中年探究者は人知れずレベルを上げる
4
ドロップアイテムは最初の所有者にのみ、そのアイテムの詳細がステータスのように表示される仕組みになっており、以降は鑑定系のギフトによって効果を知ることが出来るようになる。
本来ならばパーティーメンバーで分配する大量のドロップアイテムだが、1人で検品するには30分の時間を要した。
「めぼしい物は二つだけだったな」
【アイテムボックス(大)】
見た目と不釣り合いな容量を持った肩掛けカバン
最大重量1t
ボスモンスターを単独で討伐した場合に確定でドロップ
【ギフトスクロール】
新たなギフトか既存のギフトのレベルを1つ上げることが出来る
迷宮外でのみ使用可能
ボスモンスターを一撃で討伐した場合に確率でドロップ
「あとはHPポーションとMPポーションが10本ずつに、銀と軽銀のインゴットが5本。鋼鉄の投げナイフが10本とゴブリンキングの魔石か。結構うまいもんだな!」
瞬時に効果が出るHP・MPポーションは1本5万円前後、銀は相場通りだが軽銀に至っては1本50万から100万で取引されている。投げナイフは鋼鉄製であり、さほど値は付かないものの、ゴブリンキングの魔石は新たなエネルギー資源としてオークションが開かれる程だ。
「魔石だけで1000万は超える筈だから、周回確定だなこりゃあ」
一瞬でこれまでの年俸を稼いでしまった俺は意気揚々とボス部屋を後にした。
「グラアアアアアア!」
「はい、さいならー」
ボスが復活するまでの15分間を退屈に過ごしながらも、19体目のゴブリンキングを拳圧で爆殺し、ドロップアイテムを5個目のアイテムバックにしまって部屋を出る。
「次で20回か……。そろそろ終わりにすっかねぇ」
完全にボスの占有をしているが、これまで1人も挑みに来た者は居らず、この迷宮で活動している探究者のレベルが高くないことが窺い知れた。
「さてと、15分経ったか」
随分と慣れた動作でボスへの挑戦権を行使し、一歩踏み出すとどこか辟易とした表情のゴブリンキングが玉座に座していた。
「ん?今回は叫ばないのか……」
いつまでも動かず、これまでとは違う行動をとるゴブリンキングの様子に首を傾げていると、唐突に紅いオーラが玉座から噴出し、ゴブリンキングを包み込んだ。
「おおお!覚醒したのか?流石に今攻撃するのは邪道だよなあ」
どこか的外れな発言をしながらも、ゴブリンキングの覚醒をおとなしく眺めていれば、繭状になっていた紅いオーラが霧散して、二回りも大きくなったゴブリンキングらしきものが現れた。
「フム。コンカイハ、カタセテモラウゾ」
「し……」
「ム?ドウシタ、コレマデノヨウニ、イキナリオソッテコナイノカ?」
「しゃべったあああ!」
「イヤ、マッt……」
覚醒して片言ではあるものの会話が可能となったゴブリンキングは、あまりの変化に取り乱した俺が投擲した棍棒によって、わずか15秒の寿命で天に帰っていった。
「あ、あれ?どこに行ったんだ?さては狩りすぎて幻覚でも見てたのか……。うん、きっとそうだな。モンスターが喋るなんて聞いたことがないからな!思ったよりも疲れてたんだろう……ってそんなわけあるかぁー!」
何とか整理を付けようとするも、全く理解が追い付かず、その場に座り込んでしまった。
「はあ、絶対おかしいだろ。モンスターと意思の疎通ができるギフトなら聞いたことがあるけど、モンスター側が話すなんてあり得ないわ。明らかに強化されてそうだったから咄嗟に全力で殴っちまったけど、一発だったしなあ。案外俺が知らなかっただけで普通のことだったのかね」
ようやく気持ちが落ち着いた頃には、これまでの倍以上に山積になったドロップアイテムが目に入り、完全に思考が切り替わる。お馴染みとなったポーション類から、インゴットやアイテムボックス。既にかなり溜まっているものが大半を占めていたが、その中でも異彩を放つものがあった。
「ようやく鎧と剣が出たか……長かったな」
【ゴブリンエンペラーの剛剣】
ゴブリンエンペラーの愛剣
ゴブリンエンペラーの堅装と同時に装備することで固有ギフト【真紅のオーラ】を使用可能
ゴブリンエンペラーを一撃で討伐した場合に確率でドロップ
【ゴブリンエンペラーの堅装】
ゴブリンエンペラーの勝負装備
ゴブリンエンペラーの剛剣と同時に装備することで固有ギフト【真紅のオーラ】を使用可能
ゴブリンエンペラーを無傷で討伐した場合に確率でドロップ
【アイテムボックス(特大)】
見た目と不釣り合いな容量を持った肩掛けカバン
最大重量100t
特殊ボスモンスターを単独で討伐した場合に確率でドロップ
【ギフトボックス】
所有しているギフトの数に応じたアイテムをランダムに得ることが出来る
ギフトの数が少ないほど効果の高いアイテムが得られる
迷宮外でのみ使用可能
「あー、ぶっ壊れ性能だわ。覚醒どころか進化してたんだなあのゴブリンキング、いやエンペラーか。なんかもうお腹いっぱいだな……、帰るか」
新たなアイテムバックに全てを仕舞い込んだ俺は、これまでの疲労など微塵も感じさせないように力が漲るまま、そそくさと出口へと向かった。
