カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~

蛇使い座のな~が

呪われた作品

「『入口』? そんな作品、エンプラット美術館にあったかな……?」

私達は、あの例の絵画について、RUSHさんに聞いてみた。

「はい、その絵を見た瞬間、Tellさんの様子がおかしくなって、」

「……なるほど、俺はあんまり芸術はよく分からなくてさ、美術館には、ライムに誘われて何回か来てる程度なんだよ、だから、俺はあんまり詳しくなくて、ライムに聞いてみればいいんじゃないか?」

「そうだな、ライムさんが帰ってきたら聞いてみよう。」

「ガチャッ」

後ろの扉が開き、お客さんが入ってきた。

「おっ! 久しぶりにお客さんかな、いらっしゃい!」

お客さんは背の小さな女の子、情報屋ルシルさんだ。

「ここに、RUSHという名の鍛治職人はいるか?」

「ん? RUSHは俺だが?」

「私はルシル、ここで情報屋をやっているものだ。」

「じゃあ、お前が情報屋ルシルなのか?」

「私を知っているのか、なら話が早くて助かる。JHARIBANという男について、調査依頼があった。聞かせて欲しい。」

ごめん、ルシルさん、先に聞いちゃった。

「ルシル、久しぶりだな、」

「なんだ、お前たちもう来てたのか、既に調べ終わっていたなら、連絡してくれれば良かったのに、」

「すまんな、ちょっとこっちの不手際で、」

「まぁいい、それで結局、JHARIBANとはどんな人物だったんだ?」

ルシルさんにJHARIBANさんのことを話した。

「なるほど、やはりそういうことだろうなとは思っていたが、逆に何故ここまでこの武器屋が知られていなかったのかが疑問だな。」

「エンプラットは、芸術品で有名な都市だし、武器や鍛冶はほとんどおまけみたいなもので、みんなそっちに気を取られていたんだろう。」

それでよく店が回るもんだな、

「そういえば、お前なにか聞いてないか? 」

「なんだ? 新しい調査依頼か? 金とるぞ?」

「いや、調査依頼って程じゃない、知ってる範囲で答えてくれりゃいいんだが、『見ると何故か無償に触りたくなる絵』について知っていないか?」

「……驚いたな、その絵を見たことがあるのか?」

急にルシルさんは真剣な顔つきになった。

「ああ、エンプラットの美術館に飾ってあった。」

「なるほど、エンプラットだったか、ようやく見つけた、」

「どういうことですか?」

「うちで調査の依頼が来てたんだよ、絵に触ったものを謎の異空間へと引きずり込む、『呪われた絵』についてのな、」

うわ~……ここに来てホラー系かぁ……嫌だな……

「へぇ、その異空間ってのは、ダンジョンなの?」

「まあ、ダンジョンだろうな、一説によると、その異空間に1度入ってしまうと、二度と出られないらしい。ダンジョン難易度は、ここら辺の他のダンジョンと大差ないはずなんだが……」

「絶対霊的ななにかじゃん……」

「いや、そうとも限らんだろう、あくまで難易度だ、すり抜けるのが簡単なだけの即死系トラップなどがあるのかもしれない。」

「で、お前はそこの調査に行くのか?」

「当たり前だろ、」

「やめてくださいよ!!死んでしまいます!!」

「あくまで調査だ、深入りはしない。」

「大丈夫かよ本当に…………」

「大丈夫かと言われればそうでも無いが……そうだな、君ら2人が着いてきてくれたら安心するかもな、」

「えっ!?」

「ああ、別に俺は構わないぜ、俺もその絵のこと気になるしな、KUMIも行くだろ?」

「……えっ?」

「ほら、行くぞ?」
「嫌だって!! ムリ×200……」

私はできる限りの『ムリ』を言いまくった。

「……君、滑舌凄いな、」

「しょうが無い、2人で行こうか?」

「私は、3人の方がいいな~……」

ルシルさんがニヤニヤしながらこっちを見ていやがる……

「はぁ、じゃあ、もういいです、腹括ります。」

「やったね、さて、どうやって脅かしてやろうか、」

「あなたが驚かしても意味ないじゃないですか!!」

「まあまあ、言い争いはこれぐらいにして、」

途中でRUSHさんが止めに入った。

「ところで、どうやってあの絵に触るつもりだ?」

「どうやって……?」

「ああ、確かに、あの絵の周りは警備員が監視してたな、」

「安心しろ、あの美術館は、深夜2時から警備が一気に手薄になることは既に調査済みだ、そこに侵入する。」

……ガッツリ丑三つ時じゃないか、

「どうやって調べたんだ?」

「元々このJHARIBANの店を聞き込みに行ったのがあの美術館だったんだ。」

「なるほど、」

ふと、時計を見ると、時刻は10時を回っていた。

「じゃあ、4時間後に、出発だな、」

「って、あれ? もうこんな時間なんですね、」

外はすっかり暗くなっていた。ライムさんはまだ帰って来ないのだろうか?

「おかしいな、ライムのやつ、どこに行ってるんだ?」

確か、ライムさんは隠れた名画展にいたはずだが、

「多分、絵の片付けがあるから、美術館にいると思いますけど、」

「いや、片付けは8時で終わっているはずだ。そのあとはまっすぐ帰るって言ってたのにな……」

ふと、目の前に例の『入口』がフラッシュバックした。

「もしかして……」

今、私たちの頭にはとんでもなく最悪なシナリオが浮かんでいた……

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