カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~

蛇使い座のな~が

勝負の行方

「とにかく、見つかって良かったですわ、急に訪ねて来てびっくりしましたわよ、」

「本っ当にお騒がせしました!! 2人ともごめん、NARIELちゃんもごめんね、」

「私には……?」

「ナヴィエさんに関してはマジですみませんでした!!」

さて、ナヴィエも見つかったし、死銘の儀も終わった。これからはゆっくりしてこの村に住める……とはならないな、早くここを出たい

「どうだ? 不正プレイヤーは見つかったか?」

「少々難航していますね、もう少しかかりそうです。」

「なら早くここを出よう。この村にいたらいくつ命があっても足りない、」

この村には、野蛮な死神がいるからな、

「はい、私もこの村がここまで危険とは思わなくて、でも、あと1年は殺されない訳ですから、1年だけここにいましょうよ、」

「殺されない訳ではありませんわ、彼らは儀式と言って、ただの人殺しを何年も続けていくような輩ですわ、いつ心変わりして、殺しにくるか分かりませんわよ、」




「もし、冥行会にお前らのことを自主的に殺す動悸があるなら、この限りではないが、」




ルシルさんが言ってたやつだな、確かにこの村にいたら、いつ恨みを買うか分からない。

「皆さんがそこまで言うなら、隠れる場所を変えましょう。どこか、他のプレイヤーのいない場所がいいのですけど……」

「だったら、あたしの島に来なよ?」

「へ? 『あたしの島』?」

「あれ? KUMIさん知らなかったっけ、アミカはモンスター飼育のために、島を買ったんだよ」

「えぇ~!!?」

大富豪じゃないか!!

「まぁ、モンスターって売れるんだよね、たまにペットが子供産んじゃうと飼いきれなくなっちゃってさ、そういう子を他のモンスターマニアとか、旅の相棒が欲しい他の冒険者さん達に売るのよ、」

「それで……島を?」

「うん、ドラゴンの住処は大きければ大きいほどいいからね、」

なんてスケールの大きな話なんだ…………

「じゃあ、明日出発しよう、ドラゴンに乗ればすぐにでも着くだろう、」

「いや、その、実は、ドラゴン連れてきてないんだよね……」

「えっ!? 連れてきてないんですか!?」

「そうか、ドラゴンは変温動物だから、こんなとこに来させたら死んでしまうな……」 

「一応アイスドラゴンはいるんだけど、何故か背中に人を乗せたがらなくて……」

一応、いることにはいるんだ、寒さに耐えられるドラゴン、

「ではどうするんですの? 」

「地道に山を降りればいいんじゃない?」

やっぱりか、またクマにあったらどうしようか。

「なら、私も途中まで一緒に行きますわ、ちょうど、この村を出たいと思っていたところでしたの。」

「大丈夫なんですか? その目で山をおりるなんて、」

「この目で登れたんですから降りるのもできますわ?」

た、確かに……

「でも、心配ですわね、戦闘のセンスが鈍ってなきゃいいのですけれど」

戦闘できるのか? こんなか弱いお嬢様が……

「じゃあ練習相手になってあげるよ、」

「いいですわよ、売られた喧嘩は買うのが花ですわ」

「いや売ったつもりはないんだけど……」

Tellさんとの喧嘩か……身、持つかな……

「じゃあ万全な体制で戦うためにも、今日はもう寝た方がいいな。」

「そうですわね、おやすみなさいませ、」

そう言ってNARIELさんはそそくさと自分の部屋に戻っていった。

「どうするんですか? 明日出発ですけど……」

「ちょっと手合わせして、そのまま出発すればいいさ、」

「そんな軽い気持ちで戦っていいんでしょうか?」

「う~ん、実力的には俺とNARIELさんは同じくらいだし、そこまで大怪我はしないんじゃない?」

「Tellさんが、そう言うならいいですけど、」

「じゃあ、俺は明日のために武器の手入れをしないといけないから、邪魔しないでね?」

そう言ってTellさんは自分の部屋に引っ込んでしまった。

さて、こうなると問題がひとつ発生してしまう。

「あたしの部屋は……?」

「……私たちだけ2人部屋にしましょう、」




決戦当日の朝、誰もいない静まり返った村で戦闘が始まろうとしていた。

「NARIEL様、ちゃんと見えますか?」

「ええ、バッチリですわ、」

NARIELさんは目が見えないので、ポンちゃんが幻覚で、NARIELさんでも周りが見えるようにサポートする。でもそれ以上の手出しや、攻撃はしないというのが、今回のルールだ。

「君の武器はその杖か?」

「仕込み杖ですわ、一見するとただの白い杖のようですけれど、抜けば刀になっておりますの、」

NARIELさんは仕込み杖を引き抜き、刃をギラりと光らせた。バトルが始まる前からお互いを牽制しあっているようだ。

「この勝負、楽しみだね、」

なんだか、楽しそうなアミカさんである。

「Tellが強いのは知ってるけど、NARIELちゃんって、幻影魔法の使い手なのよね? だからどっちが勝つのか予測できないんだよな、」

私は、今まで人を隠してるところしか幻影魔法を見てないからな、幻影魔法がどれだけ凄いのかいまいちよくわかってないんだよね……どれぐらい強いんだろう?

「スタートの合図をお願いしますわ! 」

「じゃあ、私から合図をさせていただきますね、レディ~……」

ナヴィエがゆっくりと手を上げる。2人は武器を構え、NARIELさんは真剣な顔つきになった。一方Tellさんはなにやら笑みを浮かべている。

「GO!!」

「『幻撃・白無垢げんげき しろむく』!!」

「ピカッ!!」

手を振り下ろした瞬間、NARIELさんは幻影魔法を発動し、私たちの目の前は真っ白い光に包まれた……

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