カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~

蛇使い座のな~が

情報社会へ

「やれやれ、マジで焦った……」

なんとか、メリアさんをやり過ごした。どうやらTellさんも内心はかなり焦っていたらしい、

「いやぁ、さすがはTellだな、いい度胸してるよ、自分より格上の相手に『死に場所探してやる』なんてさ、」

確かに、あのシーンはちょっとかっこいいって思ってしまった。

「まぁいいや、何とか丸く納まったみたいだし、」

「じゃあ、あたし達も出ますか、」

3人でワープホールを通る。




気がつくと、ダンジョンの入口に戻っていた。外はすっかり明るくなっている。

「いつの間にか、朝になってんね、」

「そうみたいですね、」

「じゃあ、早いとここの島出ちゃおうか、」

ランタロウの背中に乗り、私達はまた大空へと飛び立った。




「いやぁ、それにしても色々あったな、この2日間、」

色々ありすぎな気もするけど、

「ランタロウ、大丈夫? 疲れてない?」

「ギャウッ!!」

「まだまだ元気だって、多分今日中にトロンティアまで着けるよ、」

「分かりました。」

ふとTellさんの方に視線をやると、Tellさんが忙しなくメニュー画面を動かしているのが見えた。

「Tellさん、何してるんですか?」
「情報屋ルシルにメール、」

「ルシルさんに?」
「ああ、今回の黒ギルドとの交戦は、おそらくルシルの仕業だろう、あいつが俺の居場所をメリアに教えたんだ。」

ああ、そういうことか、確かにそう考えれば急に見知らぬ島で襲われたのにも納得が行く。

「あいつ、結構色んなやつと繋がりがあるからな、黒ギルドの中にも知り合いが居たんだろう。」

そうなのか、なるべくそういう人とは関わって欲しくないんだけど、

「しかも金になるならどんな情報も売っちまうからさ、おそらく売ったんだろう、俺たちを」

迷惑な話だなぁ……

「じゃあそれはクレームのメール?」

「まぁ、そういう訳じゃないんだけど、なるべく控えて欲しいなって、」

「ピロロロン!」

「おっ、返信きた。」

「なんて書いてます?」

「え~と、『不手際を詫びたい、指定の場所に来て欲しい』だと、」

なんで詫びるためにわざわざそっちに出向かなきゃ行けないんだ……?

「一緒にマップが添付されてる、トロンティアの町内だ、」

「トロンティア町内?」

情報屋さん、トロンティアに住んでたのか、

「ホテルの近くの大通りを突っ切って行くと、広場に出るんだ、そこに行けって、」

「なんか、めんどくさいですね、」
「まあまあ、詫びたいって言ってるんだし、行ってあげなよ、」

まぁ、そりゃあそうなんだけど、なんか腑に落ちないんだよな………

「時間も指定されてる、夜9時以降、12時以内だって、」

「今日中ですか?」

「今日中みたい」

なんなんだよもう……




「バサッバサッ……」

「ほら、着いたよ」
「ありがとうございます!」

「じゃあ、あたしはもう帰るね、一緒にダンジョン行けて楽しかったよ!」

「私も楽しかったです!! ありがとうございました!!」

こうして、アミカさんと別れ、私たちはホテルに戻った。




「はぁ、久しぶりのベッドだ、」

「今日は、もうここでぐったりしてようかな、」

確かに、ここ2日間で色々起こりすぎてたからな、体が休みたいと訴え続けている。

……寝息が聞こえる。Tellさんは目をつぶったまま、ベッドの上にうつ伏せに倒れていた。

「いつの間に寝たんだ? この人、」

死んだように眠るTellさんを見て、何故か急に眠気が襲ってきた、黒ギルドとの戦いが終わって、安心したからかもしれない。

Tellさんが寝てるなら、私も寝ようかな……




眠りから覚めると、いつの間にか空は暗くなっていた。時刻は9時を過ぎていた。

「おはよう、KUMIさん、」

「おはようございます、」

外が何故か騒がしい、窓の外を見ると、町民が火を囲んで踊っているのが見えた。

「あれは?」

「パレードのようだね、」

そうか、このパレードがあるから、情報屋はこの時間を指定したんだ、

「よし、出かけようか、ルシルが待ってる。」

私たちは、ホテルを後にした。




喧騒をかき分け、ひたすらに奥へと進んでいく、

「人混みが凄いな、」

みんな、パレードが見たくて外に出ているのだろうか、道は人で埋め尽くされている。私人混み苦手なんだよな、まぁ、全員NPCだからいいけど、




「ほら、着いたよ、これが聖火広場だ」

聖火広場、ここ、トロンティア町の名物になっている広場だ。祭りの日にはこの広場の聖火台に火をつけて、パレードをするんだそうだ。

「今日はトロンティア近海の海のめぐみに感謝する日なんだって、」

海のめぐみに感謝する日か、さすがは港町の祭りだな、

「待ってたぞ、Tell、KUMI、」

後ろから何者かに声をかけられた。背の低い女性だった。

「お前が、ルシルなのか?」

「え? Tellさん、ルシルさんと会ったことないんですか?」

「ああ、ほとんどメールでのやり取りだったからな、こうして会うのは初めてだ。」

「ここは少々騒がしすぎる。場所を移そうか。」

私たちは、ルシルさんに連れられ、小さな路地を通り、怪しげな雰囲気の建物へと入った。

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