カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~

蛇使い座のな~が

トレジャーハンターへの道

レッドラムはとてもアルコール度数が高いらしい、
「こちら、チャームになります。」
「ありがとう、あと、チェイサーを追加して貰えるかな、」
「かしこまりました。」

でも、Tellさんいわく、チェイサーを飲んでいれば、直ぐに酔いは覚めるそうだ、

あれ? そういえば、ほかの人に話を聞くとか言っておいて、ほかの人に全然話しかけてないよね、これじゃただお酒楽しんでる人じゃないか。

「あの……Tellさん、ほかの人に話を聞くとかって、」
「ああ、せっかくだし、マスターに聞いてみようか。」

よかった。これで当初の目的に戻った。

「マスターさ、いきなりで悪いんだけど、1個確認させてくれないかな?」
「なんでしょう?」

Tellさんは改まった口調マスターにこう質問した。

「あなた、元冒険者だよね?」

「……えっ?」

完全に予想外のことを言われた。私もマスターも固まった。

「NPCが作ったにしては出来が良すぎる。まるで、現実世界のことについての知識がある人が作ったみたいに、」

「まぁ、確かに、私も初めの頃は外の世界に出向き、モンスターと戦闘したりしていましたが……」
「やっぱりな、この店を開いて何年経つ?」

「私が冒険者をやめたのが、ちょうど10年前くらいの事だったので、7年くらいはこの仕事を続けています。」

「えっ!? ちょっと待ってください!」
私は我慢できずに、疑問をぶつけた。

「10年前ってことは、そんなにも前からこのゲームは存在していたんですか!?」

「私がこのゲームに入った頃は、プレイヤーの数も少なく、プレイヤー同士が出会えたら奇跡と言っても過言ではないほどでした。」

10年前から、少しずつ、プレイヤーを閉じ込め続けてきたってことか、今じゃ、あんなにもたくさんの冒険者達が、街に溢れかえっているのに

「あなたは、この世界でどんなものを見た?」

「恐怖しかない世界です。」

「恐怖しかない……?」

「はい、そこは恐怖の世界でした。私は10年前、この町でスポーンしました。その後、この世界から出る方法を探すために、旅を始めました。しかし、私には力が無かった、全力で殺しにくるこの世界から、出る方法を探すなんて、私には出来ませんでした。」

「だからあなたは、自身の生まれた町に戻って、この町の町民になることを選んだ。」

「そうです。」

自分の命を守るためには、現実世界に戻ることを諦めて、町民や村人になるのが1番なんだろうな……

「ありがとう、話してくれて、マスター、先に勘定を払っておくよ、」

「かしこまりました。合計で600マニとなります。」

「じゃあはい、お釣りはチップとして取っておいて」

「ありがとうございます。」

「ああ、そうだ、なんかこの町で面白そうなものとかってある?」

「そうですね、漁港に行ってみてはいかがでしょう? 一緒に釣り体験なども出来ますよ?」
「なるほど、釣りか、ミニゲームとしてはいいかもしれないな。」
「でももし、釣りに挑戦するのであれば、『呪いの海域』には行かないでください、」
「『呪いの海域』?」

「はい、全く同じ形の丸い岩がふたつ並んだ場所があります。そこから先は呪いの海域、どこからともなく現れる2槽の幽霊船がお互いの宝を奪いあい、争っております。その争いに巻き込まれませんよう、どうかお気をつけください。」

「その幽霊船は、宝を積んでいるのか?」
「左様でございます、しかし、かなり無謀かと、」
「まぁ、気が向いたら行ってみるよ、」
「気の向く時が永遠に来ないことをお祈り申し上げます。」

そのあとTellさんはNPCのお客さんたちから、幽霊船についての話を聞いた。

情報収集が終わると、私たちは、宿屋に戻った。




「ふぅ~ただいま~」

ただいまって……ここ宿屋なんだけどな、

「とりあえず、明日の予定が決まった。幽霊船のお宝を奪いに行く。」

「分かりました。一緒に着いていきます。」

NPCたちの話によると、全く同じ形の岩、『双子岩』を通ると、その先が『呪いの海域』らしい、釣り体験では、エンジン付きのボートのようなもので行くのだが、かなり遠くまで行くと、帰って来れなくなるらしい。恐らくその帰って来れなくなるエリアに行くと、幽霊船が現れるのだろう。

「釣りイベントは、7時から始まる。7時30分に受付終了だ。」

「じゃあ、それまでに起きなきゃ行けませんね、」

私は部屋に付けられていた目覚まし時計を6時30分にセットした。

「そういえば、帰る手段とかあるのかな?」
「……急に怖いこと言わないでください。」
「島に漂流したりして、」
「辞めてくださいって……」

「はは、冗談だよ、でも一応そうなった時のために、非常食は持って行こうか、」
「非常食になりそうなものってありましたっけ?」
「キャンディと、カロリーバーがある。」
「2人分?」
「3人分、」

あと他に誰を想定していたんだろうか、

「とりあえずそれぐらいあったらバッチリでしょ? いや~楽しみだな~!」
「楽しそうですね、」
「だってワクワクしない?お宝だよ?トレジャーハントだよ?」
「そうですね……」

Tellさんが楽しそうでなによりだ。私に出来ることといえば、非常食たちの出番が来ないことを祈ることぐらいだな。

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