カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~
神への道のり
「この村にはかつて、厄災が降りかかりましたわ、全て人間たちの傲りとエゴが原因でしたの。」
「反魂術の研究のことですよね、何人もの命が犠牲になったという……」
「そう、その事件により、死は逃れられないものと知った人達は、『死』そのものを、神として崇めましたわ。そうすることでしか、死んだ人達への罪悪感を、癒すことが出来なかったのでしょうね……」
人間たちの歴史は、生と死の繰り返しにより生まれ来るもの、死を重ねれば重ねるほど、次生まれ変わった時により良い人生を歩める。死んで、冥府へと向かった先に、冥府を司る神がいる。その神は冥府へと送られた私たちの魂に、施しを与え、更には新たな生さえ与えてくださる。
「そんな冥府の神を崇める宗教こそが、この村で信じられている宗教ですの。この教えは、『リンカー教』と呼ばれていますわ。」
リンカー教、リィンカーネーションから取ったのだろうか?
「じゃあ、その冥府の神というのが『リンカー』と言うのかい?」
「さぁ? わたくしは信者じゃないので分かりませんわ、」
信者じゃ、無かったんかい……
「そして、そのリンカー教は、冥府で、新たな生を受け取るまでが人生であると考える『リンカレント』と、冥府こそが、本当の人生の出発点であると考える『冥行会』とに別れるのですわ、」
どっちも死ぬのは大前提なのね……
「その冥行会が、近寄ったら行けないくらい危ないのか?」
「ええ、とても過激な思想を持っておりますわ、『その人の人生を始めさせてあげる』ために、人を殺して冥府に送るとか……」
なんてお節介な……
「彼ら、最近分化したんですの。だから、まだ信者も少ないのですけれど、それゆえに、どこで暗躍なさっているのか検討もつかなくてよ、ここの人達の恐怖をあおりにあおっているのですわ、」
「だからみんな外に出たがらないのか……」
「みんな自分の家に閉じこもっていますわ、いくら死を信仰しているとは言っても、死ぬ前にやり残したことなんて数え切れないほどありますもの……」
やっぱりそうなのか……死を崇める人達でも、心の底では、死ぬのを怖がってるんだ……
死ぬのが…………怖い……?
「私、Tellさんと一緒に死にます! Tellさんと一緒に世界を旅することが、私のやりたいことです!」
違和感の正体……これだ! ……本当はTellさんと一緒に死ぬために、Tellさんの旅に着いてきていたのに、この雪山で死んでしまいそうなほどの寒さに見舞われて、死を意識しちゃったから、怖くなったんだ、
「すっかり話し込んでしまいましたわね、そろそろ私も、部屋に戻らせていただきますわ、」
「色々話してくれて、ありがとうね、」
「他にも、この村のことは資料館に置いてある本で調べられるから、自由に読んでくださいましよ?」
「わかった、確認してみるよ。」
死への恐怖、Tellさんは感じていないのだろうか?
「KUMIさん、資料室の方に行こうか、」
「資料室ですか?」
「ちょっと、気になることがあるんだ。」
「そうですね、行きましょうか、」
私たちは部屋を出て、資料の置いてある部屋に向かった
Tellさんと、資料館に入ると、カウンターに長老が座っていた、
「本を借りるのかい……?」
「いえ、少しだけ、読ませて貰うだけです。」
Tellさんはお年寄りにも聞きやすいようにちょっとずつ間を開けて話した。
「じゃあ……これを渡さんと……」
長老は、あのとき、NARIELさんに渡されていた紙を、私たちに渡した。
「これは……館内の見取り図……?」
「本棚のところをよくご覧……どの辺りにどんな本があるか……大ざっぱに書いておる……」
「わかりました。これを頼りに、本を探しますね、」
「じゃあ……ゆっくりお読み……」
長老はどこかに行ってしまった。
「ちょっと見てみようか、え~と……歴史の本は……」
本を探している途中で、ナヴィエと出会った。
「あれ? Tellさんもここに?」
「ああ、何読んでたの?」
「『全国スライム図鑑』です!私にとっては希少な食べ物ですから、美味しそうだな~って思いながら見てました!」
なんか、図鑑の読み方間違ってるような……
「今から、俺たちこの村の宗教について調べようとしてたんだけど、手伝ってくれない?」
「いいですよ!」
Tellさんは、歴史書が並んでいる本棚のところに行った。
「何を、探しているんですか?」
「冥行会のことについてだ、ルシルに調べてもらおうと思って、」
右端から順番に探していくと、1冊の古い本を見つけた。
「これだ、冥行会についての本、」
本の内容は、だいたいNARIELさんに聞かされていた通りの内容だった。
「やはり、具体的な構成員は書いてないか、」
「なんで、冥行会の構成員を調べようとしていたんですか?」
「冥行会の中に、俺の情報を盗んだ犯人がいるんじゃないかって、」
えっ? 冥行会とTellさんになにか関係が?
