前も知らないあなたをどう信用しろと……?

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