カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~

蛇使い座のな~が

宝箱の不思議

「おい! そいつを絵から解放しろ!」

「言われなくても解放してあげるよ、君たちがこのダンジョンをクリア出来たらね、」

「クリアしたら、本当に解放するんだろうな……?」

「ああ、このダンジョンをクリアするためには、様々な障害を乗り越えなければならない、そしてそのためには、僕の話も聞かなきゃ行けない、違うかい?」

「……仕方ない、付き合ってやるしかないか」

絵の中のライムさんは、必死になにかを話しているが、こちらに声は届かない。

「ライムさん、聴こえますか?」

……こちらの声も聞こえていないようだ、

「絶対助けますからね!」

そう強く言うと、こちらの意思が伝わったのか、ライムさんが頷いてくれた。

「さあ、試練を終えたあとは、見返りがなきゃ、試練を終えた意味が無い、次の部屋に進んでご覧、」

次の部屋には、特に絵などは飾っていなかった。

「でも、何が来るか分かりませんから、用心して進みましょう、」

「そうだな……」




部屋に入ると、宝箱が3つあった。その隣には、それぞれ異なる形の彫刻が置かれている。

「……宝箱? 見返りって、これの事か?」

「恐らく、横に置いてある彫刻が中に入っているアイテムを象徴しているのだろう、」

『解放』

1つ目の宝箱の隣には、エンプラット美術館でも見た、『解放』が飾られている。

「それは、KUMIの宝箱だ、開けてみてくれ、」

うわぁ……私か……やだな……

「じゃあ、開けますね、」

「ギィィ……」

中には、変わった形の剣が入っていた。表示された名前は「ソウルスラッシャー」、魂を斬るもの、という意味だ、

「これは、どういう武器なんですか?」

「アンデッド系統やアストラル系統のモンスターにダメージを多く与えられる。その上基本性能もかなり高いな、しかし……」

Tellさんに剣を渡した、Tellさんは剣をまじまじと見つめている。

「この剣、呪われてる、1度装備したら装備を外せないんだ。」

……怖いな、そんなの絶対装備しちゃダメだろ、

「その剣はずっと待ちわびているんだ。魂の解放を、誰かが、自分の剣としての力を呼び戻してくれるのを……」

いや私に託されても困るし……

「呪いは、どうやったら解けるんですか?」

「祈祷師に頼むしかないな、教会に行くという手もある。」

「じゃあ、それまでは装備しないでストレージに閉まっておきましょう、」

さて、隣の宝箱は誰のかな?

『運命の木』

木の枝の先端には、葉っぱの代わりに水晶玉がぶら下がっている。水晶玉には様々な色があり、光の反射で色とりどりに輝いている。

「その宝箱はTellの宝箱だ、開けてご覧」

おっ、Tellさんのか、何が入っているのだろうか?

「ギィィ……」

中から…………なんかガチャガチャのマシーンみたいのが出てきた…………

「君がどんな存在と出会うか、人との出会いか、物との出会いか、困難や幸福との出会いか、その全ては運命が決めている。君がこれから引き当てるものが、何なのかは分からない。でもそれは運命が決めたことだ。自分自身の運命と会話して、これからどうすればいいかを決めたらいい、」

運命、因果、確かに人と人との出会いほど、不思議なものは無いな、

「……箱の底に、コインがある、」

Tellさんがコインを拾い上げた。コインは2枚ある。2回チャンスがあるということなのだろうか?

「よし、やってみよう、」

コインを差し込み口に入れ、レバーを引いた。

「ガチャコンッ! ガラガラガラ……」

中で何かが回転している音がする……

「ポンッ! パッパラパッピッポー!!」

軽快な音楽とともに、ガチャガチャのカプセルのようなものが出てきた。

「あけるよ、」

「……はい、」

Tellさんはカプセルをしばらく眺めたあと、両手で包み込み、捻るようにカプセルをあけた、

「シュルシュルシュル………」

「うわっ!! 煙っ!?」

煙のようなものに包まれ、視界は真っ白になった。

「ゲホゲホッ!! ゲホッ!!」

つい咳き込んでしまうほど、煙は充満していたが、気づいた頃には、すっかり晴れていた。

ふと気がつくと、Tellさんの手に、何かが握られているのがわかった。

「なんですか? それ?」

「これは……なんだろう?」

小さな小瓶に入った水色の液体、軽く振ってみると、泡が発生した。

「粘性の液体だな、何かの素材だろう、」

あれ? そういえばかなり前にその液体を見たような? まあ気の所為かもしれないけど、

「とりあえず、ハズレだということはよくわかった。Tell、もう1回まわしてみろ、」

「わかった、」

「ガチャコンッ!ガラガラガラ……」

次はどんなものが出てくるんだろう……

「ポンッ! パッパラパッピッポー!!」

また先程と同じように、カプセルを開ける

「シュルシュルシュル……」

同じように煙が出現した。しかし、今回はTellさんの手にはなにもにぎられていなかった。

「あれ? なにもアイテムは出なかったみたいですね、」

「そうみたいだな、一応、アイテムストレージを見てみよう、」

Tellさんがメニューを開くと、何かに気がついた。

「ん? なんか、俺のスキルの欄に新しいスキルが追加されてる。」

「えっ!? スキルが追加されたんですか!?」

このガチャ、スキルも手に入るのか?

「ああ、『クイックイクイップ』だって、」

「どんなスキルなんですか?」

「なんか、アイテムストレージにある武器と、自分の装備している武器を入れ替えるらしい、」

……結構強くね?

「でも、武器って使い慣れるのにけっこう時間がかかるからな、そんなにコロコロ変えても、あまり意味は無いような……」

そうか、キャラクターを操作している分には、武器の使用感とかは気にしなくていいけど、この世界だと、思いっきり使用感が影響してくるからな、そこを考えると微妙なのか……

「よし、俺の分は終わりだ、あとは……」

最後に残った宝箱、実はこいつが1番問題で……

『畏怖の根源』

明らかにやばいタイトルの彫刻が置いてあるんですよね……

「仕方ない、残ったこの箱が、私の分なのだろう? ならば開けるしか道はない、」

「その宝箱はルシルのだ、開けてご覧」

頑張って……ルシルさん……

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