カースオブダンジョン~あなたと私の心中旅行~

蛇使い座のな~が

第一歩を踏み出す私

「とにかく、話を聞いてください、私は、あなたの冒険をサポートするナビ妖精なんです。殺虫剤なんてかけないでください!!」
 
「ナビ妖精?」

「そうです! ナビ妖精のナヴィエと申します。あなたの冒険をサポートさせて頂きます」

ナビ妖精か、そんなのがいたんだ、
でもなんかこの子頼りなさそうだな、名前も安直だし………

「とりあえず、このゲームのチュートリアルをしろと、大妖精から頼まれております。わたしは、KUMIさん担当で、他にもこの世界のプレイヤー全員に、私の分身がナビ妖精として配置されております」

「……分身ができるの?」
「出来ますよ? 妖精の特権です!」

そんなドヤ顔されても……

「まずは、チュートリアルを始めましょう、このゲームは、実際にプレイヤーの方にゲームの中の世界に入っていただいて、その上でプレイしていただく仕様となっております。ですので、特に操作方法はありません。まずは歩いて、家の外に出ましょう」

家の外に出るため、玄関の方へと向かった。ドアを開けると、活気溢れる街並みが広がっていた。

「美味しい魚がとれたよ~!!」
「新鮮なお野菜で~す!!  買っていってくださ~い!!」

視界の右上に文字のようなものが映し出される。

『ミライア町』

この街の名前は「ミライア」と言うらしい。

「ああ~、ここは……」
「ん?どうしたの?」
「いやっ!なんでもないです!」
 
ナヴィエ、急にどうしたんだろう……?

「チュートリアルを続けましょう、それじゃ、この街の人達に声をかけてみましょうか、なにか挨拶をすれば、返してくれますよ」

NPCが、そんなことできるのかな? ていうか、私コミュ障だから、話しかけたくないんだけど……
まあいいや、あそこのおばさんに話しかけてみよう、

「あの……」
「やあ、こんにちは、横に連れてるのはナビ妖精かい?」

めっちゃ喋ってくるな、この人、私まだ『あの、』しか言ってないぞ……

「はい、この人のナビ妖精させてもらってます。」
「ちっちゃいのに仕事熱心だね~」

私が話しかけてるのに、なんで君が喋るんだよ、

「じゃあ、あんたは冒険者になるんだ、」
「まあ、はい、」
「はぁ~凄いね、頑張ってね?」
「はい……」
なんか元気づけられてしまった。

「じゃあ、この調子で街を探検してみましょう、周りの人に話を聞いてもいいですよ?」

「いや、やめとく、コミュ障だから」

ナビ妖精に連れていかれて、様々な場所を案内された。武器屋に道具屋、質屋、宿屋、様々なお店の使い方や、この街は商業が盛んで、ほかの街と比べて店の数が多いことなどを教えて貰った。

「じゃあ、さっき教えたとおりに、ものを買ってみましょう、これは、あなたのお金です。」

そう言ってナヴィエはどこからともなくお金の入った袋を取り出し、私に渡してきた。

「見たことの無いお金だな」
「それは、ワールドマニです。この世界共通の通貨で、1マニが1円だと思ってください。その銅貨が1枚で100マニ、銀貨は300マニ、金貨は500マニ、そのお札は1枚で1000マニです。」

袋の中には銅貨が2枚、銀貨と金貨が1枚ずつと、1000マニ札が1枚で、合計2000マニあった。

「他にも、それよりも小さな金貨や、銀貨で、50マニ、25マニ、10マニ、などもあり、さらにはローカルマネーと呼ばれるその国や街でしか使えない硬貨もあるので覚えておいてください」

多くね……? このゲーム買い物で苦労する局面多くなるかも……。

「今回は、武器屋さんに入って、『アサシンダガー』と、『革の胸当て』を買いましょう」

あれ、なんか、最初は棍棒とか、そんなんで戦うと思ってたけど、最初っから刃物使えるんだ。やったね、

「分かった、行ってきます。」
「行ってらっしゃい、」

『クエスト発生 : 冒険への第一歩』

目の前に文字が出現した。これは、クエストだったのか。




『クエスト達成! : 冒険への第一歩』

辛かった。人混みの中をかき分けて武器屋で武器を買うなんて、大抵の人がNPCだと思うけど、

「おめでとうございます! クエストクリアです!」
「これ、クリアするとどうなんの?」
「難易度に応じて報酬が貰えます。今回でしたら、250マニ差し上げます。」

いや、さっきの買い物のせいでこっちは1800マニ失ってんだけど、

「さて、これが最後のチュートリアルになります。今から、街の外に出て、モンスターと戦いましょう。でもその前に、ひとつ注意していただきたいことがあります。もし、この世界で死んでしまった場合、現実世界へ帰ることは出来ません。また、このゲームに一度ログインしてしまった以上、もうこの世界からログアウトすることは出来ません。もし、強敵に襲われそうになってしまった場合、全力で逃げてください」

なるほど、これが最初の試練というわけか、なんとかこの世界でもやっていけそうだ。頭っから水かけてくる女子グループはいないし、むしろこっちの世界の方が住みやすいかもしれない。よし、モンスターとやらを倒してチュートリアルを終わらせ、早く本編を始めよう。

そう思っていたこと自体が間違いだった。次の瞬間、私はこの世のものとは思えない地獄の恐怖を味わうことになる。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品