カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~

蛇使い座のな~が

救出の方法

「ただいま……っと、メリパイセンはいねぇのか?」

「私ならここにいますよ?」

「あんたにバッドニュースを持ってきた、Tellは死んだ、死因は落下死だ」

「へぇ、そうですか」

「Tellを殺せなくて残念だったな、これで分かっただろう? 求めすぎるとそれは自ら遠ざかって行くんだよ、命令を無視して自分の獲物に執着しすぎたあんたの負けだ」

「……それ、あなたにも言えることでは?」

「……なんだと?」

「私に嫌がらせをするためにTellさんを先に殺す、その目的に執着しすぎたあまり、KUMIさんの方を疎かにし、逃げられた……そうでは無いですか?」

「実質任務は果たしてんだよ、 なんせあいつら、一緒に死ぬつもりなんだからよォ、一方が死にゃ勝手に死ぬだろう? クククク…………」

「私もあなたにバッドニュースがあります。Tellさんはまだ死んでいません、」

「……はぁ? なぜそうなる? 普通に考えて生きていられるわけねぇだろうが、クレバスだぜ? 第一、俺の作戦は完璧だった。KUMIをぶっ潰し、逆上した奴らをまとめて落とし穴に落っことす、現に成功してただろう?」

「私、あの人とフレンド登録してるんです。フレンドが解消されてないってことは、死んでないってことですよね?」

「へぇ、じゃあ、落下死は免れたんだな、でも、このまま這い上がれなければ、死んじまうだろうよ、」

「……Tellさんの他に、何人落ちたんですか?」

「2人だな、クレバスを埋める雪の量を調節し、『2人以上が上に乗る』と落ちるようにしたんだ。だからあいつらは最初、落とし穴の存在に気が付かなかった。」

「なるほど、じゃあ、十分ですね、」

「……何がだ?」

「這い上がるには十分な人数だということです。彼はすごく強い、ほんの少し手伝ってくれる仲間がいるだけで、すぐに目の前の問題を解決してしまう。そんな存在なんです……」

「でも、その仲間に見捨てられたのはどこの誰だっけ……?」

「…………そろそろ出かけないと、」

「逃げんなよ、 見捨てられたのは誰かって聞いてんだよ……」

「私、おしゃべりに構ってられるほど暇じゃないので、落とし穴作戦に失敗した、誰かさんの尻拭いをしなきゃいけないんです。」

「待て! またボスの命令に背く気か!? ……ったく、行っちまいやがった……」




溶岩を超えて、ダンジョンの先に進むと、そこでは、溶岩から生まれた凶悪なモンスターが、俺たちを待ち受けていた

「ドロッ…………ジュッ!!」

溶けた溶岩流が手や胴体を形作り、その体を少しずつ溶かしながら、ゆっくりと這い寄ってくる。

「わ~!! こいつスライムみたいで可愛い! 捕まえたいけど抱っこしたら全身火傷じゃすまなさそう、」

「いや、まずどうやってケースに入れるんだよ、溶岩だぞ?」

「目の前に、溶岩のモンスターがいますの?」

「ああ、『マグマソウル』がいる、溶岩に魂が入り込んで生まれたモンスターだ、」

動きがゆっくりだと言って油断してはい けない、1つの溶岩溜りから無尽蔵に出現し、足場を奪う、

しかもこいつの1番厄介な点は、耐久力の低い剣で攻撃すると、剣が溶けるということだ、

「逃げよう、幸い、こいつらは動きが遅い、無闇に戦う必要は無いだろう」

「そうだね、それが得策かも、」

「NARIELさん、こっちへ、」

「はい、」

NARIELさんの手を引いて、安全な場所に移動する。もう既に大量のマグマソウルが生まれているようだ。

「これ、かなりまずいね……」

「仕方ない、露払いをしてくる!」

俺は装備している武器を『ブラックウィンド』に換えた。RUSHさんから買い取ったものだ。ブラックウィンドは攻撃力も扱いやすさも兼ね備えているバランス型の武器だ、これならマグマソウルの5、6匹程度、倒しても大丈夫だろう、

「やァっ!!」

「ズギャアン! バシュゥゥ!!」

「これで進めるようになった、行こう、」




さらに先に進むと、また大量のマグマソウルが出迎えた、

「さすがにこの先に進む勇気は無いな、」

「こっち、行けそうじゃない?」

アミカさんが指さした先は、細い道だった

「よし、行こう、NARIELさんこっち、足元気をつけて、」

「ええ、わかりましたわ、」

俺たちは、少しずつ下に降りていった。

「キキキ……!!」

「またモンスターか、コウモリだな?」

「キキ!!……ボゥッ!!」

「サンダーストーム!!」

「バチバチバチィ!!」

「ギエァ!! 」

フレイ厶バット、口から炎を吐くコウモリのモンスター、サンダーストームを使えば倒せそうだな、

「随分と敵の量が多くなってきましたわね、」

「一筋縄では行かないってことだ、シークレットダンジョンだからな、」

俺たちは少しずつ足場の悪い洞窟を進んだ、どうやら下に向かっているらしい、どんどん気温が高くなってきた。

「暑っつい……どうなってんの……? これ、」

「耐えるしかないな……」

NARIELさんが耳をすまして何かを聞いている。

「何か、風の音が聞こえますわ、」

「風の音?」

「ええ、この下から聞こえて来るみたいですわ……」

一番下まで着くと、少し不思議な光景が見えた。

「こ、これは!?」

それは、氷だった、溶岩の真上で、巨大な氷の塊が、空中で浮いたり沈んだりしている。

「何が……起こってるんだ……?」

「さすがシークレットダンジョン、訳の分からない仕掛けだね、」

「な、何に驚いていますの? 状況を教えてくださいまし!」

「氷が浮いたり沈んだりしている。溶岩の真上で、」

「えっ、冗談ですわよね?」

それは俺が言いたい……

「多分これ、ボスの能力だよね、氷とマグマを共存させるっていう、」

「そう考えるのが妥当だろうな、」

このダンジョンのボス、どんなやつなんだ?

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