カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~
蜜告の内容
「ぷはぁ~……やっと息が吸える……」
RUSHさんがビンの蓋を開けて、ナヴィエを解放してくれた。でも、さすがに空いたジャムの密閉瓶で妖精を閉じ込めるのはやりすぎだと思う。
「いいか、絶対、うちのライムには近づくなよ、」
「わわ、分かりましたってば!!」
RUSHさんに釘を刺され、ナヴィエは分かりやすくうろたえた。
「ところで、俺に用ってのは、なんだったんだ?」
「ああ、そうですね、そろそろ本題に移らせていただきます。」
ナヴィエはナビ妖精らしく改まった口調で話し始めた。
「今回お邪魔させていただいたのは、Tellさんの考案されたバグ技についてです」
ナヴィエもライムもNPC、運営側の存在だ。やっぱり運営からのお咎め、ということなんだろうか。
「本日はバグの発見に協力していただきありがとうございました。」
「そんな、むしろごめんね、」
「いえ、謝るなんてとんでもございません。私共はTellさんに感謝しております。」
「感謝……?」
「はい、確かにクイックイクイップは装備適正レベルを無視して武器を扱える仕様でした。しかし、今回のケースのように装備適正レベルが高すぎるものに関しては制限を設けさせて頂いていたのです」
「どんな制限を?」
「はい、『武器として登録されていないものはクイックイクイップの効果を使えないようにする』、『プレイヤーの筋力で持ち上げられないものへの交換を制限する。』などです」
「なるほど、」
「今回のケースでは、裂星剣パーセクは大きさを除けば、切れ味、攻撃力等、全ての基準値を満たしており、武器として十分な性能であったことと、ヴァオレスによってTellさん自身の筋力が増大し、裂星剣パーセクを使用出来ると判断されたため、クイックイクイップの発動条件を満たしてしまったのです。」
なんか難しい話になってきたな、条件がどうとか仕様がどうとか、わけが分からないぞ?
「で、どういう風に仕様変更されたの?」
「はい、他にも、装備適正レベルの件で他のプレイヤーの方からもいくつか要望がありまして、結果、『クイックイクイップは装備適正レベルを満たさない武器とは交換できない』こととなりました。」
やっぱりそうなるか、せっかくパーセクが日の目を浴びるチャンスだったのに……
「じゃあ今日来たのは、その報告に?」
「ええ、それともうひとつ、」
ナヴィエは目を逸らし、俯いた
「実は、Tellさんに忠告がございます。」
「……忠告?」
「もう二度と、裂星剣パーセクを使わないでください」
そうか、やはり、裂星剣パーセクは使われるべきではなかった……
「それは……どうしてかな……?」
ナヴィエは再び顔を上げ、Tellさんの顔をしっかり見据えて、ゆっくりと言った。
「あなたに関する情報を、不正に入手したプレイヤーがいます。」
「えっ……!?」
どういう事だ……? Tellさんの情報を盗み出したやつがいるのか……?
「これ以上、目立つような行為を行った場合、情報を盗んだプレイヤーは、更にあなたのことを調べ始めるでしょう、ですから、犯人が特定出来るまで、あまり目立つような行動をしないでください」
「……なるほど、わかった。」
これはかなり大事になってきたな……
「ひとつ、質問いいか?」
ルシルさんが口を開いた。鋭い口調でナヴィエを追い詰めるように言った。
「お前らが流した訳ではないんだな?」
バグ行為が確認され、Tellさんを危険視したために、Tellさんが他のプレイヤーに狙われるようにした。確かに、ありえない話ではない。
「そもそも、なぜこんなにも早くバグの情報がそっちに知れ渡ったんだ? 元からTellを監視していたのか?」
「それは…………」
ナヴィエが返答を考えていると、
「ガチャ」
扉がゆっくりと開き、申し訳なさそうにライムさんが出てきた。
「その……すいません……実は……」
ライムさんの話によると、Tellさんのバグ技を報告したのはライムさんらしい。NPCはバグを発見したら、すぐさま本部へと連絡するよう、仕組まれているのだそうだ。
「確かに、ライムもNPCだもんな、報告ぐらいするよな、」
「なるほど、道理で納得がいったよ、バグ技を至近距離で見てたんじゃ、報告しない訳にも行かないしな。」
「すみません、でもどうか分かってください、これもNPCの務めなんです……」
そうだよな、NPCも、さすがに運営には逆らえないだろうし、
「報告したあとで、ルシルさんがあんなこと言うから、なかなか言い出せなくて……」
「よってこの件は、他のプレイヤーには完全に黙秘するということを約束してもらいたい」
確かに、あの時のルシルさん、完全に他人を威圧する時の目をしていたからな
「……なんで私が悪者みたいになってるんだ?」
ルシルさん、謝る気はないようだな……
「とりあえず、目立つような事しないように、これから気をつけるよ、」
「はい、くれぐれもご注意くださいね。」
「分かったよ、」
それにしても、ナヴィエに久しぶりに会えて良かったな
「あっそうだ、私、お夕飯の準備が出来たから呼ぼうと思ってここに来たんです」
「おっ、出来たのか?」
Tellさんが身を乗り出した。お腹すいてたのかな?
「さっきから美味しそうな匂いがしてくるなと思ってたんだ。」
「本当だ!美味しそうですね!」
「ライムを見ながら言うんじゃない!!」
「バシッ!!」
「ぴぎゃ!?」
RUSHさんがナヴィエを叩き、ナヴィエは机の上に叩き落とされた。
RUSHさん、ツッコミはもっと優しくするもんだよ……?
