カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~

蛇使い座のな~が

2人の闘い

ハシゴを伝ってマストに登り、全体像を確認する。そのあいだ、ザコ敵の船員たちがボスの気を引いてくれている。

「何か、見えたか?」

「はい、見えます。」

巨大な骨の中に、頭蓋骨が埋れているのが分かった。2つの首の付け根の部分だ。

しっぽの方は水の中に入ってて見えないが、他に、人の頭蓋骨らしきものは見当たらない。

「なるほど、そこに着けばいいわけだ。」

マストには、飛び降りる専用と思われるロープがぶら下がっていた。

「ちょうどいいや、これで行こう、」
「でも、1本しかありませんよ?」
「KUMIさんはこれで行きな、俺はクローショットで行く。」

「ギュウウン!」

こいつ、自分だけ安全な道に逃げやがった……

「頑張ッテ!!」
「頑張ッテクダサイ!! オフタリサーン!!」

骸骨たちが応援してくれている。仕方ない、行くしかない。3つ数えたら行こう!

「1……2……3!!」

「ビュウウン!!」

よし、このタイミングで、手を離す!!

「ガシャン」
「うわぁっ!!?」

勢いよく着地しすぎて、足場が崩れて足が骨の中に埋まってしまった。

「大丈夫かい? よいしょっと!!」

Tellさんが引き上げてくれた。

「ありがとうございます」

よし、あとは、あの頭蓋骨を剥がすだけだ。

「フン、ソウ簡単ニハイカン!!」

船長達は、下半身は埋まったまま、上半身を起こし、剣を引き抜いた。

「貴様ラガ、ワシラノ首ヲ撥ネラレタナラ、」
「合体ハ解ケ、貴様ラノ勝利トナルダロウ!」


「サァ!全力デ来イ!! コレガ最後ダ!」

「行くぞ!」
「はい!」




「はぁぁぁ!!!」

「キキン!カン!カキン!カン!」

「フン! チョコザイナ!」
「剣ナラバ負ケヌ!」

「ファイアボール!!」
「ナンノコレシキ!」

「ビュウウン……ズギャン!!」

私たちは、全力で2人と闘った。壮大な剣戟の末、私たちは、一撃も船長立ちに攻撃を与えられなかった。

「クッ!! 」
「つ、強い……!!」

こいつら、上半身だけの癖に、自分よりも上の位置からの攻撃を上手く防ぎきっている。

「ワシラノ剣ハ見破レン」
「フハハハ!!」

「いい作戦を思いついた。試して見てもいい?」
「はい、」

Tellさんに作戦を耳打ちされた。

「ドウシタ? モウオワリカ?」

「いや、もう少し付き合ってもらうぜ!」




先程よりも激しい剣戟を続け、お互いに疲れてきていた。

「ドウシタ? 疲レガ見エテキテイルゾ?」

私はひたすらに合図を待った。Tellさんはもう1人の船長と、さらに激しい剣戟をしているが、そちらに気を取られている余裕はない。そんな時、

「……カシャッ」
Tellさんは足を動かし、地面の骨がカシャッと鳴った。彼らは剣戟に集中しており、足元で起こった事など気にも止めていない。

次の瞬間、

「ジャキンッ」

私たちは息を合わせ、お互いに今まで戦っていた方とは、違う方の骸骨の首を狙った。

「ナンダトッ!?」
「ソンナバカナ!?」

2つの頭は、海の中へと沈んだ。




『モンスターを倒した!!』
『アイテムドロップ:海賊の銃
                                      金の剣
                                      スカルブレード』

「よっしゃ!! 作戦勝ち!!」
「良かったですね。上手いこと息があって、」

こっちはいつ合図が来るかって、気が気じゃなかったというのに……

「とりあえずこれで、ボス討伐だな、」

ん? 待てよ、ボスを討伐したってことは、船長たちの合体が解けて……

「ガシャン!!」

「うわぁっ!? 骨がバラバラに!?」

「ボチャーーン!!」

やばい!! 溺れる!! 誰か助けて!!

「アッ!? オフタリサーン!! 浮キ輪!!」

「バチャン!」

よかった。助かった……




「あの……船長さんの頭……どうしましょうか……」

私たちは、この海賊船の船長と戦っていた。これはつまり、 この人達は船長を失ってしまったことになる。

「大丈夫デスヨ、キットソノウチ……」

「ガチャッ」

「ヨキ戦イデアッタナ! ワシラノ負ケダ、宝ハ持ッテイクガイイ」

「えっ!?」

後ろを振り返ると、死闘の末に海底に沈んだはずの船長たちがどこからともなく現れた。

「な、なんで!? さっき沈んでったはずじゃあ……」

「マァワシラハ何度デモ蘇ルカラナ!」

どういうメカニズムで蘇ってんのか教えて欲しいくらいなんですけど……

まぁ、船長も復活した事だし、とりあえず丸く納まったかな

「船長、……言イタイコトガアリマス。」

「……ドウシタ?」

「船長! モウ合体ナンテヤメマショウ? コレ以上コンナコトシタラ、船ガ沈ンジャイマス!」
「沈ンデモ、マタ作レバイイダロ、」

「ソレジャダメナンデス!船ダッテ、アッシタチ海賊団ノ一員ジャナイデスカ!」

「コイツノ言ウ通リデス! アッシタチ海賊団ガ離レ離レニナラナイヨウニ、不死ノ身体ニナッテ、永遠二宝ヲ、夢ヲ追いイカ続ケヨウッテ、ソウ言ッテクレタジャナイデスカ!」

「オ前ラ……」

「船ハ元々生キ物ジャナイカラ、不死二ナンテナレナイ、ダカラコソ、大切ナ仲間デモアルコノ船ヲ、船長モ守ッテクダサイ!」

「……」

「船長ガ初メテ、オ父様カラモラッタ船ジャナイデスカ……!」

そうか、だからあんなに、この船のことを大事にして……

「ソウダナ、ワシノ認識ガ甘カッタヨウダ」

よかった。これでこの船も当分は沈まなさそうだ。

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