本来ならばパーティーメンバーで分配する大量のドロップアイテムだが、1人で検品するには30分の時間を要した。
「めぼしい物は二つだけだったな」
【アイテムボックス(大)】
見た目と不釣り合いな容量を持った肩掛けカバン
最大重量1t
ボスモンスターを単独で討伐した場合に確定でドロップ
【ギフトスクロール】
新たなギフトか既存のギフトのレベルを1つ上げることが出来る
迷宮外でのみ使用可能
ボスモンスターを一撃で討伐した場合に確率でドロップ
「あとはHPポーションとMPポーションが10本ずつに、銀と軽銀のインゴットが5本。鋼鉄の投げナイフが10本とゴブリンキングの魔石か。結構うまいもんだな!」
瞬時に効果が出るHP・MPポーションは1本5万円前後、銀は相場通りだが軽銀に至っては1本50万から100万で取引されている。投げナイフは鋼鉄製であり、さほど値は付かないものの、ゴブリンキングの魔石は新たなエネルギー資源としてオークションが開かれる程だ。
「魔石だけで1000万は超える筈だから、周回確定だなこりゃあ」
一瞬でこれまでの年俸を稼いでしまった俺は意気揚々とボス部屋を後にした。
「グラアアアアアア!」
「はい、さいならー」
ボスが復活するまでの15分間を退屈に過ごしながらも、19体目のゴブリンキングを拳圧で爆殺し、ドロップアイテムを5個目のアイテムバックにしまって部屋を出る。
「次で20回か……。そろそろ終わりにすっかねぇ」
完全にボスの占有をしているが、これまで1人も挑みに来た者は居らず、この迷宮で活動している探究者のレベルが高くないことが窺い知れた。
「さてと、15分経ったか」
随分と慣れた動作でボスへの挑戦権を行使し、一歩踏み出すとどこか辟易とした表情のゴブリンキングが玉座に座していた。
「ん?今回は叫ばないのか……」
いつまでも動かず、これまでとは違う行動をとるゴブリンキングの様子に首を傾げていると、唐突に紅いオーラが玉座から噴出し、ゴブリンキングを包み込んだ。
「おおお!覚醒したのか?流石に今攻撃するのは邪道だよなあ」
どこか的外れな発言をしながらも、ゴブリンキングの覚醒をおとなしく眺めていれば、繭状になっていた紅いオーラが霧散して、二回りも大きくなったゴブリンキングらしきものが現れた。
「フム。コンカイハ、カタセテモラウゾ」
「し……」
「ム?ドウシタ、コレマデノヨウニ、イキナリオソッテコナイノカ?」
「しゃべったあああ!」
「イヤ、マッt……」
覚醒して片言ではあるものの会話が可能となったゴブリンキングは、あまりの変化に取り乱した俺が投擲した棍棒によって、わずか15秒の寿命で天に帰っていった。
「あ、あれ?どこに行ったんだ?さては狩りすぎて幻覚でも見てたのか……。うん、きっとそうだな。モンスターが喋るなんて聞いたことがないからな!思ったよりも疲れてたんだろう……ってそんなわけあるかぁー!」
何とか整理を付けようとするも、全く理解が追い付かず、その場に座り込んでしまった。
「はあ、絶対おかしいだろ。モンスターと意思の疎通ができるギフトなら聞いたことがあるけど、モンスター側が話すなんてあり得ないわ。明らかに強化されてそうだったから咄嗟に全力で殴っちまったけど、一発だったしなあ。案外俺が知らなかっただけで普通のことだったのかね」
ようやく気持ちが落ち着いた頃には、これまでの倍以上に山積になったドロップアイテムが目に入り、完全に思考が切り替わる。お馴染みとなったポーション類から、インゴットやアイテムボックス。既にかなり溜まっているものが大半を占めていたが、その中でも異彩を放つものがあった。
「ようやく鎧と剣が出たか……長かったな」
【ゴブリンエンペラーの剛剣】
ゴブリンエンペラーの愛剣
ゴブリンエンペラーの堅装と同時に装備することで固有ギフト【真紅のオーラ】を使用可能
ゴブリンエンペラーを一撃で討伐した場合に確率でドロップ
【ゴブリンエンペラーの堅装】
ゴブリンエンペラーの勝負装備
ゴブリンエンペラーの剛剣と同時に装備することで固有ギフト【真紅のオーラ】を使用可能
ゴブリンエンペラーを無傷で討伐した場合に確率でドロップ
【アイテムボックス(特大)】
見た目と不釣り合いな容量を持った肩掛けカバン
最大重量100t
特殊ボスモンスターを単独で討伐した場合に確率でドロップ
【ギフトボックス】
所有しているギフトの数に応じたアイテムをランダムに得ることが出来る
ギフトの数が少ないほど効果の高いアイテムが得られる
迷宮外でのみ使用可能
「あー、ぶっ壊れ性能だわ。覚醒どころか進化してたんだなあのゴブリンキング、いやエンペラーか。なんかもうお腹いっぱいだな……、帰るか」
新たなアイテムバックに全てを仕舞い込んだ俺は、これまでの疲労など微塵も感じさせないように力が漲るまま、そそくさと出口へと向かった。
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