RUSHさんがビンの蓋を開けて、ナヴィエを解放してくれた。でも、さすがに空いたジャムの密閉瓶で妖精を閉じ込めるのはやりすぎだと思う。
「いいか、絶対、うちのライムには近づくなよ、」
「わわ、分かりましたってば!!」
RUSHさんに釘を刺され、ナヴィエは分かりやすくうろたえた。
「ところで、俺に用ってのは、なんだったんだ?」
「ああ、そうですね、そろそろ本題に移らせていただきます。」
ナヴィエはナビ妖精らしく改まった口調で話し始めた。
「今回お邪魔させていただいたのは、Tellさんの考案されたバグ技についてです」
ナヴィエもライムもNPC、運営側の存在だ。やっぱり運営からのお咎め、ということなんだろうか。
「本日はバグの発見に協力していただきありがとうございました。」
「そんな、むしろごめんね、」
「いえ、謝るなんてとんでもございません。私共はTellさんに感謝しております。」
「感謝……?」
「はい、確かにクイックイクイップは装備適正レベルを無視して武器を扱える仕様でした。しかし、今回のケースのように装備適正レベルが高すぎるものに関しては制限を設けさせて頂いていたのです」
「どんな制限を?」
「はい、『武器として登録されていないものはクイックイクイップの効果を使えないようにする』、『プレイヤーの筋力で持ち上げられないものへの交換を制限する。』などです」
「なるほど、」
「今回のケースでは、裂星剣パーセクは大きさを除けば、切れ味、攻撃力等、全ての基準値を満たしており、武器として十分な性能であったことと、ヴァオレスによってTellさん自身の筋力が増大し、裂星剣パーセクを使用出来ると判断されたため、クイックイクイップの発動条件を満たしてしまったのです。」
なんか難しい話になってきたな、条件がどうとか仕様がどうとか、わけが分からないぞ?
「で、どういう風に仕様変更されたの?」
「はい、他にも、装備適正レベルの件で他のプレイヤーの方からもいくつか要望がありまして、結果、『クイックイクイップは装備適正レベルを満たさない武器とは交換できない』こととなりました。」
やっぱりそうなるか、せっかくパーセクが日の目を浴びるチャンスだったのに……
「じゃあ今日来たのは、その報告に?」
「ええ、それともうひとつ、」
ナヴィエは目を逸らし、俯いた
「実は、Tellさんに忠告がございます。」
「……忠告?」
「もう二度と、裂星剣パーセクを使わないでください」
そうか、やはり、裂星剣パーセクは使われるべきではなかった……
「それは……どうしてかな……?」
ナヴィエは再び顔を上げ、Tellさんの顔をしっかり見据えて、ゆっくりと言った。
「あなたに関する情報を、不正に入手したプレイヤーがいます。」
「えっ……!?」
どういう事だ……? Tellさんの情報を盗み出したやつがいるのか……?
「これ以上、目立つような行為を行った場合、情報を盗んだプレイヤーは、更にあなたのことを調べ始めるでしょう、ですから、犯人が特定出来るまで、あまり目立つような行動をしないでください」
「……なるほど、わかった。」
これはかなり大事になってきたな……
「ひとつ、質問いいか?」
ルシルさんが口を開いた。鋭い口調でナヴィエを追い詰めるように言った。
「お前らが流した訳ではないんだな?」
バグ行為が確認され、Tellさんを危険視したために、Tellさんが他のプレイヤーに狙われるようにした。確かに、ありえない話ではない。
「そもそも、なぜこんなにも早くバグの情報がそっちに知れ渡ったんだ? 元からTellを監視していたのか?」
「それは…………」
ナヴィエが返答を考えていると、
「ガチャ」
扉がゆっくりと開き、申し訳なさそうにライムさんが出てきた。
「その……すいません……実は……」
ライムさんの話によると、Tellさんのバグ技を報告したのはライムさんらしい。NPCはバグを発見したら、すぐさま本部へと連絡するよう、仕組まれているのだそうだ。
「確かに、ライムもNPCだもんな、報告ぐらいするよな、」
「なるほど、道理で納得がいったよ、バグ技を至近距離で見てたんじゃ、報告しない訳にも行かないしな。」
「すみません、でもどうか分かってください、これもNPCの務めなんです……」
そうだよな、NPCも、さすがに運営には逆らえないだろうし、
「報告したあとで、ルシルさんがあんなこと言うから、なかなか言い出せなくて……」
「よってこの件は、他のプレイヤーには完全に黙秘するということを約束してもらいたい」
確かに、あの時のルシルさん、完全に他人を威圧する時の目をしていたからな
「……なんで私が悪者みたいになってるんだ?」
ルシルさん、謝る気はないようだな……
「とりあえず、目立つような事しないように、これから気をつけるよ、」
「はい、くれぐれもご注意くださいね。」
「分かったよ、」
それにしても、ナヴィエに久しぶりに会えて良かったな
「あっそうだ、私、お夕飯の準備が出来たから呼ぼうと思ってここに来たんです」
「おっ、出来たのか?」
Tellさんが身を乗り出した。お腹すいてたのかな?
「さっきから美味しそうな匂いがしてくるなと思ってたんだ。」
「本当だ!美味しそうですね!」
「ライムを見ながら言うんじゃない!!」
「バシッ!!」
「ぴぎゃ!?」
RUSHさんがナヴィエを叩き、ナヴィエは机の上に叩き落とされた。
RUSHさん、ツッコミはもっと優しくするもんだよ……?
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