「ほら、俺って自殺志願者だろ? 相手から取ってみれば、かなり有力な信者候補じゃないか?」
なるほど、そういう見方もあるのか……
「とりあえず、冥行会のこと、ルシルに調べてもらおう」
情報……載ってるとは思えないけどな……現地の人も知らないんだし……
「反魂術の研究のことですよね、何人もの命が犠牲になったという……」
「そう、その事件により、死は逃れられないものと知った人達は、『死』そのものを、神として崇めましたわ。そうすることでしか、死んだ人達への罪悪感を、癒すことが出来なかったのでしょうね……」
人間たちの歴史は、生と死の繰り返しにより生まれ来るもの、死を重ねれば重ねるほど、次生まれ変わった時により良い人生を歩める。死んで、冥府へと向かった先に、冥府を司る神がいる。その神は冥府へと送られた私たちの魂に、施しを与え、更には新たな生さえ与えてくださる。
「そんな冥府の神を崇める宗教こそが、この村で信じられている宗教ですの。この教えは、『リンカー教』と呼ばれていますわ。」
リンカー教、リィンカーネーションから取ったのだろうか?
「じゃあ、その冥府の神というのが『リンカー』と言うのかい?」
「さぁ? わたくしは信者じゃないので分かりませんわ、」
信者じゃ、無かったんかい……
「そして、そのリンカー教は、冥府で、新たな生を受け取るまでが人生であると考える『リンカレント』と、冥府こそが、本当の人生の出発点であると考える『冥行会』とに別れるのですわ、」
どっちも死ぬのは大前提なのね……
「その冥行会が、近寄ったら行けないくらい危ないのか?」
「ええ、とても過激な思想を持っておりますわ、『その人の人生を始めさせてあげる』ために、人を殺して冥府に送るとか……」
なんてお節介な……
「彼ら、最近分化したんですの。だから、まだ信者も少ないのですけれど、それゆえに、どこで暗躍なさっているのか検討もつかなくてよ、ここの人達の恐怖をあおりにあおっているのですわ、」
「だからみんな外に出たがらないのか……」
「みんな自分の家に閉じこもっていますわ、いくら死を信仰しているとは言っても、死ぬ前にやり残したことなんて数え切れないほどありますもの……」
やっぱりそうなのか……死を崇める人達でも、心の底では、死ぬのを怖がってるんだ……
死ぬのが…………怖い……?
「私、Tellさんと一緒に死にます! Tellさんと一緒に世界を旅することが、私のやりたいことです!」
違和感の正体……これだ! ……本当はTellさんと一緒に死ぬために、Tellさんの旅に着いてきていたのに、この雪山で死んでしまいそうなほどの寒さに見舞われて、死を意識しちゃったから、怖くなったんだ、
「すっかり話し込んでしまいましたわね、そろそろ私も、部屋に戻らせていただきますわ、」
「色々話してくれて、ありがとうね、」
「他にも、この村のことは資料館に置いてある本で調べられるから、自由に読んでくださいましよ?」
「わかった、確認してみるよ。」
死への恐怖、Tellさんは感じていないのだろうか?
「KUMIさん、資料室の方に行こうか、」
「資料室ですか?」
「ちょっと、気になることがあるんだ。」
「そうですね、行きましょうか、」
私たちは部屋を出て、資料の置いてある部屋に向かった
Tellさんと、資料館に入ると、カウンターに長老が座っていた、
「本を借りるのかい……?」
「いえ、少しだけ、読ませて貰うだけです。」
Tellさんはお年寄りにも聞きやすいようにちょっとずつ間を開けて話した。
「じゃあ……これを渡さんと……」
長老は、あのとき、NARIELさんに渡されていた紙を、私たちに渡した。
「これは……館内の見取り図……?」
「本棚のところをよくご覧……どの辺りにどんな本があるか……大ざっぱに書いておる……」
「わかりました。これを頼りに、本を探しますね、」
「じゃあ……ゆっくりお読み……」
長老はどこかに行ってしまった。
「ちょっと見てみようか、え~と……歴史の本は……」
本を探している途中で、ナヴィエと出会った。
「あれ? Tellさんもここに?」
「ああ、何読んでたの?」
「『全国スライム図鑑』です!私にとっては希少な食べ物ですから、美味しそうだな~って思いながら見てました!」
なんか、図鑑の読み方間違ってるような……
「今から、俺たちこの村の宗教について調べようとしてたんだけど、手伝ってくれない?」
「いいですよ!」
Tellさんは、歴史書が並んでいる本棚のところに行った。
「何を、探しているんですか?」
「冥行会のことについてだ、ルシルに調べてもらおうと思って、」
右端から順番に探していくと、1冊の古い本を見つけた。
「これだ、冥行会についての本、」
本の内容は、だいたいNARIELさんに聞かされていた通りの内容だった。
「やはり、具体的な構成員は書いてないか、」
「なんで、冥行会の構成員を調べようとしていたんですか?」
「冥行会の中に、俺の情報を盗んだ犯人がいるんじゃないかって、」
えっ? 冥行会とTellさんになにか関係が?
「ほら、俺って自殺志願者だろ? 相手から取ってみれば、かなり有力な信者候補じゃないか?」
なるほど、そういう見方もあるのか……
「とりあえず、冥行会のこと、ルシルに調べてもらおう」
情報……載ってるとは思えないけどな……現地の人も知らないんだし……
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
140
-
-
1
-
-
314
-
-
2
-
-
93
-
-
124
-
-
3395
-
-
969
-
-
107
コメント